古代バーリ・サンスクリット文字による真言は、タイやカンボジアの呪術師にとって必要不可欠のものです。施行に関する呪物に認めたり、祈祷を唱える際は、古代バーリ語で構成された呪文を唱えます。また授受する呪物にも認められます。古代バーリ・サンスクリット文字と霊的な作用を象る象形画を絡ませ、授受者の要望に合わせた多彩な柄が有り、これは鉛板や布や木片に描かれ活きが籠められます。究極は、自身の肌に刺青として彫ってしまいます。

 

効果は刃物や銃弾を除ける作用があります。

鉛板に籠めた真言の呪物がありますが、普段この呪物は筒状に巻いたり、小さく折り畳んだりして携帯します。筒状の場合は、円筒状のケースに入れ首から提げたり、折り畳んだ場合は小ぶりの巾着に入れ懐に携帯します。携帯の仕方に、これといった規定は無いので、陰部や臀部に近くなければ個々の自由で携帯出来ます。

 

また、携帯して居れば、真言は渦を巻くように呪物から作用を促します。多種多様の要望に合わせた真言が認められた呪物は、ここぞといったとき、筒状または折り畳んだものを広げ、直に現物に巻いたり着けたり浸したりして、事に臨むわけです。

 

ひとつの例としての話です。霊障に悩まされた男性が、と或る還俗呪術師から授かった真言を認めた鉛板を、懐に入れ携帯して居りました。確かに、効能は有り悪質な霊が直接纏わりつく事が無くなったのですが、夜間になる度に屋根裏などから異音を起こして睡眠を妨げられました。彼は一計を案じ、硬い黒檀で出来た棒に鉛板を巻き付け、寝床の横に据えて置きました。体から離れているのを良い事に、悪質な霊は近寄り彼に抱き付こうとしたところを、黒檀の棒で殴りつけたそうです。もちろん、彼に霊は見えません。しかし、何度も霊障を被ると自然に重く嫌な霊の気配を察知出来るようになったのです。そこで、闇雲に棒を振ったのですが、鉛板を巻いた棒は自動的に霊を捕えました。瞬間、耳を劈くような嬌声を放ち、後はエコーのように嬌声が遠ざかったそうなのです。それも3体も同様の霊が取り巻いて居たそうです。その後は、全く霊障が消え、彼は憂鬱から解放されました。