「義母娘」の心と心が優しく通い合う、温かい世界に再び大号泣です。嫌な人が出てこないドラマって、本当に最高ですね。安心して、ドラマの世界に入り込めます。これは、チェリまほにも共通していると思います。主演の綾瀬はるかさん、国民的女優という期待を裏切らない、素晴らしい存在感ある演技でした。僕が、今一番好きな女優さんです。新ドラマ「天国と地獄」楽しみなのですが、テーマがよく見えないので少し不安です。森下さんが脚本なので、たぶん僕の杞憂に過ぎず、大感動のドラマになるのではと思います。「義母娘」の出演者さんは皆素敵なのですが、ゲイの僕は、どうしても男性に目が行ってしまいます。イケメンで心優しい役の竹野内豊さん、嫌いと感じる人はいないですよね。イケメンで憎めないダメ店長役の佐藤健さん、こんなに演技力のある凄い役者さんだったのだと、僕は初めて知りました。女性に人気のイケメン俳優なんてたかがという僕の偏見は、見事に打ち壊されました。そしてもう一人、ヒロキ役の井之脇海さん、爽やかにさらっと告白するシーンに、カッコいいと思いながらも、「僕らゲイには、そんなこと無理だよな。」と、ちょっと悲しい視線を送ったものでした。そして、主題歌「アイノカタチ」は、MISIAさんの抜群の歌唱力で絶品です。

 でも、僕の心を鷲掴みにして離れないのは、チェリまほの黒沢さんです。チェリまほは、自己肯定感の低い安達さんの成長の物語だと言われます。確かにその通りだと思いますが、ゲイの僕からは、ゲイにとって最も危険なカミングアウトへの、黒沢さんの勇気を出した頑張りの物語に見えます。藤崎さんには気付かれていましたが、黒沢さんは、七年間も自分の感情を報われないものと押し込めていました。イケメンエリート営業マンの黒沢さんは、自分の言動に相当注意していたと思います。でも、安達さんへの感情を抑えきれなくなった黒沢さんは、1話でマフラーや家に誘うという行為でパンドラの箱を開けてしまいました。2話では、安達さんのネクタイを締め直してあげます。これも相当危険な行為で、自分でも歯止めが利かなくなっているのかと思います。箸ペロは町田啓太さんのアドリブだそうですが、モテオブモテを極めてきた町田啓太さんならではのことで、女性目線へのサービスショットのような気がします。男性の性的狩猟本能のエロさを、何て美しく、ゾクゾクッと演じられるのでしょうか。町田啓太さんのちょっとした所作には、このようなエクスタシーを感じるものがたくさんあります。プライベートで、どれだけモテてきているのか、僕の妄想を遥かに超えてきます。

 僕が2話で一番心に刺さったのは、アスキタ商会の資料を渡すシーンです。安達さんの帰りを待っていて、「お疲れ。まだ仕事?」と落ち着きなく聞き、自信なさそうに静かに、「はい、これ。」と渡します。安達さんに「いらないよ。」と断られることがどんなに怖かったかと思うと、やはり黒沢さん勇気を出して頑張ったなと思います。もちろん、「どんな形でもいい。安達に会いたい。声が聞きたい。できれば笑って欲しい。これ以上は、安達も望んでいない。そばにいられるなら、俺は同期でいい。」これには、僕は、涙腺崩壊から嗚咽に至りました。穢れてしまった僕にも、遠い昔にはこんなことがあったのです。ゲイが、ストレートな男性に恋心を抱くことは、相手を好きになればなるほど罪悪感が増してくるんです。黒沢さんは、部屋を出たところで立ち止まり、心を落ち着かせます。一見冷静に見えた黒沢さんでしたが、かなり興奮していたのですね。一度パンドラの箱を開けてカミングアウトに走り出したとしても、ゲイの心情はとても繊細で、直線的には進めません。前進、後退、迂回、回り道を繰り返してしまいます。そして、ゴールにたどり着くまでに、大抵の思いははかなく消え去っていくのです。町田啓太さんが演ずる黒沢さんの頑張りは、悲しい思いを抱えて生きている僕のようなゲイの心を癒し、勇気を与えてくれます。本当に、感謝しかありません。