新宿区にある国際医療研究センターというところに行ってきました。新しく出来たブタ細胞用のCPC(細胞加工施設)を見学するためです。ヒト細胞のCPCは各地にありますがブタ細胞専用というのは日本で初めてだそうです。

 

全身白づくめの防護服に身を包んで施設内に入れてもらい、あれこれ説明を受けました。面白かったです。

 

ここでブタの膵島細胞を分離加工し、膵島移植に用いようというプロジェクトが進行中なんでありますが、ブタとヒトの膵臓は非常によく似ていてアミノ酸の配列が1か所違うだけらしく、御存じの方も多いでしょうが、かつてはインスリン製剤にブタが使用されてもいました。なのでドナー不足の中、ブタから膵島細胞だけを取り出し培養して患者に移植できるようにしよう、という研究なわけです。いわゆる異種移植。

 

この「膵島移植」という方法が非常にユニークで興味深いんですね。膵臓という臓器そのものを移植するんじゃなくて、インスリンを分泌する膵島の細胞だけを取り出し、カプセル化してヒトの血管内に投与するだけ。大げさな手術はいらず、点滴するのとほとんど同じ。痛くも痒くもないし一瞬で終わってしまう。

 

カプセル化というのは、細胞を保護するために極薄な膜に包み込んだ状態にすることで、要するに「イクラ」みたいな感じですかね。0.5ミリくらいの大きさだそうです。

 

このカプセルが血管に入り、身体のどこかにひっかかって生着し、勝手にインスリンを出してくれるようになるんだそうです。何て簡単な。

 

ブタは細菌を非常に多く持つ動物なので、安全な無菌ブタを大量に供給する方法や、検査方法の確立など様々な研究が同時進行で行われており、いつぐらいに実用化されるのか、どこまで安全性が確保されるのか、見通しはまだわかりませんが、いずれ移植手術がお手軽なものになる時代がやってくると期待していいんじゃないだろうか。まだまだ遠い先かもしらんけど。

 

他にIPS細胞を使った人工バイオ膵臓とか、いろいろ興味深い研究もあるようですが、とにかく自分が生きているうちに1型の「完治」が実現してくれたら嬉しいです。