グルを訪ねてきた者は帰る前にグルの許可を得るのが習わしです。しかしババは時々その許可を出さない事でも有名でした。信心の深さを計っていたのです。そしてババの言葉に従ったせいで重要な約束を破ってしまっても、決して重大な事態にはなりませんでした。むしろ逆に、その言葉に従わないときに惨事に襲われたのです。 ある英国人がシルディを訪れていました。ババの信奉者からの紹介状もありました。早くババの足元に跪き礼をつくそうとドワルカマイに入ろうした時、ババに止められました。3回入ろうとし、3回とも止められました。その英国人は統治国の人間からこの様な扱いを受けたことに驚き、怒りました。そこで帰ることをババに告げにいくと、急がず翌日シルディを去るように言われたのです。男はこれを無視して、そのまま帰りました。当然のことながら、その馬車は事故に会い、男は近くの病院に数日間入院するはめになりました。タティヤ・コテもサイババの信奉者でしたが、やはりババの助言を無視してシルデイを去り、同じように事故に会っています。ただタティヤの場合は怪我ひとつせず、本人は全く無傷でした。

 あるとき、イスラム教徒とヒンズー教徒を対立させようとしている男がいました。その男はババを棒で殴り殺そうと考えたのです。男が近付いてきたので、ババは「私を殴るのかね? 本当に殴るのか? 何故かね?」と聞きました。 それを聞いてババと目を合わせた瞬間、男はババの両目の中にイスラム教のモスクとヒンズー教の寺院を見たのです。この男へのババのダルシャンでした。 男はババの目から自分の目をそらす事ができずに、棒を床に落としました。そのときババの顔は神々しいエネルギーで光り輝いていました。ババが続けて「本当に殴るつもりか? 何故、私を殺したいのか? 私がお前に何かしたかね? 」と尋ねると、男はババの足元にひれ伏してしまいました。

  翌日からその男は「ババはイスラム教徒でもヒンズー教徒でもない、全部だ」と言って歩いたそうです。