▲21年12月27日にラストランを迎える現行車両

 

今年の3月29日にJR四国より、「伊予灘ものがたり」のラストランについてのプレスリリースが発表されました

それを目にした私は一瞬、絶大な人気を誇る「伊予灘ものがたり」が完全に引退してしまうものと早とちりしてしまいました

 

よくよくプレスリリースを読んでみると、いま使われているキハ47形ベースの車両が老朽化のため引退し、列車名もそのままに車両を刷新することが文中に明記されていました

このプレスが出た直後に、新聞でアイランドエクスプレス四国Ⅱの車両を流用するとの報道がなされたため、キハ47形(キロ47)の後釜として抜擢される車両がキハ185系であることが公となりました

 

かくして、去る10月18日に次期「伊予灘ものがたり」の詳細がJR四国より発表されました

ここでは、初代車両と次期車両の共通点と相違点について箇条書きでまとめてみたいと思います

 

共通点

①列車名・運行区間

3月の時点で明らかになっていましたが、列車名と運行区間については初代を踏襲します

 

②車両の内外装

車両の内外装についても初代の意匠が基本的には踏襲されます

エクステリアは伊予灘に沈む夕陽をイメージした茜色と黄金色のカラーリングとなりますが、車体がより夕陽に映えるように同社の車両としては初めてメタリック塗装が施されます

 

各車両に設定されているテーマもこれまで通り1号車が茜の章で、2号車が黄金の章となっています

完成イメージ図を見ると、初代の面影を残しつつ、愛媛県らしさを演出するみかん型の灯具が設けられ、より上質な車内空間にブラッシュアップされます

 

③サポートレストラン

車内で提供される事前予約制の食事メニューについても、同じ事業所・店舗が引き続き実施されます

 

相違点

①特急格上げ

車両が刷新されることに伴って、一番大きな変化は種別が特急に格上げされることです

同じくキハ185系で運行されている後輩たちの種別が特急ですので、種車が選定された時点である程度想像はついていました

 

このため、松山~八幡浜間を利用した場合の運賃・料金の合計は2,300円から4,000円へと、ほぼ2倍近い値上げとなります

 

②グリーン料金

JR四国のグリーン料金は、JR北海道・東海・西日本と共通で100㎞まで1,300円に設定されています

それはものがたり列車も例外ではなく、当初から特急として運行されている「四国まんなか千年ものがたり」や「志国土佐時代の夜明けのものがたり」のグリーン料金も100㎞まで1,300円です

 

ところが、今回発表された新「伊予灘ものがたり」のプレスリリースを読んでいると、100㎞までのグリーン料金が1,500円に値上げされています

これが他のものがたり列車も同様に値上げされるのか、それとも「伊予灘ものがたり」にだけ適用されるのかはまだはっきりしません

 

ただし、手厚い”おもてなし”を受けることがウリで、付加価値の高いものがたり列車のグリーン料金を値上げするのは理にかなっていると思います

特に、JR四国のものがたり列車は事前予約制の食事を注文するかどうかの選択を利用者側に委ねており、運賃や食事がパッケージ料金になっている他社の観光列車と比べて、乗車するだけというのも可能な事情を踏まえてこうした措置が講じられたのでしょう

 

③個室設定

今回の車両の刷新に伴い、編成が2両から3両に増強されます

編成の増強で生まれた余裕を活用して、3号車にはギャレーと共にものがたり列車としては初めて、そしてJR四国でも初めてとなるグリーン個室が設けられます

 

個室の設置される3号車には、新たに陽華(はるか)の章と名付けられ、2名から8名での利用に対応しています

個室の利用に際しては、人数分の運賃・特急料金に加えて、グリーン個室料金28,000円が必要となりますが、1室のみであることや、プライベート空間から瀬戸内海を眺めることができるため、プラチナチケット化は必至でしょう

 

④ペアシート設定

2号車黄金の章には、初代にはなかった2人掛けのペアシートが海側に向けて設けられました

初代では、海側の座席はすべて1人掛けで独立したものになっていましたが、この新たに設定されたペアシートは2人掛けとなっており、新型のコンセプトである「大切な人と過ごす時間と空間」というコンセプトを体現しています

なお、先述のグリーン個室と違い、ペアシート利用時に追加料金は必要ありません

 

 

こうして相違点を並べてみると、特急格上げに伴う値上げが目立ちますが、車内で享受できるおもてなしを考えると、これまでが安過ぎたように思えます

JR西日本やJR九州にコイルバネ台車を装着したキハ40系列の遜色特急がごくごく普通に走っている現状を踏まえると、キハ47形の改造車であっても堂々と特急を名乗ってもよさそうなものですが、そこはJR四国初の観光列車ということで慎重になっていたのかもしれません

 

なにはともあれ、来春の登場がいまから待ち遠しいですね