バングラデシュは現在はイスラム教国であるが、以前は仏教も盛んだった地。8~12世紀にベンガル地方を支配したパーラ朝は仏教を保護したが、第2代のダルマパーラ(在位780~810年)が建立したのが、パハールプールのソーマプラ大僧院(ソーマプラ・マハーヴィハーラ)である。中央に仏塔の建つ四面堂形式の大祠堂があり、その周りの正方形の壁沿いに177の僧房が囲んだという壮大な寺院。もっとも現在は中央の建物はピラミッド状の基盤しか残っていない。建物の基盤部にはテラコッタの装飾が残る。仏教寺院なのだが、ヒンズー教の神々も混じっているという。このころの仏教はヒンズー教に押され、ヒンズーの神々や教義を取り入れて世俗化・密教化した。

パーラ朝は12世紀に滅び、この地はイスラム化していく。一方、ソーマプーラ大僧院でみられた幾何学的な伽藍配置などは、その後のパガン、アンコール・ワットなど東南アジアの仏教・ヒンズー教寺院に影響を与えたという。