「する」と「させる」〈2〉 辞書 自動詞と他動詞〈5〉 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【14】 

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1935528999&owner_id=5019671 

 

 下記の続き。 

【「する」と「させる」教えて! goo 辞書 自動詞と他動詞〈4〉】 

http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12022048252.html 

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1941672700&owner_id=5019671 

 

 ↑の話がずっと気になっていた。 

 とっても気になって気になって、南国のフルーツ並みにたわわにキになっていた。 

 元の質問。 

==============引用開始 

「する」「させる」は、本来まったく意味が異なるはずなのに、なぜ、 

ア、「歌が彼女の気持ちを明るくした。」 

イ、「歌が彼女の気持ちを明るくさせた。」 

が、両方ともほぼ同じ内容をあらわすのでしょうか。それとも、後者は間違いなのでしょうか。 

==============引用終了 

 いろいろ考えた結論。「明るくした」って例文が「自動詞」と解釈できないので説明がしにくいのでは。 

「(形容詞・形用動詞)~する」はいろいろあり、自他両用の形をとることがあるけど、自動詞になりにくいときもあるし、他動詞になりにくいときもある。どういう法則性があるのか……いまは不明。 

 ちなみに『大辞泉』の記述では、下記の用法がわかりにくい。 

https://kotobank.jp/word/%E7%82%BA%E3%82%8B-544032#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88 

==============引用開始 

大辞林 第三版の解説 

 

する【為る】 

( 動サ変 ) [文] サ変 す 

 

❸(形容詞・形容動詞の連用形に付いて)その状態にならせる。その状態を出現させる。 「髪を長くする」 「これまでの経緯を明らかにする」 「静かにしなさい」 

==============引用終了 

 

 元の例文が下記だったら、すっきり説明できる。以下、理由はよくわからないけど過去形(正確にはタ形)のほうがシックリくるので、過去形で書く。 

==============引用開始 

「する」「させる」は、本来まったく意味が異なるはずなのに、なぜ、 

ウ「先生の言葉が生徒を大人しくした」 

エ「先生の言葉が生徒を大人しくさせた」 

が、両方ともほぼ同じ内容をあらわすのでしょうか。それとも、後者は間違いなのでしょうか。 

==============引用終了 

 

 ウの「~した」は他動詞用法。 

 エの「~させた」は自動詞用法の使役形。 

 使役形を外した形は「(先生の言葉で)生徒が大人しくした」 

 仮に他動詞の使役形と考えるなら、別の「ガ格」もしくは「ニ格」が必要になる。 

「校長先生ガ(担任の)先生に(言葉で)生徒を大人しくさせた」 

「先生がクラス委員ニ生徒を大人しくさせた」 

 

「~した」が自他両方の形で使えるなら、形容動詞でも同様の考え方ができる。 

●他動詞 

オ「先生の言葉が生徒を静かにした」 

●自動詞の使役形 

カ「先生の言葉が生徒を静かにさせた」 

 ただの自動詞「(先生の言葉で)生徒が静かにした」 

 他動詞の使役形。 

「校長先生ガ(担任の)先生に(言葉で)生徒を静かにさせた」 

「先生がクラス委員ニ生徒を静かにさせた」 

 


 このようにすっきり説明できるのは「~する」が自他両用の場合だけで、むしろレアケースなのかも。 
【「自動詞だけ」の場合】 
●自動詞 
 意識がはっきりした。 
●自動詞の使役形 
 (その衝撃が)意識をはっきりさせた。 
「意識をはっきりした」の形にはしにくい。 

【「他動詞だけ」の場合】 
●自動詞 
 歌で彼女の気持ちが明るくなった 
●他動詞 
 歌が彼女の気持ちを明るくした 
●自動詞の使役形 
 歌が彼女の気持ちを明るくならせた× 
 歌が彼女の気持ちを明るくさせた 
 原理的には自他両用のときと同じことだと思うが、この説明はちょっと強引でわかりにくいかもしれない。 

 自他両用のケースは……〈漢語+する〉ならいくつか浮かぶんだけど。 
『大辞林』の例文で考える。「静かにしなさい」は命令形をやめたら↑のとおり。 
・髪を長くする/髪を長くさせる 
・これまでの経緯を明らかにする/これまでの経緯を明らかにさせる 
 これは元々の質問の「明るくする」と同様。「~が~なる」の形でも使わなければ自動詞にはしにくい。「大人しくする」と「明るくする」でなぜそんな違いが出るのかは言葉の神様に訊いてください。 
 ただ、考え方としては同じだと思う。 

 同じようでも、「長髪にする」だと、自他両方アリの気がするが、そこはかとなくぎごちない。いっそ「坊主」にすれば多少自然かも(笑)。 
●他動詞 
「母親が子供を長髪にする」 
●自動詞の使役形 
「(母親が)子供を長髪にさせた」 
●自動詞 
「子供が長髪にする」 
●他動詞の使役形 
 どうなるんだろ? 



 以下、思いつくままに例をあげていく。 
 なんせ自他の境い目自体が曖昧で……。 

〈他だけ〉(自は「~なる」〉 
明るくする 
明らかにする 
強くする 
大きくする 
長くする 

〈自だけ〉 
沸騰する 
感動する 
はっきりする 
すっきりする 
勝手にする 

〈自他両形〉 
完成する 
混入する
輩出する※間違いなく自他両用なんだけど、語感が働かない(泣) 
発射する※自はやや不自然か? 
発車する※他はやや不自然か? 

 

自慢する※「自慢させる」にはしにくい  

 問題は解決したはずなんだけどなぁ……。
【続「する」「させる」】

https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8998066.html

 

 


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