さて、私が好んでいく神社の一つ、大和市シリウスの「大和天満宮」です。

元々、この神社は「厚木空神社」と言って、厚木基地に鎮座し、天照大神と戦死者の霊を祀っていました。…つまりは、第二次大戦下においては、若き飛行機乗りたちがその命を散らす前に参拝する神社ともなっていたわけです。

終戦直後、大和のこのあたりの人々は、敗戦で人心が動揺しているから、厚木基地の社殿をありがたく頂戴して、大和のどこかに神社を建てようと考えました。馬車やリヤカーを使って神社の材料をもらってきて、現在の大和駅近くに神社を建てたのです。

その際、人々は、これからの日本の復興のためには学問が大切であると考え、学問の神として名高い菅原道真公を御祭神とすることを満場一致で決定しました。それが「大和天満宮」の始まりです。

いいお話ですね。

実は、最近この神社に詳しい人から、この神社がなぜ図書館「シリウス」の2階の一角に位置することになったのか、裏話を聞いたのですが…。諸事情により割愛します。

ともあれ、様々な経緯を経て、大和天満宮は図書館の中に建つという全国的にも(多分)珍しい神社となったのです。元々神社だった土地に図書館が建ち、市民の勉学や憩い、交流の場となり、また図書館であることから、御祭神の菅原道真公や、敗戦直後の大和市民の志にも配慮。

元神社の土地のこのような利用法は、おそらく、菅原道真公のお気に召したのでしょう。シリウスはおしゃれで近代的な設備と、自習しやすい沢山の座席、図書館内にスタバがあって読書しながらコーヒーが飲める、芸術文化ホールでイベントも開催など、利用者数日本一の図書館として全国から視察が来るほどの大人気施設となりました。

あくまで霊感がある血筋の個人の意見ですが、こちらの御祭神や御眷属はこの建物全体を聖域内と思っておられるのかもな…、と。なんか、普通の図書館より雰囲気がいいんですよ、ここ。リピーターが多いのも、一つはこの雰囲気の良さからだと思います。

このような施設内の近代的な神社は都心では珍しくありませんが、大和天満宮の特徴として、近くに背の高い建物があまりないので、晴れた日に来ればいつでも青空の中に建っており、心地のよい風が吹いているのを感じられるということです。そのため、公式サイトにも「空に近い神社」と書いてあります。

かつて飛行機乗りたちの神社だった「厚木空神社」が、時代を経て、御祭神も祈りの内容も、鎮座する場所も変わっても、今も「空に近い神社」と呼ばれているのは、不思議な感じがしますね。

ちなみに、この神社、参拝すると高確率で、建物の中から氏子さんが「ありがとうございまーす」と声をかけてくれます。神社で歓迎されたい人にはおすすめ(笑)。

学問的理由と装飾を兼ねて、こんなしゃれた蝶の標本が境内に飾ってある神社はあまりないと思うんですよ(笑)。

この図書館は、相互利用協定を締結している市町村に在住の方も利用登録できるので、お近くの市にお住まいの方は、ご機会があればお立ち寄りくださいね。

6/11空に近い神社・大和天満宮(大和市シリウス)