成人の儀 当日
アルベール
「へー意外とシンプルなんだな」ひょこっ
ギィ
「戴冠式ではありませんからね
いいから式の間はここで
大人しくしていなさい」
アルベール
「なぁ
俺っていつ帰してもらえんの?」
ギィ
「それはアレクシア様の
さじ加減次第です」
ガチャ
ギィ
「ぎょっ アレクシア様!?」
アレクシア
「少しの間一人にして欲しい
と言ってある
人払いはしているから安心しろ
ギィ
急な話で悪いが
アルベールを儀式に参列
させられないだろうか」
ギィ
「なっ」
アルベール
「ええ?俺??」
アレクシア
「そうだ
アルベールにこの日の私を近くで
見てもらいたいのだ」
アルベール
「お…俺が
本当にいいのかよ」
アレクシア
「何を言っているんだ
人の尊厳を重んじるのに
地位や性別など関係ないと
お前と出会って
私は学んだんだぞ」
アルベール
「アレクシア…」
アレクシア
「ーーそれと これをお前に」
アルベール
「これは?」
ギィ
「!
ーーなっ!!」
「それは王家に伝わる
紋章入りの宝刀ではありませんか!!」
アレクシア
「何か困ったことがあれば
その紋章を見せるといい
その印がお前を守ってくれるだろう」
アルベール
「…スゲー」
ギィ
「何故このような者にそこまで…」
アレクシア
「アルベールお前とは
何か深い縁で繋がっている気がするのだ」
アルベール
「…まあ
これだけ顔が似てるってことは
どこか遠い先祖が同じなのかもしんねーな」
アレクシア
「ああ そうだな
アルベール」
アルベール
「ん?」
アレクシア
「ありがとう
…そしてすまなかった」
アレクシア
「」
アルベール
「……それ逆の方がいいなあ」くるっ
アレクシア
「!」
アルベール
「すまなかった
そしてありがとう の方が
前向きじゃね?」
アレクシア
「ああ その通りだ」
ギィ
( 災いをもたらす双子の男児か…
殺す必要などあろうか
アレクシア様に笑顔を運んで来た
この少年をーー )