助詞「にも」と「でも」の用法 教えて!goo 辞書 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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 主として日本語関係のことを書いています。

 下記の仲間。 
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【20】 
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964513447&owner_id=5019671 

mixi日記2017年02月18日から 

 テーマサイトは下記。 
【助詞「にも」と「でも」の用法について】 
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/10299724.html 

===========引用開始 
外国人に日本語を教えています。先日、ネットの記事で見つけた次の2文が問題になっています。 
1.海外「にも」大きな反響が起こった 
2.海外「にも」大きな反響があった 
これらの文における「にも」は誤用であって、「でも」とするのが適切だと思いますが、どうでしょうか。 

ある人から次のような説明を受けていますが、私が考えすぎているせいなのか、いまひとつ釈然としません。できましたらそれについてもご説明いただければ幸いです。 
・「で」はその行為が行われる場所を示す。 
・「に」はその外から移動してくる場合や、元々そこに無かったものが出現(発生)する場合などに使う(見えない状態から見える状態に変化した)。 
===========引用終了 

 下記の仲間かな。 
【助詞の話──場所を示す「に」と「で」】 
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1210.html 

 結論だけを書くなら、 
1.海外「にも」大きな反響が起こった 
 は、ニモでもデモでもOKでしょう。 
2.海外「にも」大きな反響があった 
 は、ニモは少し不自然で、デモが自然に感じます。 

 日本語学習者を意識して、質問者がご存じのこともクダクダと書くことをお許しください。 
 話を簡略化するため、とりあえず「モ」を外し、「ニ」と「デ」で考えます。 
 どちらも「(動作・作用の行われる)場所」を表わす用法でしょう。辞書の記述は↑参照。 
 正確に言うなら、ニは「時・場所」を表わし、デは「場所・場面」を表わすようです。そのためか、両方が使える場合と、片方しか使えない場合があります。辞書の用例で考えます。 
 なお、こういう場合に両方使える場合のニュアンスの違いをいろいろ書くかたがいますが、今回の質問の趣旨からは外れるので、そこは無視します。ご興味があるなら、↑をご参照ください。 

  1)三時{ニ/デ×}間に合わせる(時間) 
  2)紙上{ニ/デ}発表する 
  3)家{ニ×/デ}勉強する 
  4)委員会{ニ×/デ}可決する(場面?) 
  5)試験{ニ△/デ}合格点を取る(場面?) 

 ↑の1)~5)を見ると、辞書の説明では理解できない差異があります。 
 2)3)はどちらも「(動作・作用の行われる)場所」でしょう。しかし、3)はニは×でしょう。 
 4)5)はどちらも「(動作・作用の行われる)場面」でしょう。4)は明らかに×なのに、5)はニも許容できそうな気がします。このあたりは辞書の限界の気がします。おそらく、「場面・場所」と「動詞」との相性の問題でしょう。 

 さて、ご質問の場合をモを外して考えます。 
  6)海外{ニ/デ}大きな反響が起こった 
  7)海外{ニ△/デ}大きな反響があった 

 ではないでしょうか。 
 この場合、「海外」は場所を表わし、ニやデとの相性はとくに問題ないでしょう。どちらも使えそうです。 
 そうなると問題は動詞の相性です。考えやすいように余計な部分を省略します。 

  8)海外{ニ/デ}反響が起こった 
 本当は「反響」も省略したいのですが、あえて残します。 
 どちらも使えそうです。意味は「海外」という「場所」で何かが起こった。これはフツーでしょう。書くまでもなかったかも(泣)。 

  9)海外{ニ△/デ}反響があった 
 ニは△でしょう。×かもしれません。 
 まぎらわしいのは、「反響」が別のものになるとニが自然になることです。 
  10)海外{ニ△/デ}貴重な事例があった 

  ※いかん。下記だ。

  10)海外{ニ/デ△}貴重な事例があった 


 この場合は「ニ」でしょう。 
 メンドーと思いながら「ある」を辞書でひきます。 

https://kotobank.jp/word/%E6%9C%89%E3%82%8B%E3%83%BB%E5%9C%A8%E3%82%8B-199751#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88 
「反響があった」は〈❺動作・現象が実現する。①何か事が起こる。〉でしょう。これは質問にある〈元々そこに無かったものが出現(発生)する場合などに使う(見えない状態から見える状態に変化した)〉に近いと言えなくはないかもしれません。 
「貴重な事例があった」は〈❶物が存在する。〉でしょう。 
 同じ「場所」でも、〈何か事が起こる〉場合はデ、〈物が存在する〉場合はニが自然に感じます。こちらの意味があるので、「反響」をあえて残しました。 

 念のため、元の例文に戻って確認します。 
1.海外「にも」大きな反響が起こった 
 「国内{ニ/デ}大きな反響が起こり」、「海外{ニモ/デモ}大きな反響が起こった」 
 ということでしょう。 

2.海外「にも」大きな反響があった 
 「国内{ニ△/デ}大きな反響があり」、「海外{ニモ△/デモ}大きな反響があった」 

 仮に〈物が存在する〉の意味のほうなら 
 「国内{ニ/デ△}貴重な事例があり」、「海外{ニモ/デモ△}貴重な事例があった」 
 くらいでしょうか。

 

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