下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
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mixi日記2010年02月25日から
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今回のトピは、下記。
【ものの と のに の違い】
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下記の続きと考えることもできなくはない。ただ、下記はあまり参考にならないだろうな。
【逆接の接続助詞「ものの」「ながら」「つつ」「にもかかわらず」「のに」の微妙なニュアンスの違い】
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本気で調べるなら、下記のトピの「20」の参考文献を読むことをおすすめする。そのくらいトンデモナイ問題なんだから。
【日本語の難しさはここだ】
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今回は「ものの」と「のに」限っているので、少し調べる気になる。
前回のように5つもあると手に負えない(笑)。
それでも辞書の引用と説明が長いので後ろに回す。
トピ主の「0」の要約。
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「ものの」と「のに」の違いって何でしょうか?
「ものの」には「意外」という意味があると思うのです。
大学は卒業したものの、まだ就職先は決まっていない。
でも、「ものの」に不平、不満を表す意味もあるような気がします。
あの店の料理は高いものの、おいしくない。
この例文は不平、不満を表す「のに」に置き換え可能ではありませんか?
私は「ものの」は「のに」に比べて、不平、不満の気持が小さいのではないか?(「ものの」の方が「のに」に比べて客観的な感じがするという語感からの判断なのですが。)という考えに達したのですが、あっているのでしょうか?
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ちゃんと考えようと思うと、たいへんな問題になると思う。
細かいニュアンスは、部分的には「1」のコメントに賛成。
ものの→やや書き言葉的
のに→やや話し言葉的
これは間違いないだろう(根拠をあげろ、と言われたら困るけど)。たいへんなのはそれから先。
「ものの」と「のに」がどう違うのかの答えは、いくつかの段階があると思う。
●第1段階の答え……「のに」は「意外・不平」の意味があり、「ものの」にはない
辞書の意味を見比べればわかるが、「のに」には「意外・不平」の意味がある。「ものの」にはない。これは明らかに違う。
これが辞書の記述を信じた第1段階の答え。
●第2段階の答え……「のに」と「ものの」はほとんど同じ
「のに」は「意外・不平」を表すことがある。じゃあ、そもそも「意外」と「不平」はどう違うか。
これは「意外」の一部が「不平」ってことだと思う。簡単な例をあげる。
来ると言ったのに彼は来なかった。(不平)
来ないと言ったのに彼は来た。(喜び?)※「来てくれた」にするともっとハッキリする。
「意外」が好ましくない方向なら「不平」だが、好ましい方向なら「喜び?」ってこと。どちらになるのかは文脈しだい。両方をまとめると「意外」ってことだろう。
ただし、「意外」の意味をもつのは「のに」だけではない。辞書には記載がないが、「ものの」だって「意外」のニュアンスをもつことがある。それは逆接の接続助詞だから当然のこと。「けれども」でも「が」でも同じことだろう。逆接なんだから、「予想どおり」よりも「意外」に決まっている。
ここで考える必要があるのは終助詞の「のに」の働き。辞書を見てもこちらは「不平」を表わす感が強い。その影響を受けて、接続助詞の「のに」もそういうイメージが強くなっている気がする。
ただし、個人的には「ものの」と「のに」の意味にほとんど差はないと考えている。そういう厳密な考え方をするのがメンドーなだけかもしれない。
トピ主があげた例文で見てみる。
1)大学は卒業したものの、まだ就職先は決まっていない。
2)大学は卒業したのに、まだ就職先は決まっていない。
3)あの店の料理は高いものの、おいしくない。
4)あの店の料理は高いのに、おいしくない。
1)と2)では、意味はほとんどかわらないだろう。
3)と4)でも、意味はほとんどかわらないだろう。
「けれども」や「が」にしても、ほとんどかわらないと思う。
ちなみに、不平とは限らないことは「あの店の料理は安いのに、おいしい」とすればわかる。「あの店の料理は安いものの、おいしい」は少しヘンな気がするが、理由はわからない。
「のに」と「ものの」はほとんど同じ。ほかの逆接の接続助詞も意味に大きな違いはない。
これが第2段階の答え。
●第3段階の答え……「のに」と「ものの」にはやはり微妙な違いがある
じゃあ、「のに」と「ものの」は意味も用法もまったく同じかと言うと、微妙な違いはある。違う言葉なんだから、当然だろう。
でもそんな厳密なことを考えるのは国語学者の仕事だと思う。それこそ、↑にあげた参考文献を読まないとわからない。
とりあえず当方がわかるのは、最初にあげたこと。
ものの→やや書き言葉的
のに→やや話し言葉的
似たような例を↑のリンク先から引用する。
【逆接の接続助詞「ものの」「ながら」「つつ」「にもかかわらず」「のに」の微妙なニュアンスの違い】
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たとえば、「逆接の接続詞」をどう使い分けるのか、と訊かれたらどう答えるべきか。「基本的には同じだけど、文脈による」としか言えないと思う。違う言葉なんだから、微妙なニュアンスは違うだろう。文脈によってAは入るけどBは入らない、ってことはある。
ものすごく簡単な例をあげると、かたい文体なら「でも」より「しかし」のほうがふさわしい。でも意味はかわらないし、「でも」が間違いってわけではない。それもこれも文脈しだい。
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たとえば先にあげた例文で考えてみる。
来ると言ったのに彼は来なかった。(不平)
来ないと言ったのに彼は来た。(意外)
これは「のに」を「ものの」にはしにくい。「ものの」にしても間違いではないだろうが、少しヘン。
このように、「のに」と「ものの」の一方しか使えない例文をいくつもあげれば、「のに」と「ものの」がわかるかもしれない。当方にはそこまで考える知識がない。
●第4段階の答え(仮説)……「のに」のほうが用途が広いのかもしれない
正確なところはわからないが、なんとなく予想できるのは「のに」のほうが用途が広いだろうな、ってこと。辞書で「ものの」の例文になっているのは下記の2つ(古文は除く)。
「習いはした―、すっかり忘れてしまった」
「新機軸を打ち出した―、採用はされなかった」
どちらも「のに」に書きかえ(「言いかえ」も含む)ることできる。しかし、「のに」のほうの例文のなかには「ものの」にしにくいものがある。個人的にも「ものの」を使うことはめったにない(たぶん、「ものの」が「やや書き言葉的」だから)し、「のに」の使い方だけ知っていれば十分じゃないだろうか。さすがに乱暴かな(笑)。
●第5段階の答え(仮説)……一部「のに」に書きかえにくい「ものの」もある
たいていの「ものの」は「のに」に書きかえられる。
ただ、一部「のに」に置きかえにくい例もある。
下記の例などは「ものの」を「のに」にしにくい。
1)「のに」のほうが用途が広いとはいうものの、例外はある。
この場合、もし書きかえるなら「いうものの」→「いっても」くらいだろう。このあたりの理由を考えはじめると、ホントにトンデモナイことになりかねない。
たぶん、『大辞泉』の末尾の注にある「慣用的に用いられる」場合は「のに」にしにくいってことだと思う。
トピの「2」で出てきた下記の例も「のに」にはしにくい。
2)途中で気がついたから良かったものの、そうじゃなかったら
今頃火事になっていたわ。
この場合、もし書きかえるなら「良かったものの」→「良かったが」くらいだろうか。
1)や2)がなぜ「のに」にしにくいのか、理由はよくわからない。そういうむずかしい話は専門家におまかせする。そのうち改めて考えてみたい。
【辞書の引用と説明】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
まず例によって、まずネット辞書(『大辞泉』)をひく。
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ものの
[接助]《形式名詞「もの」+格助詞「の」から》活用語の連体形に付く。逆接の確定条件を表す。…けれども。…とはいえ。「習いはした―、すっかり忘れてしまった」「新機軸を打ち出した―、採用はされなかった」
・「をかしき―、さすがにあはれと聞き給ふ節もあり」〈源・明石〉
◆現代語で「ものの」は、「とはいうものの」「いいような(よかった)ものの」などの形で慣用的に用いられることが多い。
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のに
[接助]《準体助詞「の」+接続助詞「に」から》活用語の連体形に付く。内容的に矛盾する二つの事柄を、意外・不服の気持ちを込めてつなげる意を表す。「東京は晴れな―大阪は雨だ」「十分言い聞かせた―理解していない」「九月だという―真夏の暑さだ」
・「それはまあ、よく忙しい―、気をつけておくれだ」〈人・娘節用・後〉
[終助]《の文末用法から》活用語の連体形に付く。不平・不満・恨み・非難などの気持ちを表す。「これで幸せになれると思った―」「いいかげんにすればいい―」
・「あれほど待って居てくんなといふ―」〈滑・浮世風呂・二〉
◆近世以降用いられ、近代になって多用されはじめた。他の逆接の助詞「けれども」「が」などに比べると逆接の意が強い。
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まあこんな感じだ。「のに」の終助詞に関しては、とりあえず考えなくていいだろう。
「のに」の末尾の注に関して疑問が湧く。〈他の逆接の助詞「けれども」「が」などに比べると逆接の意が強い〉なんてことが言えるのだろうか。
今度は『大辞林』をひく。
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のに
〔補説〕 接続助詞「に」の前に準体助詞「の」が挿入されてできたもの。近世以降の語
活用語の連体形に接続する。形容動詞型活用の場合、終止形に接続することもある。
1(接助)
[1]既定の逆接条件を表す。意味内容の対立する二つの事柄を、意外・不服の気持ちをこめてつなぐ。
・昔は静かだった―、今は自動車の洪水だ
・一生懸命勉強した―、だれもほめてくれない
・もうすっかり丈夫な(だ)―、旅行を許してくれない
また、「というのに」「いいのに」の形で慣用的に用いられることもある。
・正月だという―、晴れ着も作れない
・よせばいい―、無理するからよ
[2]逆接的な意味がほとんどなく、ただ二つの事柄をつらねて言い表す場合に用いられることもある。
・併しお前は上品だ―肌目が細かいから、汗なんぞをおかきではないね〔出典:人情本・英対暖語〕
2(終助)
〔補説〕 1 における、前件に対する後件が省略されたもの
[1]意外な結果に対する、恨み・不服の気持ちを表す。
・欲しいと言えば、買ってあげた―
・ああ、せっかく学校が休みな―なあ
[2]相手の非を責め、なじる気持ちを表す。
・知りませんって言えばいい―
・以前からのお知り合いでいらっしゃった―ねえ
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〈他の逆接の助詞「けれども」「が」などに比べると逆接の意が強い〉なんてことは書いていない。むしろ「逆接的な意味がほとんどなく、ただ二つの事柄をつらねて言い表す場合に用いられる」こともあるとのこと。
どちらが正解なのかはわからない。ただ、逆接の接続助詞を並べてどれが「逆接の意」が強いかなんて、簡単には決められないと思う。
133
逆接の接続助詞「ものの」と「のに」の違い2
今回のトピは、下記。
【ものの と のに の違い】
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例によってトピの話がついていけない流れになってしまった。
当方の知識では、「8」以降のやり取りがサッパリ理解できない。
トピ主は理解できているのだろうか。
このコミュはこういう専門的なやり取りをするところなんだろうか。もちろん、場合によっては専門的な話に踏み込むことも必要だろうが……。
そもそも、こんなにむずかしい話をするべき問題なのだろうか。
そりゃ「ものの」しか使えない場合、「のに」しか使えない場合を体系的にまとめようとするととんでもないことになるような気がする。主観にもかかわってきそうだから、たいへんだろうな。
前にも同じようなことがあったのを思い出した。
「らしい」と「ようだ」をめぐって 独り言です46くらい──日本語教師関連編21くらい※全体公開
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↑のコメント欄で下記のように書いた。
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たしかに「どう違うのか」と訊かれれば、なんらかの説明は必要だと思います。この用法に関しては「らしい」と「ようだ」は「ほぼ同じ」で、「ただし〈ようだ〉のほうが用途が広い」ということではダメなんですかね。
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これと同様のことが言えるのではないだろうか。
たしかに「ものの」と「のに」が「どう違うのか」と訊かれれば、なんらかの説明は必要だと思う。基本的には「ものの」と「のに」は「ほぼ同じ」で、「ただし〈のに〉のほうが用途が広い」ということではダメなんですかね。それ以上説明しても混乱するだけのような気がする。
学習者のレベルによっては、以下を付け加えてもいいだろう。
「ものの」はちょっと古くさい印象のある言葉なので、「のに」などを使うほうが自然。
「ものの」を「のに」にしにくい場合もあるが、そのときは「が」「けれども」などにすればいいだろう。
以下はほぼ独り言。kさんがトピに戻ってきたら、コメントとして入れたいと思う。
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困ったなぁ。
下記のコメントを書いたんだけど、とても投入できる雰囲気ではない。
とりあえず保留。
>4 kさん
体調がよくなってからで構いませんので、もう少し解説していただけませんか?
仮に番号をつけます。
1)連体修飾句に入れるかどうか。
2)主節にノカ疑問文が現れるかどうか。
3)主節に禁止がくるかどうか。
4)条件句の時点の解釈が主節の時点に制約されるかどうか。ノニは、主節の時点との関係で逆接句の時点が決まる。モノノは主節の時点と独立に逆接句の時点が決まる。
5)主題を含むかどうか。
6)陳述副詞を含むかどうか。
7)ラシイ・ヨウダ・ソウダ・ハズダ・ニチガイナイ・カモシレナイ・ベキダを含むかどうか。
当方の読解力では理解しきれず、疑問がいくつかあります。屁理屈みたいで済みません。当方は「ものの」をほとんど使わないので、語感がまったく働きません。じっと見ていると、「ものの」を使った文は何もかも非文に思えてきます。逆に、なんかおかしいし自分では使わないけど非文とまでは言えないと思えてくるものもあります。
1)連体修飾句に入れるかどうか。
(彼は)財産はないものの気持ちの優しい男だ。
は非文でしょうか。※これは「のに」にしにくい気がします。
2)主節にノカ疑問文が現れるかどうか。
おいしくはないもののかろうじて食べられるということですか?
は非文でしょうか。※これは「のに」にしにくい気がします。
3)主節に禁止がくるかどうか。
雨が降りはじめたものの、作業は中断するな。
は非文でしょうか。※これは「のに」にしにくい気がします。
5)主題を含むかどうか。
*このネコはもう餌を食べないものの、我々は餌をやり続けている。
は非文でしょうか。微妙な気が……。
6)陳述副詞を含むかどうか。
*折角探したものの、返さなければならない。
は非文でしょうか。微妙な気が……。
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