みなさん
こんにちは
今回は不法行為を見ていきましょう。
この論点、実は模試や過去問は解けるけど、本番の問題が難しい事があります。
なぜなら、判例が出題されやすく、基本論点を問われているのに読解に時間がかかったりします。
不法行為のポイントは判例を中心に覚える。
■ 一般不法行為とは
故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
要件6個
1、被害者が立証責任を負う
① 加害者に故意または過失があること
② 被害者の権利又は法律上保護される利益が侵害されたこと
③ 被害者に損害が発生したこと
④ 加害行為と損害の間に因果関係があること
2、加害者が立証責任を負う
⑤ 加害者に責任能力があること
⑥ 違法性阻却事由がないこと
※⑤または⑥を加害者が立証すれば責任を免れる
2、要件の判例及び条文
① 加害者に故意又は過失があること
加害者に故意又は過失があることは原則として、被害者側が立証しなければならない(大判明治38.6.19)。
※例外あり
714条(監督者責任)、715条(使用者責任)は加害者に立証責任がある。
② 被害者の権利又は法律上保護される利益が侵害されたこと
第三者の債権を侵害した場合、不法行為が成立する場合がある。
しかし、不動産の二重売買において、第二の買主は、悪意であるというだけで第一の買主に対して不法行為責任を負うものではない(最判昭和30.5.31)。
③ 被害者に損害が発生したこと
(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
一、財産以外の損害の賠償
損害には、経済的不利益である財産的損害のみではなく、財産以外の損害も含まれる。
財産的損害・・・葬儀費用、治療費、逸失利益など
財産以外の損害・・・慰謝料
二、損害賠償の範囲
不法行為による損害賠償の範囲は、債務不履行の損害賠償の範囲を定える416ッ畳が類推適用される。
三、傷害事故後に別の原因により死亡した場合
※逸失利益
傷害事故後に被害者が別の原因により死亡した場合、被害者が死亡したことは、原則として障害による逸失利益の算定における就労可能期間の認定上考慮されない。
つまり、死亡しても逸失利益は減額されない。
ただし、事故の時点で、その死亡の原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていた等の特段の事情があるときは、考慮される。
※死亡後の介護費用
事故のために介護を要する状態となった被害者が別の原因により死亡した場合障害による損害賠償請求に死亡後の介護費用を含めることはできない。これは、介護費用の賠償は、現実に支出すべき費用を補填するものであるが、被害者の死亡以降の介護が扶養になるからである。
ここまでが、被害者が立証責任を負う要件になります。
判例もしっかり覚えておいてください。
では次回もよろしくお願いします、