反対語の混迷〈4〉 「重厚」の反対語 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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 下記の仲間。 

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【16】 

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1945401266&owner_id=5019671 


 直接的には下記の続きだろうな。 

【反対語の混迷〈1〉~〈3〉】 

http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12117810035.html 


 テーマサイトは下記。 

【「重厚」の反対は、「軽薄」? インテリアについて】 

https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9153628.html 

==============引用開始 

インテリアのテイストの話ですが 


重厚感の反対のイメージは、何という言葉になるでしょうか? 


重厚の反対語は「軽薄」でした。 


ただ、軽薄なインテリア、と言うと、なんか違う感じです。 


軽い、優しくソフトなイメージのインテリアを表す言葉はどんな言葉になるでしょうか? 

==============引用終了 


 実におもしろい。 

「反対語」が一筋縄に行かないのは〈1〉~〈3〉で書いたとおり。 

 ここで問題です。 

「重厚」の反対語はなんでしょう。 

 一般的な答えは「軽薄」。 

「重厚長大」に対して「軽薄短小」って言い方もある。 

 ここで注意したいのは、日本の古くからの価値観として、「重厚」を重んじる傾向があること。それは「重んじる」と「軽んじる」を比べてただけでもよくわかる。日本人は元々「重厚長大」が好きなのよ。「大きいことはいいことだ」なんてコピーもあった。それは欧米でも同じかな。「山椒は小粒でピリリと辛い」「大男……」そういう都合が悪いのは無視する。(←オイ!) 


 お題はインテリアの「重厚(感)」の反対の意味。 

 これはさすがに「軽薄なインテリア」とは言わない。 

「重厚」はいろいろなものの形容に用いられ、形容されるものによって反対のイメージがかわってくる気がする。 

 たとえば、下記のような感じ。あくまでも「感じ」なので鋭すぎるツッコミは入れないように。 

「重厚な性格」⇔「軽薄な性格」 

「重厚な文章」⇔「軽妙(洒脱)な文章」 

「重厚な音楽」⇔「軽快な音楽」「軽やかな音楽」「繊細な音楽」 


「重厚なインテリア」だと……真っ先に浮かぶのは「シンプルなインテリア」だな。 

 このシンプルを「単純」と訳してはいけない。それだと一般的な反対語は「複雑」になってしまう。 

 あとは「ライトテイストなインテリア」かな。 

 これが実質的に何を言ってるのか深く考えてはいけない(笑)。 

 要するにガラーンとしていて殺風景……などと言ってはいけません! 

「素朴」「飾り気のない」「簡素」あたりもアリかもしれない。 

 ちなみに、旅行ガイドブックでは、そういう部屋のインテリアを「シンプルな」「機能的な」「明るい雰囲気」「落ち着いた雰囲気」などと言ったりする。まぁ、そういうことです。 


 ここで考えたいのは、「シンプルなインテリア」の反対のイメージ。 

 おそらくそれは「重厚」ではない。 

「シンプル」という言葉が妙に響きがいいもんで、反対語は「装飾過多」「ゴテゴテ」になってしまう。 

「重厚」を悪い方向にかえて、「重苦しい」「鈍重」あたりもアリだろうか。 

 装飾が施された見事な内装はなんていうのだろう。たとえばコロニアル様式? 日本で言うなら日光東照宮? 「デコラティブな」「ゴージャスな」etc.……。 


「重厚」と言うと真っ先に浮かぶ言葉はバロックかな。建築様式しかり、音楽しかり。 

 ただ、インテリアにバロック風があるかないかはなんとも言えない。 

 大聖堂の内装は「重厚」とも言えるけど「華麗」とかのほうがふさわしいような。これもケース・バイ・ケースかな。まぁ、ゴテゴテと紙一重とも言う。(←オイ!) 

 どうも「重厚な内装」の具体的なイメージが浮かばない。建築様式の「重厚」はイメージが湧くのだが。その意味では「コロニアル様式」もどちらかと言うと建築様式かな。





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