本屋大賞受賞作です


本屋大賞って、全国の書店員さんの投票によって選ばれるんです

書店員さんなら誰でも参加できます

ただ、二次審査ではノミネート10作を全部読んで感想をつけて投票しないといけない、とかけっこうハードルは高め

書店員さんが本当にお客さんにオススメしたい本を自分たちで選ぼう!というところから出発してます


なので文芸界の重鎮が選ぶ直木賞や芥川賞とはちょっと雰囲気が違うというか


個人的には本屋大賞がいちばんストライクゾーンに入ったりします



この『52ヘルツのクジラたち』は、ヤングケアラーとして人生を搾取されていた女性と、虐待され親から「ムシ」と呼ばれている少年のおはなし

他にも生きづらさを抱える人が出てきます


内容は重いのですが、淡々とした筆致で描かれていて、んー…なんていうか乾いた印象、とでもいうのか


クジラはクジラ同士に伝わる周波数の音を出して仲間同士で「会話」しているそうです

でもなかには他のクジラが聞き取れない、高い52ヘルツの周波数で鳴くクジラがいて

たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない

その孤独感…


というのがタイトルの由来です


女性が少年に「(キミの)52ヘルツの声を聞かせて」と心の中で呼びかけるシーンは胸を打たれます


女性には友人がいます

友人は友人で女性の声を聴こうと心を砕くのですが、うまく聴き取れず

自分のちからのなさに傷ついています


わたしも聴き取れなかったり、聴き取ったつもりになっていたり、発信していることにすら気づかなかったりすることも多いだろうなぁ

せめて「聴きたい」って気持ちだけは持ち続けたいなぁとは思うのです