日本語アレコレの索引(日々増殖中)
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下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【17】
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mixi日記2016年05月04日から
テーマサイトは下記。
【「ネイティブ向けの英文法入門書ってないすかね?」】
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家主のコメントの引用部と、当方のコメントを抜粋する。
==============引用開始
(以下引用)
(26)今度の試験では、80点も取れた。
試しにモを取り除いてみると、「80点取れた」という事実が言い表されるだけのことになりますね。モが付くと、やはり特別なニュアンスを帯びますね。「80点取れたのは意外だ(予想外だ)というような意味になりませんか。ここで、さっきモの話をしたときのことを思い出してください。モには意外性のニュアンスを表す用法があることを指摘しておきましたね。(26) は、そのような使い方の例だと考えられます。つまり、試験の点数として80点というのは取れそうもないと予想していたのに、現実には80点取れたということが言いたいのだと思います。ここでも、取り立ての意味が立派に生きているというわけです。(引用終わり)
【tobiクンのコメント】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
この引用文だけではなんとも言えないところもありますが……。
助詞の話はどこまで行っても難解で。
「80点も取れた」の「も」の働きひとつをとっても。
親が子供に「80点も取れた」と言うなら「意外性」かもしれません(失礼な親だな)。
これが自己申告だとかなりニュアンスがかわり、「強調」の気がします。
こういう問題に関しては文法辞典をひくのが正道でしょうが、あえてWeb辞書レベルでなんとかすることにしています。
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「意外性」の解釈は、『大辞泉』だと
〈5 驚き・感動の意を表す。「この本、三千円―するんだって」〉でしょう。
『大辞林』だと……ない?
「強調」の解釈は、『大辞泉』だと……ない?
『大辞林』だと
〈④極端な事物を提示し,強調する。…さえも。 「聞いたこと-ない話」 「太っ腹の社長-,今度はまいったようだ」〉
でしょう。
うーん。ここまで悲惨なのも珍しい(泣)。
かと言って、「意外性」と「強調」を同じものと考えるのは無理でしょう。
もう少しわかりやすい例で考えます。
「この本、5万円もするんだって」
フツーに考えれば「意外性」でしょう。
でも、「このテの専門書が高いのは常識だよ。1万円を超えるのはザラだよ。でもいくらなんでも5万円もするのはありえないだろ」……となると「強調」でしょう。
ウーン。当方は何を言いたいのだろう(泣)。
==============引用終了
やはり助詞の話はやっかいすぎる。子供と同じくらい扱いにくい、と昔から言われているとおり。
【助詞に関する話】
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「モ」の話だと下記があったな。
助詞の話8「モ」の特殊用法──夜もふけてまいりました 宴もますますたけなわ 朝も早くから
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それにしても、Web辞書のモの記述は悲惨すぎる。ガやハだともう少しマシな気がしたけど。
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==============引用開始
デジタル大辞泉の解説
も[係助・接助・終助]
[係助]種々の語に付く。
1 ある事柄を挙げ、同様の事柄が他にある意を表す。…もまた。「国語―好きだ」「ぼく―知らない」
2 同類の事柄を並列・列挙する意を表す。「木―草―枯れる」「右―左―わからない」
3 全面的であることを表す。
㋐不定称の指示語に付き、全面的否定、または全面的肯定を表す。「疑わしいことは何―ない」「どこ―いっぱいだ」「だれ―が知っている」
㋑動詞の連用形や動作性名詞に付き、打消しの語と呼応して、強い否定の意を表す。「思い―よらぬ話」「返事―しない」
4 おおよその程度を表す。…ぐらい。…ほど。「一週間―あればできる」「今なら一万円―しようかね」
5 驚き・感動の意を表す。「この本、三千円―するんだって」
6 ある事柄を示し、その中のある一部分に限定する意を表す。…といっても。…のうちの。「中世―鎌倉のころ」「東京―西のはずれ」→もこそ →もぞ →もや
大辞林 第三版の解説
も
一
( 係助 )
種々の語句に接続する。
①類似した事物を幾つか取り出し並べて提示する。「…も…も」の形をとることが多い。 「血-涙-ない男」 「野に-山に-春がきた」 「世界の男,あてなる-いやしき-,いかでこのかぐや姫を得てしがな,見てしがなと,音に聞きめでて惑ふ/竹取」
②他にも類似の事物が存在することを言外にほのめかす形で,ある事物を提示する。 「英語-ろくにできないくせに」 「君のこと-頼んでおいた」 「心なき身に-あはれは知られけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ/山家 秋」
③不定を表す言葉に付いて,全面肯定・全面否定を表す。 「何-知らない」 「だれ-が知っていること」 「なに-あらむもの給へ/落窪 1」
④極端な事物を提示し,強調する。…さえも。 「聞いたこと-ない話」 「太っ腹の社長-,今度はまいったようだ」
⑤動詞の連用形や動作性名詞に付いて,下に否定の語を伴い,打ち消しの意を強めて表す。 「ふりむき-しない」 「いちべつ-くれない」
⑥詠嘆・感動の意を表す。 「書き-書いたり,一日五千枚」 「こう-暑くてはやりきれない」 「限りなく遠く-来にけるかな/伊勢 9」
⑦係助詞「こそ」「ぞ」「や」「か」などを伴って用いられる。 → もこそ(連語) ・ もぞ(連語) ・ もや(連語) ・ もか(連語)
==============引用終了
「特殊用法」のモ(夜もふけてまいりました/宴もますますたけなわ/朝も早くから)あたりが出ていないのはしょうがない。逆に言えば、Web辞書レベルには出ていないから「特殊用法」なんだから。
でも「今度の試験では、80点モ取れた」のモが説明できないのはマズくないか?
↑では、フツーに考えれば「意外性」(「驚き」でも「感動」でもいいけど)で、少しヒネると「強調」だろう、と書いた。
しかし、『大辞泉』には「強調」がない。
『大辞林』には「意外性」がない。
この痛み分けは痛すぎるだろう。
ついでに書いておくと、『大辞林』の〈④極端な事物を提示し,強調する。…さえも。〉はちょっと違う気もする。「今度の試験では、80点も取れた」のモは「さえも」にはしにくい。あえて書きかえるなら「までも」かな。
ちゃんとした文法辞典をひくと、それはそれでたいへんなことになるんだろうな。
庭先生のサイトを見る。
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〈「数量+も」は肯定文の場合、数量の多さを強調します。〉か。
「意外性」はとくに区別しなくてもいいのかなぁ。シンプルにまとめられるなら、それに越したことはないんだけど。
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