下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【16】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1945401266&owner_id=5019671
テーマサイトは下記。
【「前進する」と「以前」との違い...】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9144925.html
==============引用開始
すいません、ほんと、細かいことなんですが...教えてください m(_ _)m
「前進する」とかと、「以前」とかの、「前」は、別の意味なんでしょうか???
「前進する」は、それこそ、目の前に進むことですよね。
しかし、「以前」の 前 は、過去の話、これまでの過去の話ですよね。
同じ「前」なのに、ある時は目の「前」の話で、別の時は目の「後ろ」(!?)の話になっています。
この違いは、何なんでしょう???
こだわりだしたら、夜も眠れなさそうです...
是非ぜひ、教えてください。よろしくお願いします!
==============引用終了
この「前」の話は昔からいろいろ出ている。
【前 空間 時間】の検索結果。約 52,600,000 件
素人がウカツに口を挟んではいけないとは思うが、↑のリンク先を見ても何がなんだか。
「前進する」は「空間的な前」の話で、「以前」は「時間的な前」の話ってことだろう。
地道に辞書をひく。全文は末尾に。
o( ̄ー ̄;)ゞううむ 。
『大辞泉』の〈ぜん〉と〈漢字項目の「ぜん」〉と「まえ」で、記述が微妙に違う。
今回のテーマに関しては〈漢字項目の「ぜん」〉がよさそう。「3」は省略する。ほかの記述のどれに相当する……なんて考えるとキリがなくなる。
1 空間的にまえの方。進んでいく方向。
2 ある時点よりもまえ。
「前進」は「1」の例にあり、「以前」は「2」の例にある。
空間的には「進んでいく方向」で、時間的には「ある時点よりもまえ」。方向としては逆の印象になるけど、そういうものだからしかたがない。「後(うしろ・ご・あと)」の場合もほぼ同様だろう。
これでスッキリ解決したつもりで、大きな例外がある。質問サイトだとNo.4のかたが少し書いている。
「鏡の前に」「木の前に」……これだとちょっとわかりにくいかな。
ゴルフの最中にキャディーがアドバイスをする。「あの一本杉の30ヤード前くらいを狙ってください」
「進んでいく方向」なら、目標地点は一本杉の「向こう」になるはず。実際には、「手前」だろう。
「鏡の前」も「木の前」も、同様に「手前」になる。基本的には自分が基準点になるはずだが、この場合は違う。なんでこんなことになるのかはわからないけど、そういうものだからしかたがない。
言葉の問題は、キッチリ説明しきれないことがいくらでもある。
さらに妙な「前」の例。
「左前」は、和服の右衽(おくみ)と左衽のどちらが前になるのか。これも通常の感覚と逆になると思うが、そういうものだからしかたがない。
詳しくは下記をご参照ください。
【おにーちゃんの知恵袋3なのか?──なぜ「左前」なんだ?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-69.html
さらにはこんな話もあった。
592)【「好ましい日本語」をめぐって34くらい──「くだらない」と「つまらない」 「生前」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2171.html
「死ぬ前」なのになんで「生前」? そういうものだからしかたがない。
やはり「前」はよくわからない……が結論になる。。
「前」がらみでは、以前、下記のような質問もあった。
【駅前と駅の前、その二つの言葉はどんな違いがありますか。お教えください。】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9122013.html
これはこれでNo.1のかたとNo.3のかたの意見が正反対のような。どちらも単なる主観のようなので、判断のしようがない。個人的には、「駅前」と「駅の前」の違いは言葉の神様のレベルの話だと思う。
==============引用開始
デジタル大辞泉の解説
ぜ【▽前】
[接尾]《「ごぜ(御前)」の略》人を表す語に付いて、尊敬の意を添える。「尼―」
ぜん【前】
[名]ある時点より早い時。順序として早く現れるほう。まえ。さき。
[接頭]
1 いまより一つまえの意を表す。「―議長」「―世紀」
2 現状になるまえの、の意を表す。「―近代的」
3 二つに分けたもののまえのほうの意を表す。「―半生」
[接尾]
1 名詞に付いて、それ以前である意を表す。「使用―」「第二次大戦―」
2 助数詞。
㋐机・脇息・懸盤(かけばん)などを数えるのに用いる。
㋑神や社殿などを数えるのに用いる。
「一―の閼伽(あか)を備へて」〈今昔・一一・七〉
「摂社末社すべて三十余―、巍々(ぎぎ)としてつらなれり」〈滑・膝栗毛・八〉
ぜん【前】[漢字項目]
[音]ゼン(呉) セン(漢) [訓]まえ さき
[学習漢字]2年
〈ゼン〉
1 空間的にまえの方。進んでいく方向。「前後・前進・前途・前方・前面・前輪/眼前・現前・敵前・風前・仏前・面前・目前・門前」
2 ある時点よりもまえ。「前回・前期・前日・前代・前兆・前歴/以前・空前・午前・最前・産前・事前・従前・食前・生前・戦前」
3 順序が先に出たほう。「前記・前項・前者・前述・前編・前略」
〈まえ〉「前髪・前金/腕前・手前・出前・名前」
[名のり]くま・さき・すすむ・ちか
[難読]前栽(せんざい)・点前(てまえ)
まえ〔まへ〕【前】
[名]《「目(ま)方(へ)」の意》
1 普通の状態で顔または視線の向いている方向。おもて。前方。「まっすぐ―を向く」⇔後ろ。
2 他人のいるところ。面前。「子供の―でそんなことは話すな」
3 建物などの正面。表の方。「駅の―の大通り」「像の―で記念写真をとる」⇔後ろ。
4 その事柄に対した時の状況。「新企画の―に立ちはだかる難問」「厳格な規則の―には手も足も出なかった」
5 連続するものの初めの部分。さき。「行列の―を歩く」「―から八番目の席につく」⇔後ろ。
6
㋐ある時点より前。「三〇分ほど―に電話があった」
㋑以前。むかし。「―に会ったことがある」「―のことを持ち出す」
7 順序の先のほう。「―からの約束」「―のページ」
8 身体の正面の部分。また、陰部。「―をはだける」「―を隠す」
9 前歴。特に、前科。「―がある」
10 正面の庭。前庭。
11 神の御身。神を直接指すのを避けて付ける語。
12 神・貴人を敬っていう語。
13 「前神」の略。
14 連歌・俳諧で、前句のこと。
15 女性の名の下に付いて、尊敬の意を表す。
[接尾]
1 名詞や動詞の連用形などに付いて、それに相当する分量や部分などを表す。「五人―」「分け―」
2 名詞に付いて、その属性・機能などを強調する意を表す。「男―」「腕―」
==============引用終了