感染の有無1時間以内で判定、最速のPCR検査キットを発売へ タカラバイオ

 

タカラバイオは30日、新型コロナウイルス感染の有無が1時間以内で分かるPCR検査キットを開発したと発表した。現在、市場に出ているPCR検査キットの中では最速で5月1日から発売する。

 新型コロナのPCR検査では、通常、患者の鼻の奥から粘液などの検体を採取。検体に含まれるウイルスの遺伝子配列を専用の装置で増やして検出することで感染の有無を判定する。これまで全ての工程で2時間以上の時間がかかっていた。

一方、同社が開発したキットは、検体中に含まれるタンパク質などの反応阻害物質に影響されず、ウイルスの遺伝子を正確に検出するため、大幅なスピードアップが実現した。

 同社は中国・大連の主力工場で月2万キットを製造する。保険適用で、国内の医療機関などの需要に応えるとする。

 

 

1時間未満で新型コロナウイルスが検出できるPCRキット、タカラバイオ

 
・・・税別価格は100回分で12万円。月産2万キット(200万回分)の製造が可能。

 通常、新型コロナウイルスのPCR検査では、鼻咽頭ぬぐい液などの検体から、市販のRNA精製キットを用いたウイルスRNAの精製を行う工程(約1時間)が必要となる。今回のPCRキットでは、独自技術によって簡便な前処理操作のみで、この工程を省略することができる。さらに、同社の高速PCR技術を採用することで、PCR反応時間が大幅に短くなり、トータルの検査時間を従来の方法に比べ半分以下の約1時間に短縮できる。

 ・・・・同社のqPCR装置(Thermal Cycler Dice Real Time Systemシリーズ)だけでなく、各社のqPCR装置への適合性を確認している。

 さらに、タカラバイオが開発した検体由来成分による反応阻害を受けにくいPCR酵素を採用しているため、従来法と同じ感度と精度が得られる。同キットを用いた試験では、「1反応あたり50ウイルスゲノムコピー以下」の検出感度が確認されている。

 同キットは研究用だが、国立感染症研究所によって検査データの精度確認が行われ、ホームページで「迅速な検査方法(逆転写及び遺伝子増幅が1時間未満のもの)」として公開されている。このため、行政検査に使用できるだけでなく、公的医療保険の適用対象にもなる。今後、医薬品医療機器法に基づく体外診断用医薬品として承認取得を目指す計画。
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1時間未満で新型コロナウイルスが検出できるPCRキット、タカラバイオ
 
タカラバイオは、新型コロナウイルスを検体からウイルスRNAを精製する前処理工程を必要とせず、反応時間が1時間未満で、迅速、簡便に検出可能なPCRキット「SARS-CoV-2 Direct Detection RT-qPCR Kit」を5月1日に発売した。Cy5フィルターを搭載したリアルタイムPCR装置で使用する。税別価格は100回分で12万円。月産2万キット(200万回分)の製造が可能。
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さらに、タカラバイオが開発した検体由来成分による反応阻害を受けにくいPCR酵素を採用しているため、従来法と同じ感度と精度が得られる。同キットを用いた試験では、「1反応あたり50ウイルスゲノムコピー以下」の検出感度が確認されている。