下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【22】
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mixi日記2019年06月06日から
下記の話を書いたのはmixi日記2009年10月19日。
【助詞の話──「へ」と「に」(仮) 独り言です44くらい】
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いろいろアラも目につくし、辞書も古いようなんで、全面的に書き直す。
大前提として、助詞の話はむずかしい。ヘタに踏み込まないほうがいい。
「ヘ」と「ニ」の使い分けは、助詞の問題のなかでは比較的簡単だけど、それでも十分むずかしい。
いきなりだけど、結論を書く。
世間では「方向のヘ」「目的地(帰着点)のニ」などと言われる。
おおざっぱな理解はそれでいいと思う。初級者への説明ならそれで十分。解説らしきものもネットに多数転がっている(詳細は↓のリンク先参照)。
ただ、もう少し踏み込むとよくわからない話になる。「方向のヘ」「目的地(帰着点)のニ」は、「そういう解釈が一般的」ってくらいのニュアンスってだけで、実はたいていの場合は「どちらも同じように使える」。
まずネット辞書の『大辞泉』(goo辞書)を確認する。どちらも多彩な意味をもつ助詞なんで、一部を抜粋する。
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===========引用開始
への意味
[格助]《現在では「え」と発音する》名詞に付く。
1 動作・作用の移動・進行する目標地点・方向を表す。…の方向に向かって。…の方へ。「西へ向かう」
「今日 (けふ) 、車、京―とりにやる」〈土佐〉
2 動作・作用の行われる場所・帰着点を表す。…に。「庭へ物を捨てるな」「父も母も留守のところへ訪ねてきた」
「十月十四日、関東―下着 (げちゃく) 」〈平家・八〉
===========引用終了
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===========引用開始
にの意味
【1】[格助]名詞、名詞に準じる語、動詞の連用形・連体形などに付く。
1 動作・作用の行われる時・場所を表す。「三時に間に合わせる」「紙上に発表する」
「熟田津 (にきたつ) ―舟 (ふな) 乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな」〈万・八〉
「二十一日、卯 (う) の時ばかり―船出 (い) だす」〈土佐〉
2 人・事物の存在や出現する場所を表す。「庭に池がある」「右に見えるのが国会議事堂です」
3 動作・作用の帰着点・方向を表す。「家に着く」「東に向かう」
「蟻のごとくに集まりて、東西―急ぎ、南北―走 (わし) る」〈徒然・七四〉
===========引用終了
「方向のヘ」というのは、↑の〈1 動作・作用の移動・進行する目標地点・方向を表す。…の方向に向かって。…の方へ。「西へ向かう」〉のことだろう。
「目的地のニ」というのは、↑の〈3 動作・作用の帰着点・方向を表す。「家に着く」「東に向かう」〉の「帰着点」のことだろう。
ところがもう少しよく読むと、
「ヘ」には〈2 動作・作用の行われる場所・帰着点を表す。…に。「庭へ物を捨てるな」「父も母も留守のところへ訪ねてきた」〉という使い方もある。これは「目的地のヘ」と言える。
「ニ」の〈3〉にいたっては〈動作・作用の帰着点・方向を表す〉のだから、「方向のニ」とも言える。
つまり、辞書的にはどっちを使っても「間違い」ではない。
興味がある人はほかの辞書もひいてみてほしい。『大辞泉』の記述とほとんど同じはずです。
ここから先は余談と考えてほしい。
これで終わるとアンマリなんで、もう少し付け加える。次の例で考える。
1)「駅ヘ行く」か「駅ニ行く」か
※これはちょっと曖昧かもしれない。〈「駅ヘ着く」か「駅ニ着く」か〉の二択のほうが明快かも。
2)「駅方面ヘ行く」か「駅方面ニ行く」か
3)「北海道ヘ行く」か「北海道ニ行く」か
辞書に沿った解釈はすでに書いたので、以下は個人的な感覚で書く。 たまにはこういうのもいいだろう。
1)「駅ヘ行く」か「駅ニ行く」か
どちらもおかしくないが、ニのほうが自然だろう。これが〈「駅ヘ着く」か「駅ニ着く」か〉なら、圧倒的にニだろう。理由は……やはり「目的地(帰着点)」はニのほうが自然に感じる。
ただし、「駅ヘ行く」と言う人も相当数いる気がする。「駅ヘ着く」は異和感があるが、辞書にもあるんだから「間違い」とは言えない。
2)「駅方面ヘ行く」か「駅方面ニ行く」か
どちらもおかしくないが、ヘのほうが自然だろう。理由は……やはり「方向」はニのほうが自然に感じる。(※いかんなあ。〈やはり「方向」はヘのほうが自然に感じる〉だ)
3)「北海道ヘ行く」か「北海道ニ行く」か
理由はまったくわからないが、行き先が具体的な地名の場合は、「ニ」って気がする。これが「北」なら「北ヘ行く」だろう。
具体的な地名であれば「ニ」、漠然とそっち方面なら「ヘ」になる。「最果ての地」だと、微妙になるが、どちらかと言うと「ニ」だろうか。
さらに話をややこしくすると、「行く」ではなく「向かう」だと、「ヘ」のほうが自然な気がする。文法的には「行く」と「向かう」に違いはないだろうから、理由はわからない。おそらく、「向かう」のほうが方向性を強く意識するからだと思う。
【20150503追記】
アルクの2サイトは勉強になる。
【引用のご作法12 「に」と「へ」】
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【20160904追記】
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20160501_3.html
【20171125追記】
〈方向の「ヘ」、目的地の「ニ」〉の例外になりそうな例を思いついた。
「{右/左}ヘ寄ってください」は、方向だと思うがたぶん「ニ」のほうが自然。
「前へ進んでください」「後ろへお下がりください」は、微妙だけど「ヘ」のほうが自然な気がする。
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