「参加されてください」の是非 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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  •  下記の仲間。 
    日本語アレコレの索引(日々増殖中)【19】 
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1959556460&owner_id=5019671 

    mixi日記2017年10月19日から 

     テーマサイトは下記。 
    【「参加されてください」は正しい日本語ですか?】 
    https://oshiete.goo.ne.jp/qa/10005483.html 

    ===========引用開始 
    これまで「参加なさってください」「参加してください」を 
    よく聞いたのですが、最近「参加されてください」を初めて 
    聞き、違和感を覚えました。 

    しかし今日テキストで「挑戦され、合格されることを祈る」と 
    言う一文を読んで、「「される」が使われている、「挑戦なさり、 
    合格なさることを祈ります」よりは丁寧ではない感じだけど、、、、 
    「参加されてください」もあり得るのかなあ」と思いました。 

    どうなのでしょうか? 

    よろしくお願いします。 
    ===========引用終了 

     結論から書きます。 
    「参加なさってください」 
    「参加してください」 
     どちらもフツーの敬語です。 
    「参加されてください」は間違いと言ってよいでしょう。ただ、その理由を書くのは難問です。 
     おそらく、「慣習」とか「そういう言い方はしないから」としか言えません。 
    「二重敬語だから」というのは何かの勘違いです。もし「参加されてください」が二重敬語なら、「(ご)参加なさってください」も、「ご参加ください」も軒並み二重敬語になります。 
     これらは「敬語連結」と呼ばれるもので、「二重敬語」ではありません。 
     詳しくは下記をご参照ください。 
    よくある誤用34──敬語編4 二重敬語  「二重敬語」の定義/許容されている二重敬語…「二重敬語」と間違えられやすい「敬語連結」…「二重敬語」と間違えられやすい「お/ご〜いたす」 
    http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12282001284.html 


     さて、まず尊敬語の基本のおさらい。尊敬語の主な「一般形」には下記のものがある。 
    【敬語の基本資料】敬語の心得/敬語の基本/尊敬語/謙譲語……etc. 
    http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12281119438.html 
    ===========引用開始 
    ●尊敬語  『敬語再入門』P.44〜参照 
    1)お/ご〜になる(ナル敬語) 
    2)お/ご〜なさる 
    3)〜なさる 
    4)〜(ら)れる(レル敬語) 
     ※「お/ご〜される」は現段階では誤用。 

     このほか、「〜ください」なども尊敬語(の命令形)。 
    ===========引用終了 

     敬度で考えると、下記くらいだろう。詳しくは『敬語再入門』をご確認ください。 
      1) = 2) > 3) >>> 4) 

     質問は、動詞が「参加する」で、「〜ください」をつけている。 
    「〜ください」の部分を「〜くださいませ」「〜くださいませんか」「〜くださいますようお願い申し上げます」etc.……にかえれば、ほぼ敬度が上がっていき、まだまだ考えられる。キリがないのでパス。 

    1)’ご参加になってください 
    2)’ご参加なさってください 
    3)’参加なさってください 
    4)’参加されてください 
     このほかに、下記がある。 
    5)’ご参加ください   
     これは「1)’ご参加になってください」の縮約形と考えるべきものらしい。1)’はややクドいせいか、5)’のほうが一般的に使われる。 
     1)’〜5)’はどれもよさそうだが、「4)’参加されてください」とは言わない。理由は……言葉の神様に訊いてください。おのあたりは「慣習」としか言いようがない。 
     こういう話になると、「二重敬語だから」と主張する人がいる。もし4)’が「二重敬語」なら1)’〜5)’がすべて「二重敬語」になって、敬語の体系がグチャグチャになる(笑)。 

     一般に「レル敬語」はいちばん簡単に使えて、制約も少ないとされる。ただし、敬度が低い。

     敬語の初級者は「レル敬語」を使う傾向があるらしい。個人的にはそれでいいと思う。初級者向けの「レル敬語」を使い、それに慣れたら「ナル敬語」を使えばいい。 

     このあたりは「レル敬語」の制約なのかもしれない。 

    「ご参加されていただきたい」(※「いただく」は謙譲語) 

    「ご参加されてほしい」 

     etc.……全部Xだろう。補助動詞との相性が悪いのかもしれない。これは発見だった。今後の課題にしたい。とりあえずは、「慣習」と言うしかない。 

    【20171021追記】

     いかんなぁー。「このあたり〜」以下の5行を下記のように改めます。

    ===========開始

    「〜ください」などの補助動詞?との相性の悪さは、「レル敬語」の制約なのかもしれない。

    「ご参加されていただきたい」(※「いただく」は謙譲語) 

    「ご参加されてほしい」 

     etc.……全部Xだろう。補助動詞との相性が悪いのかもしれない。これは発見だった。今後の課題にしたい。とりあえずは、「慣習」と言うしかない。 

     あっ、そうか。そもそも「ご〜される」が誤用なんだから、「ご」をつけてはダメか。

    ===========終了

     

     ちょっと余談。「レル敬語」の欠点のひとつに「受身」と間違えられることがあげられる。 
     たとえば「先生が食べられた」と書くと、「先生が猛獣に食べられてしまった」と勘違いされる……などの主張を聞く。「可能にもとれる」という人もいるようだ。 
    「文脈でわかるだろう」とか言ってはいけない。たしかにそのとおりとも言えるのだから。 
    「ナル敬語」を使って「お食べになる」と言えば、こういう誤解をされる心配はない。 
     さらに敬語が使える人だと「食べる」の「特定形」を使って「召し上がる」と言う。「特定形」が自在に使えれば、もう一歩で上級者だろう。当方はとてもそんなことはできない(泣)。 
    【特定形の話 尊敬語 謙譲語I 謙譲語II 丁寧語(?)一覧 資料編】 
    http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3038.html

     

     うーむ。記憶力が使いものにならないレベルになっているかも。

     下記があった。4年近く前だけど、そんなにヘンなことは書いてないような(泣)。

    【~されてください ~なさってください】

    http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2901.html

     

     

     

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