みなさん

 

こんにちは。

 

今回は共同不法行為を見ていきましょう。

 

■ 共同不法行為

(共同不法行為者の責任)

第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。

2 行為者を教唆した者及びほう助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。

 

1、意義

次の不法行為を共同で行った場合、連帯してその債務を負う。

一 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたとき(数人で強盗する等)

二 共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないとき(例:複数人で花火をしており、火の不始末で火災が発生したが、いずれの者の花火が原因か不明なとき)

 

2、教唆者・幇助者

教唆者・幇助者も共同行為者とみなされる。

教唆者・・・そそのかした者

幇助者・・・手助けした者

 

3、共同不法行為の特徴

① 不真正連帯債務

不真正連帯債務とは、複数の債務者(不法行為の場合は複数の加害者)が、同じ内容の給付を目的とする債務を、別々の原因によって負担することで、それぞれの給付の全部につき履行義務を負うが、1人が履行すれば他の債務者の債務も消滅する事である。

例)A及びBが金銭目的の為Cに暴行を行った。この場合共同不法行為が成立し損害賠償債務が1,000万で確定した場合、AもBも被害者Cに対して1,000万円支払う必要がある。ただし、どちらか一方が1000万円を支払えばもう片方の債務は消滅する。

 

※ 不真正連帯債務は、連帯債務の絶対効の規定が適用されておらず、上記の例で共同不法行為のAの「債務を免除」しても、加害者Bの債務に影響がなく1,000万円の債務となります(連帯債務の場合はAの負担部分についての債務が消滅する)。

 

4、被用者と第三者の共同不法行為

例① 使用者が全額賠償した場合

タクシー運転手Aは乗客Xを乗せて走行中に、Bの運転する自働車と事故を起こした。

この時、タクシー運転手Aと第三者Bの双方に過失があり、Xを負傷させた。

被害者Xはタクシー運転手A及び第三者Bに対して共同不法行為による損害賠償を請求した。

この場合、運転手Aの使用者であるタクシー会社Yが全額を賠償した時、Yは第三者Bに対して過失割合に基づいて求償することができる。

 

例② 第三者が全額賠償した場合

上記の例で、第三者Bが全額賠償した場合、Bはタクシー運転手Aにもタクシー会社Yにも過失割合に基づいて求償することができる。

 

以上です。

細かな論点ですが、最後の2肢を切るのに必要な論点です。

しっかり復習しておきましょう。

 

次回もよろしくお願いします。