学者の言葉〈外伝〉──無助詞文あるいは助詞の省略〈2〉 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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 ちょっと事情があって、 
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2447.html 
(2012-08-01)を再アップする。 


日本語アレコレの索引(日々増殖中) 
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html 
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】 
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854387407&owner_id=5019671 

mixi日記2012年07月30日から 
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1861946344&owner_id=5019671 

 直接的には下記の続きだろうな。 
【学者の言葉〈1〉──無助詞文あるいは助詞の省略】 
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2295.html 

 テーマサイトは下記。 
【日本語の無助詞の文についての質問です。】 
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1091194150 

 質問文と、当方のコメントを回収しておく。 
【質問】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 
日本語の無助詞の文についての質問です。こういうときに助詞を使わなくていいのでしょうか? 
友人と、修学旅行のアンケートに答えていたときのことです。 
そのアンケートで、後輩へのアドバイスを問われた質問に、友人は 

「買い物、後に回した方が良い。」 
と書いていました。 

それを見た私は友人に、 
そこは「買い物『は』後に~」の方が良いのではないか、 
と言いましたが 
友人は「日本語にはこういう言い方もあるのではないのか?」というので、 
しばらく議論しました。しかし、結論はでませんでした。 

後で私はネットや辞書で調べてみたのですが、難しい論文などが多く、こういう日本語のことを無助詞と言うということしかわかりませんでした。 
結局、どちらが正しいのか、はたまたどちらも正しいのか、全然わかりません。 

ちなみに私はその質問に 
「○○橋は行ったほうがよい。」 
と書きましたが、 
「○○橋、行ったほうがよい。」 
というのは、個人的に違和感があります。 

日本語に詳しい方、無助詞の用法について中学生にもわかりやすく解説していただけませんでしょうか? 
補足 
皆様、ご回答ありがとうございます。 
大方、納得はできたのですが、未だいくつか引っかかることがあります。 
・無助詞の場合、その文を箇条書きにするとして、その項目が一つの場合でも箇条書きと言えるのか。 
・私の質問の本文において一番最後の文は無助詞の文ですが、これは書き言葉として相応しくない、または年配の方の嫌う言い方なのか。 
ということです。細かいことですみません。上に加えてお答えください。 

【tobiクンのコメント】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 
「無助詞の文について」 

微妙な問題で、正確に書こうとすると、たぶん中学生には理解できないと思います(おそらく当方もわかりません)。 
おおざっぱに書くと、話し言葉だと省略しても問題がない助詞(「ハ」だけではなく、「ヲ」のことも「ニ」のこともあります)があるということです。 
ちなみに、下記の論文http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/3498/1/34014.pdfによると、〈「無助詞(文)」と「助詞の省略」〉は厳密には違うようです。当方はその段階でお手上げです。 
「買い物、後に回した方が良い」 
書き言葉だと相当違和感があります。親しい人への話し言葉だと、1)のほか、2)の「注意喚起」でもあるかも。「買い物……後に回した方がいいよね」にすると、さらに2)の傾向が強くなります。 
「○○橋、行ったほうがよい」 
同様に、書き言葉だと相当違和感があります。以下は同様です。 
【補足】に関して。 
>無助詞の場合、その文を箇条書きにするとして、その項目が一つの場合でも箇条書きと言えるのか 
「箇条書き」と考えるから個数が気になるのでしょう。新聞などの見出し(大きな文字)なら、助詞が省略されるのは普通のことです。「イチロー 電撃移籍」とか。 

>これは書き言葉として相応しくない、または年配の方の嫌う言い方なのか 
書き言葉には向きません。文中に出てくる呼びかけならさほどおかしくありませんが。下記の1)の逆です。 
「皆さん、どう思いますか」。これは2)&5)です。 
「みんな、どう思う?」。これは2)&3)&5) 
「年配の方」同士の会話ならケースバイケースです。とくに「嫌う」人はいないと思いますが。 
年下の者が年配者に対してだと、基本的には避けたほうがいいでしょう。 

詳しくは下記をご参照ください。追加の質問があるなら、ブログにコメントを下されば、わかる範囲で答えます(当方にわかる範囲はごく限られますが)。 
【学者の言葉〈1〉──無助詞文あるいは助詞の省略】 
※助詞のない部分はφの記号で示し、「*」は不適当を表わす。 
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2295.html 
================================引用開始 
(15)(19)(20)あたりはたしかにφのほうが自然な気がするが、別の理由があるのでは。 
何も考えずに思いつくことをあげていく。 
1)「無助詞文」になりやすいのは話し言葉である。 
これは大前提で、論文の冒頭に書いてある。ただ、文字で書かれている小説のセリフは話し言葉か書き言葉か、と厳密に考えると泥沼にはまる可能性が高いのでスルーする(個人的には話し言葉だと思う)。 
2)「呼びかけ」(「注意喚起」と考えるほうがいいらしい)は「無助詞」になりやすい。 
3)「目上の人」に対しては「無助詞文」になりにくい。 
同じ内容でも、「親しい同格以下の人に話す場合」は「無助詞文」になることがある。言葉づかいがラフになればなるほど、その傾向が強くなる。相手が子供だと、「無助詞文」だらけになることもある。 
4)「省略」(もしくは「無助詞」)が「省略」(もしくは「無助詞」)を呼ぶ傾向がある。 
5)「聞き手の情報を求める文」と言うか、要するに疑問文だと「無助詞文」になる傾向が強い。 
こういうことをどこかに書いてあるのかな。 
(15)(19)(20)は同じ意味でも言葉づかいをもう少し丁寧にするとかなりかわる。 

(15)なあ、これ (φ/ * ハ/ * ガ )、わかる? 
「なあ、」と「わかる?」がタメ口なんで、φが自然なのだろう。しかも直後に読点があるから、無助詞文のほうがずっと自然になる。 
(15)’ 済みませんが、これ (φ/ * ハ/ * ガ)わかりますか? 
これなら「ハ」が自然だろう。(「ガ」の近接の影響もある?) 

(19)ねえ、ニコちゃんストアー、行ったこと(φ/ * ハ/ * ガ )ある? 
「ねえ、」があるうえに直前の「に」が省略されている。 
(19)’ (つかぬことをうかがいますが、)ニコちゃんストアーに行ったこと(φ/ * ハ/ * ガ)ありますか? 
これなら「ハ」「ガ」もアリだろう。 

(20)『岩窟王』(φ/ * ハ/ * ヲ )読破? 
「読破?」だもん。相当ラフ。あれ、このセリフは図書館司書だから常磐貴子だよね。このなれなれしさはキムタクっぽいけど(これは『ビューティフルライフ』のセリフらしい)。 
(20)’ 『岩窟王』(φ/ * ハ/ * ヲ)もう読破したのですか? 
これなら一番自然なのは「ハ」だろう。「ヲ」もアリかな。 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 


「無助詞」でネット検索するといろいろ出て切るが、下記がわかりやすい気がする。 
【助詞の省略:「を・が」を使わないほうが自然なケース(無助詞)を教えるべきか】 
http://nihon.at.webry.info/200508/article_8.html 
※リンク切れ 

●「無助詞」と「助詞の省略」の違い 
 ↑の論文とは定義が微妙に違うような。 
●「無助詞」の例 
「昨日の江川(φ/*を/*は)、見た?」に関しては、「を」も「は」もアリだろう。「どれが自然か」と訊かれたら、「個人の語感しだいだろう」って気がする。 
●「無助詞」を教える是非 
>規範的でないものを日本語の授業でわざわざ教えるのは難しい 
>中級以降でこの無助詞を教えてもいいのではないかと思います 
 そういうことだろうな。 
 どうにも微妙すぎて、当方のレベルでは何がなんだか。 

【2024年2月28日追記】 
 ↑のリンクは切れている様子。 
「無助詞」「助詞の省略」などのキーワードで検索すると多くの論文がヒットする。 
 参考になるものは……。 

 下記は貴重かも。 
【助詞の省略について】 
https://cotohajime.net/2020/10/12/omit-particles/ 
「省略できる助詞/省略できない助詞」……本当に分類できるならすばらしい。 
 で、省略「不可」とされている例文を見る。 

●に(受け身・使役文) 
・この傷(を)見て、猫にひっかかれたの。 
・不注意で子供に怪我(を)させてしまった。 

●に(時)で(場所)/と(いっしょ) 
・7時に銀座で友達とご飯(を)食べるから、6時にうち(を)出ようっと。 

●の(所有・所属) 
・それ、私の時計。 
・学校の先生なんだ。 

●で(手段・期限・原因など) 
・これ、1週間でできる? 
・ハサミで切ったら? 

●と・や(並列・添加) 
・紙とペン(は)ある? 

●が(その他) 
・サッカーより野球のほうが好き。 
・え、私がするの? 
・この間、田中さんが行ったってレストラン、昨日テレビに出てたよ。 

●は(その他) 
・姉は背(が)高いんだけど、私は低いの。 
・四国はまだ行ったことがないな。 

 いくつかの例文はビミョーなのでは。 
・サッカーより野球φ好き。(「のほう」を削除すると「が」も削除できそう) 
・この間、田中さんφ行ったってレストラン、昨日テレビに出てたよ。 
・四国φまだ行ったことがないな。 
 φのかわりに読点を打てば、いっそう不要に感じる。 

 

 

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