日本語アレコレの索引(日々増殖中)【34】
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mixi日記2024年08月02日から。
出版直後に買って読んだはず。何も覚えてないので、新鮮な気持ちで再読した。
こういう書籍の内容に関してウンヌンする度胸はない。
仕方がないので小さな揚げ足取りなどを少々。(←オイ!)
【引用部】
嘘かまことか、夏目漱石が「我輩は猫である」を書くヒントにしたなどと噂されている長編「牡猫ムルの人生観」や、短編「砂男」や、さらには映画にもなった歌劇「ホフマン物語」やバレエ「コッペリア」などで名をよく知られているE・T・A・ホフマンは、一七七六年にドイツ、東プロシアのケーニヒスベルクで生まれている。(p37)
作品名が「」になっている理由は不明。本書は基本「」を使っている。ところどころ『』になっているのがナゾ。もしかすると、書名は『』なのかも。たしか漱石の作品は書名でもあるはずなんだけど。
そんなことはどうでもよく、問題は「我輩」。これはさすがに「吾輩」だろう。当方が素読みできづくレベルの話。校正者がこんな基本的な見落としをするのだろうか。p50にも同様の誤植がある。
【引用部】
おそらく当を失しているでしょう。(p125)
「当を失す」の用例を初めて見た。『トオマス・マン短編集』所収の「幻滅」で、訳者は実吉捷郎氏。
これは正確に書くと長くなる。
【的を射る/的を得る/正鵠をめぐって──「的を得る」は誤用とは言えないような】mixi日記2009年12月15日から
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ああ、さすがにこれは書き直さないとダメかな。
「的」なのか「正鵠」なのか「当」なのか。
「射る」なのか「得る」なのか「失す」なのか。
【引用部】
読者の秩序冀求を満たし、予定調和を持つそうした安定感のある作品は、たしかに読者大衆から喜ばれる。(p142)
「秩序冀求」ですか。昔見たことがある字面やなぁ。
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===========引用開始
き‐きゅう〔‐キウ〕【希求/×冀求】 の解説
[名](スル)強く願い求めること。「平和を—する精神」
出典:デジタル大辞泉(小学館)
===========引用終了
【引用部】
戯曲作家としてもチェーホフはモームに一日の長があった。(p148)
AさんとBさんがいて、Aさんのほうが少し優れている場合、
「Aさんに一日の長があった」とか書くのでは。
本書の主張は「誰が見たってモームのそれよりもチェーホフの戯曲の芸術的価値と完成度に高さを認めざる得ないだろう」。これじゃ逆では。「誰が見たって」の場合に「一日の長」と言うのか、って問題はスルー。
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===========引用開始
一日(いちじつ)の長(ちょう) の解説
《「論語」先進から》
1 年齢が少し上であること。
2 知識・経験・技能などが少しすぐれていること。「芸においては彼に—を認める」
「いちじつ【一日】」の全ての意味を見る
出典:デジタル大辞泉(小学館)
===========引用終了
【引用部】
話が技法のみに傾いたがこれは当然で、まさか現代人ともあろうものが現代により豊富な小説のテーマや内容を古典から借りてくることはない。(p157)
ややわかりにくい。最大の原因は「ヨリ」だろう。「現代により」を「現代のほうが」にすればずいぶんマシになる。細かい話はスルー。
【引用部】
多くの短編もまたヨーロッパ古来からのその伝統に則って書かれている(p160)
これはどうでもいいのかな。「から」を取るべきだろう。