白い皿」7月 4/5



帰り道、

私と妹はデザートを食べる頃には

一杯になっていたおなかに、

せいぜい2、3種類のデザートしか

頼めなかった事を悔やんでいて、

そして、

そのディナーから妹は日が立つごとに、

しきりに、

また、行きたいね」

言うようになっていて、

「今度は1番量の少ないコースか

アラカルとでランチでもいい」

「濃厚な甘みをもつデザートを」と言い、

通常では考えられないほどに、

一つ一つがボリュームのある切り分けで、

「それと今度は、

子羊やホロホロ鳥があったら

それが食べてみたい」と言い、

(この間食べた料理は鶏で)

私には少し淡白な

味わいのようには思いはしたものの、

柔らかな肉の味わいを

美味しいように思ったのは確かで、

また、妹は

「ランチでワゴンサービスがあるなら、

ランチでもいい」と言い出し、

部屋に戻った私は、

窓から見上げる月に私は夜の「白い皿」が、

もう間近である事を改めて思い、

友紀子(ユキコ)からの頼まれものの

散文をどうしようかと思いながら、

机の前でうつらうつらとし始めていた。




私のどこまでも眠たくなる体は

以前ほどではなかったけれど、

つづいていた。


そして、

今開いていた窓から、

急に強い風に顔を吹かれて

目が覚めた時の夢はこうだった。


老女が、もう一曲、もう一曲と言うのです

坊主は、いえもう此れで言うのです

老女は、まだなおせがみ、

老女は、坊主の手に触れ、

坊主が、手を離そうとすると、

老女の白い髪が、

坊主の方にわっと伸び広がり、

驚いて、坊主は後に手を尽くと同時に、

燭台の倒れた音が響き、坊主は我にかえる。

床には、千紙(センシ)が散っていて、

坊主は、寝ぼけていたようで、

坊主は、雨の降る本尊で独経している途中、

眠ってしまっていたのを思い出した所で、

私は目を覚まし、

開いた窓からは

闇に溶けこんだ風がカーテンを吹いていて...

一輪刺しの花瓶が倒れていた。


私のどこまでも眠たくなる体は

以前ほどではなかったけれど、

つづいていた。