突然の電話が、母からあった。

どうしても、今晩時間空けられないか。

大変な事が起きた。そう言う母の言葉に、僕は家に帰る事にした。

母が口にし出したのは、母の姉の娘と息子の事だった。

家を購入した際の借金が、どうのこうのと云った話。

僕に何の関係が有るのだろうか。

何故そんな話を今しないといけないのだろうか。


僕は未だ入院が必要で、治療が必要な時。

癌は早期発見され、手術は巧く言った。

だけど、通常なら動いては行けない時期だった。

抗癌薬で頭の毛は枕や寝間着に貼り付いた。


どうしたいのか、母の言葉からは観えて来ない。

其れがどうしたいか聴く僕に、従姉の話を聴いて欲しいと言う母。

直ぐに電話を掛け始める母。

携帯を渡され話を聴くが、理解出来ない言葉や単語が連発する。

落ち着いて。

そう言う僕が反対に落ち着いて聴けて無かったのかもしれない。


住宅金融公庫から借りた1500万円、1200万円残ってる。

10年位支払してるはずなのに。

差し押さえに為りそう。


今迄差し押さえに為って無かったのが、僕には不思議だ。

何でそんな話を僕や母にする必要があるのかも不思議だ。

母は僕にどうにかして欲しいと言いだした。

電話の向こうでは、従姉が同じ様な言葉を繰り返してる。


その時、僕はリンパ腫と独りで闘ってる。

家族も親戚も誰も、治療費も薬代も仕事の手伝いも無い。

そんな気持ちが抑えつけられた。


*明日。又、書きます。



どうしようもない事も在る。

だけど、それを認めたくない自分も在る。

苛々し、訳の分らない不安に説明もつかない儘に鬱々としていく。

9年前に癌が見つかった。

リンパ腫と診断された。

なんで僕が。

なんで僕に。

ショックとかそういうのではなく、只単にそれが頭の中でリフレインされた記憶がある。


手術。


親戚のゴタゴタに巻き込まれてる親。

保険審査がどうのこうのと言う保険会社は、加入時の説明を忘れてる。

どうにか、費用に掛かるお金を掻き集める。

僕の経営する会社のお金。

貯めていた貯金。

働きながら行っていた大学の学資。

知人からの借財。

親には頼らず、独りだけの入院と手術。そして闘い。


今迄摺り寄って来た親戚からの連絡は無い。

良い事を口にしてた友人も。

病気に為って、本当の意味での人の本性を知った。

そう云う面では、癌に感謝してる。

有り難う。


どうにか終わった。

そんな気がしてた。


*明日