乗車路線:東海道本線
乗車区間:大阪20:36発→石山21:20着
乗車列車:びわこエクスプレス2号
乗車車両:近キト189系気動車H3編成キハ189-1003(1号車13番A席)
座席種別:普通車指定席(J-WESTチケットレス利用)
2月3日のことになりますが、大阪から石山までキハ189系が充当されている「びわこエクスプレス」2号に乗車する機会がありました
これまで、キハ189系の充当される2号と683系4000番台が充当されている4号に1回ずつ乗車したことがあります
しかし、2号の方の乗車記はついつい書きそびれていたので、新型コロナの影響で外出ができないこの機会に記録を整理しておきます
大阪から以前住んでいた瀬田まで向かうのであれば、新快速に乗って途中の石山で乗り換えればいいわけですが、この時間帯の新快速はいつも混んでいます
快速であれば、大阪から瀬田まで乗り換えなしで行くことができますが、高槻以東は各駅に停車するため、およそ1時間を要します
この日は、所要で朝から和歌山市内へ出かけており、かなり疲れていたのと、J-WESTチケットレス特急券であれば、正規の自由席特急料金よりも安い値段で指定席に乗れてしまうので、ついつい課金してしまったわけです
(※写真の列車は別日に撮影した「はまかぜ」4号)
車内へ立ち入ると、優等列車らしくリクライニングシートが970mmピッチで並んでいます
白熱色の間接照明が落ち着いた空間を演出しているのは、JR西日本のお家芸ですね
インテリアは同社の電車特急と共通仕様ですが、どう頑張っても隠し切れないほんのり鼻腔に突き抜ける排気ガスの香りは、この車両が気動車であることの証
どれだけ技術が進歩しても、排気ガスから逃れることができないのは気動車の宿命といえそうです
大阪駅を出発すると、変速段から直結段へ切り替わる時に車体が大きく前後に揺さぶられました
まだ、登場から10年ほどしか経っていないのに、早くもトルクコンバータが経年劣化しているのでしょうか?
それとも各車両のギアを一斉に変速する総括制御は、今も昔も難しい技術なのでしょうか?
それにしても、特急列車のリクライニングシートから眺める梅田の夜景は優雅で格別ですね
これは新快速では味わえない優越感であり、その優越感が730円で手に入るのですから安いものです
大阪を出発すると、途中新大阪,京都,山科,大津,石山に停車し、終点草津までわずか51分で到着します
高槻に停めてもよさそうな気もしますが、それほど乗車客は見込めないとの判断でしょうか?
さすがに、降車客…大阪から特急に乗って高槻で降りる人…は無さそうです
この先、終点の草津までずっと架線下だけを走行するDC特急となるわけですが、これはいま現在日本で唯一の存在です
また、東海道本線を走行する優等列車は数多くあれど、東海道本線”のみ”を走行する特急列車としても「びわこエクスプレス」が唯一の存在となっています
J-WESTチケットレスの普及率が今ひとつなのか、それとも今日は6両編成で運行しているからなのか、新大阪を発車した後も自由席の混雑ぶりに対して指定席の乗車率はそれほどでもない様子
私のように、大阪から石山まで乗車する場合、正規料金ですと指定席で1730円(通常期)、自由席で1200円のところJ-WESTチケットレスだと730円になるから、使わない手はありません
京都駅では優等列車らしく堂々と0番のりばに停車します
さすがに大阪から京都までこの列車を利用する人は少なそうですが、2番のりばに到着する新快速や普通と違い、烏丸口改札の目の前に停車してくれるので、階段を使うことなく駅の外に出ることができます
京都を出ると、この列車は山科,大津とこまめに停車します
その度に、キハ189系の重低音で響き渡るエンジン音を堪能することができます
HOT7000系などと違い、高回転域でタービンを多用するセッティングのエンジンではないので、タービンの作動音が楽しめない代わりに、SA6D140HE-2型エンジンの轟音を楽しめます
キハ189系は、減速時に積極的にシフトダウンを行う制御になっており、かなり強力なエンジンブレーキが作動するようになっていて、こうした気動車特有の挙動を観察していると、1時間に満たない乗車時間はあっという間です
さて、降車前に恒例の座席チェックを済ませておきましょう
上述したようにシートピッチは同社の在来線特急車両の普通車では標準の970mmで、モケットの色調が異なる以外は287系などとまったく同一の座席が設置されています
利用客のニーズによって、背面テーブルとインアームテーブルを好きなように使い分けることのできる配慮が嬉しいですね
なお、同じ座席なので座り心地も287系などと大差はなく、ホールド性はあるもののクッション材はかなり薄めで、素直に快適とは言いづらいのが難点です
「びわこエクスプレス」のように1時間未満の乗車ならともかく、「はまかぜ」であればより長距離を走行するので、もう少し座面やヘッドレスト周りを柔らかくして欲しいですね
コンセントは、各車の最前列と最後列の座席にのみ設置されています
客室ドア鴨居部にはLED表示器が設置されており、座席と同じくこちらも同時期に製造された683系4000番台や287系とほぼ共通の仕様となっています
エンジン音を楽しんでいると、あっという間に石山へ到着しました
この列車は、言わずと知れた香住発大阪行きの「はまかぜ」6号の間合い運用なわけですが、大阪で運転系統を分割するよりも香住から草津まで直通運転してもよさそうな気もします
三ノ宮以西から京都以東へ向かう需要も少なからず存在するのではないでしょうか?
石山に着くと、すぐに普通・米原行きが発車するので、大阪から瀬田まで50分で到着することができます
ずっと普通に揺られる場合と比べて10分以上も速い上に、リクライニングシートで寛げて着席も保障されているので、223系などと比べて快適性では天と地ほどの差があります
ところで、JR東海ではキハ85系の後継車両として、シリーズハイブリッド方式のHC85系を製作し、高山本線や紀勢本線などで量産に向けた試運転を行っています
この車両は、一応気動車でありながら形式は電車扱いとなっており、周囲を驚かせました
JR東日本もキハ40系列の置き換え用として、電気式気動車のGV-E400系を製造・量産しました
JR北海道のキハ283系が推進軸の破損で脱線・炎上事故を起こしてから、気動車特有の煩わしいメンテナンスが必要な液体式が避けられる動きを見せています
そう遠くない未来に、趣味誌などで「”かつて”日本の気動車は液体式が主力だった」と記載される時代が来るのかもしれません
エンジンだけで動く純然たる気動車が完全に消滅することは考えにくいですが、徐々に数を減らしていることだけは事実です
※誌面の都合上、2月26日に撮影した写真も使用しています