よくある誤用41──定番の質問。「○○円、頂きます」「○○円、頂戴いたします」「○○円、お預かり | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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よくある誤用41──定番の質問。「○○円、頂きます」「○○円、頂戴いたします」「○○円、お預かりします」「○○円からお預かりします」「○○円から頂きます」

 

 レジでお金を受け取るとき、どう言うのが適切か。

 

 これもいろいろな説があります。
 「(から)頂きます」でも「(から)頂戴いたします」でも「(から)お預かりします」でも「間違い」ではないでしょう。以下は「厳密に考えるとこんな考え方ができるかもしれない」くらいのことです。
 大前提として、お釣りがあるときとないときに分けて考えるべきです。
 
 詳しくは下記をご参照ください。
 以下は一部の抜粋(重言)。
 
 
 「頂戴します/頂戴いたします」は「頂きます」に準ずる。個人的には、「頂戴」は語感が古いうえに妙な色がついている気がするからイヤ。さらに言えば「ちょうど」との相性も悪い気がする。まあ、そんなことを強く主張する気はない。
順番に見ていこう。
 
1)1万円頂きます/1万円を頂きます
 お釣りがあるときに、「頂きます」はX。極端なことを言うと、100円の買い物をしたときに「1万円頂きます」と言われたら、「ちょっと待て」ってことになる。
 
2) 1万円から頂きます
 お釣りがない場合に「から」はちょっとヘン(相当ヘンかもしれない)。ただ、「から」の語呂のよさ(後述)もあってXにはしにくい。これをXにするなら、4)はどんな場合にもXにしないと筋が通らない。
 
3)1万円お預かりします/1万円をお預かりします
 お釣りがない場合に「預かる」はちょっとヘン。ただし、これを正当化する説もある。
  A 商品の受け渡しが完了するまでは「預かる」である。
  B 消費税分は「預かる」ものである
 AやBの考え方にどこまで正当性があるのかは不明。まあいいんじゃないか、と思う。
 
4)1万円からお預かりします
 厳密に考えるなら、お釣りがあってもなくても、「からお預かりします」はちょっとヘン。ただ、これが世の中のスタンダードになっている気がする。どう考えても誤用、とまで断言する自信はない。「から」の特殊性(↑のリンク先参照)と関係があるのかないのか?
 
5)~8)
 お釣りがある場合に「ちょうど」はさすがにX。もらった金額が「1万500円」ではなく「1万円」ポッキリだからという屁理屈も成り立つかな。やはりその場合は「ちょうど」はいらないだろう。
 問題はお釣りがない場合。6)と8)はホントはXにしたいが、ほかとのバランスを考えるとこうしないとヘンだろう。お釣りがない場合の6)をXにするなら、2)もXになる。8)をXにするなら、4)は両方ともXになる。このあたりを全部Xにしたいんだけどさぁ。
 お釣りがない場合の7)が△になるのは、3)と同じ理由。
 
 1)と2)を理解したうえでちゃんと使い分けられるなら、「頂きます」を使ってもいいだろう。
 使い分けがメンドーな人や、間違えそうな人は、3)か4)を使うのが無難じゃないかね。
 個人的には3)がイチバンいいと思う。でも世間は4)を使う人が多いみたい。こんだけ叩かれてるのに使用例が減らないのは、何か理由があるんだろうね。
 こういう書き方をしていると、「誤用例のほうが多いなら、誤用ではない」みたいな論調と同じことを言っているような気がして憂鬱になる。
 そういうことじゃないの。
 当方がこの場合の「から」を許容(あくまでも「許容」)してもいいと思うのは、誤用と考える明確な根拠が見つからないから。広く通用している表現を「誤用」と主張するには、明確な根拠が必要だと思う。そりゃ、「まったく異和感がないのか」と訊かれたら、「(けっこう)ある」と答えるしかないけど。
 
 
 
 
 
【お品書き】よくある誤用
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