本日、JR西日本から岡山と出雲市を結ぶ「やくも」に投入される273系電車の詳細なデザインが発表されました

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/221020_03_press_yakumo.pdf

 

岡山と出雲市を結ぶ同列車には、伯備線・山陰本線の電化開業時の1982年から40年に渡って国鉄生まれの381系電車が活躍しています

381系は国内初の振り子車両として登場し、中央西線を走る「しなの」を皮切りに紀勢西線の「くろしお」、そして「やくも」の三列車に投入されました

 

「しなの」用の381系から383系へ、「くろしお」用は287・289系へ既に世代交代を果たしています

そのため、「やくも」は全列車が国鉄型電車で運行される本邦最後の特急列車であるほか、振り子車両のパイオニアである381系が最後の孤塁を守っていました

 

そんな「やくも」にも今年の2月に後継車両である273系電車が投入されることが発表されましたが、詳細なデザインが未定でした

そして、本日詳細なイメージ図と共に、内外装のコンセプトも発表されました

 

まず、エクステリアデザインについてですが、「沿線の自然・景観・文化・歴史を尊び、お客様交感する色」である”やくもブロンズ”が採用されます

ゆったりやくものテーマカラーであるディープレッド×ナチュラルグリーンのカラーリングは継承されませんでしたが、”やくもブロンズ”が今後の新たなブランドイメージとなるのでしょう

 

できれば、681系の量産車が登場した頃から代わり映えしない先頭形状も、この際リファインして欲しかったのですが、そこは予算の都合なのか、鉄道会社側の都合なのか、さすがに川西康之氏の力をもってしても変えられなかったようですね

 

一方、内装では「山陰の我が家のようにくつろげる温もりのある車内」をコンセプトとし、グリーン車では吉兆の象徴であるカメの甲羅をイメージした積石亀甲模様があしらわれます

普通車では、魔除けの意味を持つ麻の葉模様のグリーンの座席が並び、JR西日本の在来線特急列車としては初めてヘッドレストピローが設けられるほか、271系に引き続き全ての座席にコンセントが設置されます

 

あまりにも内装が素っ気なく無機質な287系と比べて、予想CGでは内装の質感がずいぶん豊かになっており、素直に「乗ってみたい」思わせてくれる魅力を備えた車両になりそうですね

 

内装面で特筆されるべきは、グループ向け座席が設置されたことです

合造車となるグリーン車の後方に、大型のテーブルと袖仕切りを備える2~4名向けのセミコンパートメントがあり、発表では「リゾートしらかみ」のようにフルフラットにして寛ぐことも可能なようです

 

静寂さが求められるグリーン車のすぐ隣にグループ向け座席が設けられるのは少し気掛かりですが、わざわざ通常の客席以外にこうした空間を生み出すあたりに、JR西日本の273系への注力ぶりが窺えます

デビューは予定通り2024年春以降とされており、381系に残された時間はそう多くはなさそうです