艦これ小説-提督が小説を投稿するようです!-

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【登場人物】
輸送ワ級〈ゆそうわきゅう〉:
デイリーミッションの対象で提督の皆さんに狙われる艦。気の毒。

【本文】
「提督?」
「い、いや別に忘れていたわけじゃないんだ、そうだな、ちょうど終わったところだしあいつらにも連絡を入れておかなきゃな」

まるゆに言われ天龍たちの存在を思い出す。
なんとなく天龍に通信を行うのが怖かったので龍田への通信をつなぐ。

『あらぁ~?どちらさまですか~?』
「龍田、俺だ」
『あらぁ~提督でしたか~、どうしたんですか~?』

龍田にこちらの戦闘が終わったこと、龍田達も帰還するようにということの二つを伝える。
しかし、それに対して龍田は
『そうですね~、戦闘が終了したことに関しては了解したんですけど帰還については少々無理があるかもしれないですね~』
「?、どういうことだ?もうそろそろ日も落ちるし早く帰ってきてほうがいいと思うんだが」

先ほどこの世界にはしっかりと夜と昼という概念があるようで今はあと少しで日が山の向こうに沈むような時間だ。
もちろんそうなると夜戦を行うにも時間を待たなくちゃいけなくなるので意外と不便そうだというのも今の俺の悩みでもある。

『それがですね~……』
龍田が言葉を濁らせる。
何か重大な問題でもあるのかと思い緊張して待つと遠くから龍田を呼ぶ天龍の声が聞こえた。
『おい龍田!そろそろ夜になるぞ!そしたら待ちにまった夜戦の時間だ!』
『も~、天龍ちゃんも少し落ち着いてよ~……』
「んなっ!おい、龍田どういうことだ!」

天龍の言葉には二人で敵艦隊と戦闘を行うということだったのだ。

『まぁ、そういうことですので提督。大丈夫ですよ~、輸送艦が一隻に護衛の駆逐イ級が二隻ですからぁ~』
「……わかった夜戦を行うことは許可するから龍田、お前の視線を送ってくれ」
先ほど五月雨に渡されて自ら記入していった書類には戦闘行為には極力提督の管理を入れるようにと書いてあったのだ。

『別にそんなことしなくてもすぐに終わらせて帰るわよぉ~?』
龍田の言う通り別に強制ではないのだからわざわざ視界を映して作戦の指揮を執る必要などないのかもしれないが……
「いや。龍田、お前たちの戦い方を俺は知っておく必要があると思うんだ」
『……そぉ~?ならわかったわ~送るわね~』

そういって龍田は視線を送ってくれた。

スクリーンに夜の闇が映し出される。

『おい龍田!早くしないとあいつらいっちまうよ!』
『あらあらぁ~敵はどこ?私の魚雷、うずうずしてる』

二人の声に押されスクリーンを赤外線映像に切り替えて敵を見る。
龍田たちはどうやら敵艦隊の後方から静かに追っているようで遠くの方に三隻の艦が見えた。
敵は龍田の言う通り輸送艦一隻に駆逐イ級が二隻という二人でも十分に圧倒できる編成だった。
『ん?ありゃなんだ?おい龍田あれみえるか?』
『ん~?どうしたの~?』

龍田の視線に輸送艦の後ろで引かれている人が入るか入らないかぐらいの小型船が映る。
「あれは……ボートか?」
『みたいね~』
『なんだ連中、変なもの引いてるんだな』
「……なぁ、あの引っ張ってるやつ戦闘で壊さずに持って帰ってくることはできるか?」

もしあれが何かの武器、もしくは資材だとしたらぜひ回収しておきたいところだ。

『あん?そんなのお安い御用だぜ。それよりも早く夜戦させろ!』
「よしそれじゃぁそろそろ開始するとするか、これより輸送艦を輸送ワ級と呼称。天龍、龍田の両名は遊撃にて敵を殲滅せよ!」
『よっしゃぁ!夜戦突入だ!提督、俺様の強さを見てビビるんじゃねぇぞ!』
『あはは、砲雷撃戦始めるね♪絶対逃がさないから~』

ふたりはそう叫ぶと一気に加速して敵艦隊への距離を詰めていく。

派手な水音を立てて加速していったからだろう、敵も気づいて駆逐イ級二隻がこちらに向かって転進してくる。

駆逐イ級の一隻が天龍の射程に入る。
『天龍様の攻撃だ!うっしゃぁ!』
天龍が魚雷を発射する。
それに対して向うも魚雷を発射してくるが天龍は持ち前の機動力をもってそれを回避する。
敵の駆逐イ級も天龍の魚雷を回避しようとするが機動力が足りずに直撃し水柱があがる。

よっしゃぁ!と叫ぶ天龍の背後に残りの駆逐艦が回り込むのが見え、天龍の名を叫びそうになるがそう叫ぶ前に

『龍田!』
『は~い♪死にたい船はどこかしら~?』
天龍の合図に龍田が魚雷を発射して応ずる。
龍田の魚雷は天龍のすぐ横を通り抜けその後ろで魚雷を発射しようとしていた駆逐イ級に直撃する。
ちょうど発射用としていた魚雷に引火したのだろう、一撃で轟沈したのが目に見えて明らかだった。

『龍田!残りのイ級は任せた!俺様はさきにワ級を追いかけてる!』
『は~いわかったわ~』

天龍が輸送ワ級を追撃し龍田が残りの駆逐イ級にとどめの一撃を撃つ準備をする。

「いいか天龍、小型船のほうは可能な限り無傷で持ち帰ってきてくれよ?」
『んだよわかってるって!それより問題はワ級の装甲を打ち抜けるかなんだよな~……』
「ん?輸送艦なんだから装甲は薄いもんじゃないのか?」
『は?何言ってんだよ提督、輸送艦だからこそ装甲は分厚いんだろうが。まぁ、全弾打ち込めばさすがに沈むだろうけどよ』
「全弾ってことは近くまで行くつもりか?……無理はするなよ?」
俺の言葉に適当に返事をし最後の数十メートルの距離を限界まで加速して詰め寄る天龍。

『うっしゃぁ!とどめだ!』
天龍がそう叫び宣言通りの至近距離で魚雷を発射する。

さすがに至近距離ということで一本当たりの装甲貫通力はそこまでではないようだがやはり残っていた魚雷全弾を打ち込んだおかげか輸送ワ級は火を噴いて沈んでいった。

どうやら龍田のほうも終わったようで天龍の近くに来ていた。

『いよっし。戦闘終了だぜ!』
天龍がガッツポーズをする。

「ふたりともご苦労だったな、特に天龍、最後のはすごかったよ」
『ったりめーだろ!俺が一番強いんだからよ!』

そんな会話をしていると龍田が小型船に近づいて上にかかっていた巨大な布のようなものを取り払った。

『さ~て何があるのかしら~?』

天龍たちが近づいてわかったがやはり人一人が乗れるか乗れないかといった大きさの舟で資材が入っていたとしてもそんなに大した量ではないのが簡単に予想できた。

『ッ!提督!』
突如龍田が緊張した声で俺のことを呼びすぐにスクリーンに龍田の視界が映される。

「んなっ!どういうことだよこれは!」
龍田から送られてきた視界を見てついそんなことをいってしまう。

『な、なんだよこれ……』
天龍の狼狽する声も聞こえる。

再度スクリーンを注視して幻覚ではないことを確認する。

「人……?いや、死体か?」
舟の中には寝転がされた状態でなにかの装置に入れられた少女がいた。
さらにその胸は上下しておらず息をしていないのが目に見えた。

「なんだこれは……」
『そ、そうね、とりあえず帰還するわ。話はそれからにしましょう』
そう言って龍田が回収しようと装置に触れるといきなり機械の動くブーンという音がして装置の隙間から光を放ち始めた。

『おい龍田何したんだよ!』
『わ、わからないわよ!』

二人が焦っている間も装置は起動しているようで突如白い煙のようなものが視界を覆う。

『な、なんだよこれ!くそっ!周りがみえねぇ!』
「おい、だいじょうぶか!」
あまりにも展開がいきなりすぎて頭がついていかない。とりあえずすぐに帰還するように言おうとマイクをつかんだ瞬間。

『た……す、け……て……』

「っ!今のは誰の声だ?!」
『天龍ちゃん爆風使うから気をつけて!』
龍田の声が聞こえる、それに反応して天龍の陰がすぐに動く。
やぁ!という掛け声とともに龍田の20.3cm連装砲が火を噴きそれの爆風により煙が一瞬で晴れる。

『人……?』
天龍のつぶやきが聞こえる。
龍田の視界には小型船に立つ一つの影が見えた。
おそらくいや、間違いなくあの装置の中にいた少女だろう。

『っ!』

立ち続ける少女を見ているといきなりフラッと揺れたと思ったら小型船の中に倒れこんだ。
二人は急いで舟に近づき少女のことを確認する。

『おい!もうさっきからどうなってるんだよ!こいつは誰だ?!なんで立ち上がったり倒れたりする?!』
『天龍ちゃん落ち着いて!とりあえず調べてみないことには……っ!』
『おい龍田今度はなんだ?!』
『大変……、この娘息してないわ……』
『んなっ!さっきまでたってたじゃねぇか!』
『わからないわよ……!一応心臓は動いてるみたいだけど……』

「おい龍田、天龍!たぶんさっきの開いた装置はその子の延命装置か何かだったんだ!とりあえず元の場所に寝かせて装置を再起動しろ!」

今までの情報を整理してとりあえずそう結論づけ龍田に指示する。

『おい提督!この装置動かないぞ!』
どうやら電源は入っているようだが壊れたか何かして動かなくなっているようだ。
天龍からの情報が入りさらに悪い方向に事態が進んでいることを理解するがとりあえず応急処置をするように指示する。

「くそっ!とりあえずその蓋みたいになってる部分を閉めておけ!」
これでどうにかなるとは思えないがこれで緊急装置か何かがあれば作動するはずだ。と考え二人に帰投するように指示をだす。

「二人は最大船速で帰還!その救助民を鎮守府に搬送せよ!」
『りょ、了解!龍田いくぞ!』

通信がそこで途切れる。

「くそっ……!息をしてないってことは肺が機能してないってことだろ……鎮守府にそんな手術できる設備があるとは思えないし龍田たちの海域からこっちに戻っても病院まで搬送してる時間はない……どうすれば……ッ!」

「これは……残念ですが間に合いそうにないですね……」
隣にいる大鳳も考えているようだがやはりいい案は思いつかないようだ。
「くそっ……!なんとかならないのか!」
机を怒りにまかせて叩く。

「あ、あの!」
まるゆが何かを言いたそうにこちらを呼ぶ。
「どうした?何か良い案でも思いついたか?」
「そ、その、私たちが生きてるのかっていう話なんですけどそもそも私たちは兵器ですから兵器になるぐらいだったら死んだ方がよいっていう人もいますし、でももしまだこの世界にいたいっていうんだったらこの方法もまだ残された選択肢であって……」
「まるゆ、言ってる意味が分からないぞ?!どういうことだ?!」
「ひぅ!えっとこの鎮守府には初期の艦娘建造設備があって……!」
「艦娘建造設備?いまは艦娘の建造なんてやってる場合じゃ……!」
「ひぅ……そんなに怒らないでください……」
つい声を荒げてまるゆに怒鳴ってしまう。

「建造設備、開戦初期の艦娘……?そういうことですか!」

大鳳が膝にポンと手をあて立ち上がる。
「まるゆさん!ナイスアイデアです!提督、初期の艦娘の建造方法ってご存知ですか?」
「……?、どういうことだ?」
「その様子だと知らないようですね、初期の艦娘は死体を、それも死後一時間以内の死体を使っていたんですよ」
「まさか……!」
「そう、そのまさかです!今ではその建造方法は禁止されていますが今回は致し方ないでしょう。すぐに天龍さんにバイタルデータを送ってもらって建造の準備をしましょう」
「よしわかった。まるゆ工廠の準備をよろしく頼む」
「わ、わかりました!」

まるゆが会議室を出ていく。
それを確認して天龍に通信をつなぐ。

「天龍!その子のバイタルデータって送れるか?」
『あん?いきなりどうしたんだよ今すぐそっちに連れていくから救急車でも呼んでおとなしく待ってろ!』
「天龍よく聞け!今からその子を病院に連れて行ったとしてもおそらく間に合わない!だからその子を艦娘として建造することにさっき決まった!」
『まじかよ!わかった!すぐに送るから待ってろ!』

後ろで龍田の違反行為じゃないかしら?という声が聞こえたが今はそんなこと気にしている段階ではないことは明白だ。
そんな状態で待っているとすぐに手元の画面がひかり、データが送られてきたことが示された。
大鳳に工廠宛にデータを送信してもらいとりあえず自分のできることはすんだかと確認するのだった。