様子を見に来た村のイスラム教徒が、小屋に置き去りになっていた男の子を見つけ、自分達の養子にしました。 ある日、その子はブラーミンの僧侶の息子と遊んでいました。お寺の中の僧侶のプージャ(祭壇)には一つの小さなシヴァ・リンガムが置いてありました。子供達がビー玉遊びをしていた時、ブラーミンの子がビー玉遊びで使おうとしてシヴァ・リンガムを持ってきました。シルディー・ババはそれを見ると、わーっと言ってそれを掴み、飲み込んでしまいました。 イスラム教徒は皆、激怒しました。「飲み込んだだと!」 すでに宗教間で諍いが起きていたところです。イスラム教徒がシヴァ・リンガムに触れる事は絶対に禁じられていたので、これは大罪でした。ヒンズー教徒もみな動揺しました。シヴァ・リンガムがなくなってしまったのです。これは大悲劇です。ヒンズー教徒が全員でそのイスラム教徒の両親の元へ押し寄せ、言いました。 「あんたの養子が我々のシヴァ・リンガムを飲み込んだ。 その子の腹を切り裂いて、石を取り出さなければ」と。 イスラム教徒の両親は、シルディー・ババに尋ねました。「お前はいったい何者だ。 なぜそのシヴァ・リンガムを飲み込んだ。」 ババはただニコニコ笑っていました。そしてこう答えました。 「もうこの家を出る時が来ました。」 シルディ・ババの義理の両親は、村人たちにこう詫びました。「見てください。この子は私たちの本当の息子ではありません。誰もが知っていることです。これは不公平です。この子がブラーミンなのか、イスラム教徒なのか、どの宗教か私たちは知らないのですから。養子にしたのは私達ですから、私達はこの子をあきらめる事にします。」 ババはヴェンクーサという素晴らしいマスターの元へ連れて行かれました。 ヴェンクーサはシルディー・ババを見るなり、言いました。 「おぉ、君か! よく来た。私は君を待っていたんだ。」そしてヴェンクーサはババのエネルギーを測って、こう断言しました。 「この子は間違いなくアヴァター(神の化身)だ。 まだ小さな男の子だし、多くのイリュージョンが取り巻いているが、 誰かがこの子のチャンネルを目覚めさせなければいけない。」

 

ヴェンクーサの元に居た頃のババの仕事は、マスターの衣服を洗濯し、マッサージを少しして、食事と水の用意をし、ベッドの掃除をし、プージャに使う花を庭から持ってくることでした。ヴェンクーサには何千人もの生徒がいましたが、ババは部屋の隅に座ってマスターを見ていました。ヴェンクーサが教えを説くときに咳をすれば、ババが水を持ってきました。そして再び隅に戻ってヴェンクーサを見つめていました。ヴェンクーサが講義を終えると、ババがシャワーの湯を用意し、美しい香りがする白檀のペーストを作りました。それからヴェンクーサに服を手渡しました。 その後、何年も何年も経ってから、ヴェンクーサは本当にババが好きになりました。ババがいなければ食事もしなくなりました。「私の生徒はどこだ」と言って、何千人もいる生徒がみな何時でもマスターにセバをする用意ができていたのに、ヴェンクーサはババ一人に仕えてもらう事を望んだのです。ババはある面では信じられないほど賢い人でした。しかし、同時にヴェーダやサンスクリットの祈祷文は一切覚えませんでした。覚えたのは幾つかのムーラ・マントラだけです。直接的なものだけです ― 幾つかの祈り、ある特定の祈りだけです。ババは8年か9年近くマスターと共に居ましたが、それでもババにとって自分のエネルギー・チャンネルを見る事は難しかったのです。