カンカリパはマガフラという地のシュードラであった。

マガフラの地の家長は自分と同じ階級の妻を娶り、家庭で感覚的な楽しみを味わっていた。

彼は解脱の道に関する教えには少しも関心なく、世俗の利益のみを求めていた。あるとき妻が死んだ。家長は妻の死体を葬場に運んだ。

だが家長は妻の死体に心から別れをつげることができず、死体のそばにずっととどまっていた。

すると一人の賢明なヨーガ行者がやってきた。

 

ヨ「この葬場で何をしているか。」

カ「ヨーガ行者よ。私のこのありさまが見えませんか。目の前は真っ暗です。妻と別れて私の幸せは終わりました。世界中で私よりあわれな物が誰がいるでしょうか。」

ヨ「生ある者の終わりは死である。出会いの終わりは別れである。因縁によって生成されたものはすべて無常である。輪廻に産まれたものすべてに苦しみがある。ならば苦しみを自性とする輪廻に対してあなたは失望しないのか。土と石のような死体一つ守って、何になるというのだ。だからあなたは教えを実践するべきである。そして苦しみから離れよ。」

カ「ヨーガ行者よ、もし生と死の苦しみである輪廻から解脱する方法があるのなら私に授けてください。」

 

ヨーガ行者は灌頂を与えて、無我のビンドゥの教えを授けた。

ヨ「死んだ妻という分別を捨てて、無我なる妻を楽と空が結合したものとして観想せよ。」

 

家長は六年で、通常の妻という分別を楽と空の性質の中に消失させ、自分の心の汚れを清め、ウーセル(輝き)である大楽を体験した。そのとき、家長は、あたかもさんざしの実の毒を清めて狂気から目覚めたかのように、無明の狂気の毒を清めて、正しい真理の意味を観察して、成就を得た。彼は自分の土地マガフラで多くの生ある者達に教えを説き、その身のままに天空を行く者となった。