滝に打たれたり、山にこもって過酷な肉体行を積まなくても、自宅で穏やかに鎮魂を目差すことができます。滝行や山ごもりをしますと山霊(魄=スサノオ系の分魂=天狗系)のとりこになり、真の鎮魂の境地には至りません。天狗系の霊能力を得ることはできても、正しい神界に参入することは不可能です。古来、多くの霊能者や霊学者がこの過ちを犯しています。山(洞窟など)にこもって強大な霊能力を得たといわれる○○教○○○○○○師や、霊学者の○○○○先生などはその典型ではないかとささやかれています。数多くの「立て替え立て直し宗教」がその○○教から派生していますが、推して知るべしです。近代日本に誕生した霊学者や新興宗教の教祖、言霊学者たちのほとんどが天狗界の申し子といわれています。スサノオ系がいかに猛威を振るっているかを物語っています。欲を減らそうとか、性格を是正しようとかいうのも確かにミソギの一種なのですが、スサノオ系の霊的影響を薄めるのが本来のミソギです。換言すれば、スサノオ系を脱却して正系に復帰することがミソギの原義です。ところが、スサノオ系のなかに身を置いたまま厳しいミソギ(滝行など)を励行しているかたもいます。これではミソギにはなりません。多少身は清まるにしても、スサノオ系のなかでの進歩にしかすぎません。

 

スサノオ系の霊界は日本に外国生まれの宗教を持ち込んだだけではありません。特に幕末以降、新興宗教という形で日本国内でスサノオ系の宗教を乱発したのです。仏教系あり、キリスト教系あり、神道系ありで、表面の形こそ異なっていても、いずれもまぎれもなく大陸系宗教(スサノオ系)の系統といえましょう。ただし黒住教だけは例外です。今の黒住教のことはよくわかりませんが、開祖の黒住宗忠はほんとうの神仙です。スサノオ系といっても、須佐之男命ばかりを指しているのではありません。天孫降臨の前、アメノホイノ命、ニギハヤヒノ命(別名アメノホアカリノ命)などが天孫とは別系統で地上に降り、地上に勢力を張ります。それぞれ牙城を築いていたところに天孫降臨となりましたので、立場を脅かされるのではないかと危惧し、やがて天孫に対して複雑な心境を抱くようになりました。広義でスサノオ系といいますと、須佐之男命の系統に加え、アメノホイノ命、ニギハヤヒノ命などの流れも含み、総称して国魂(くにだま)と呼ぶこともあります。次元の低い山霊もこの範疇です。大国主神はもちろんスサノオ系の筆頭ですが、天孫に帰順していますので全く問題はありません。須佐之男命、アメノホイノ命、ニギハヤヒノ命などの傍系はいずれも天孫(正系)に対して独特の感情を抱いています。できれば自分たちだけで地上を取り仕切りたいと考えています。そのせいか、正しい神道(伊邪那岐大御神や天照大御神の教え)が広まるのを快く思いません。野史(古史古伝)が書かれた土壌や新興宗教が生まれる背景には、天孫系や『古事記』に対する屈折した心理が隠されていたのです。深山幽谷にこもって激しい肉体行をするのも、少しでも霊力(山霊)をつけて正系に対抗したいという一心からです。修験道の原点はここにあります。根底には他者をしのごうという思想があります。まさに弱肉強食の思想です。やがて肉体行がだんだんエスカレートしてゆきます。神法道術に強い関心を示すのも天狗系の大きな特徴です。