「おはよう」
あの電話がきて、日が暮れよがあけた。
一度眠ったのに、未だよく鮮明に思い出せるあの男の声。
ぼうっと自分のクラスへ足を踏み入れる手前に、きのう居かけたあの男に
声をかけられた。
「…あ…はぁ。」
「…かけちゃいけなかった?声」
「いや別に、そんなことないんだけど…。」
「けど?」
「ビックリしたから」
「…ビックリするような声の掛け方、したっけ」
「してないけど…。」
「けど?」
「ぼーっとしてたから」
「そっか。」
相手はワックスでしっかりヘアースタイルを決めて、
新品のスクールバックを肩にかけて、ブランド物のしっかりとした制服を身に着けていた。
ふと、きのうの第一印象を思い出した。
そう、自分は不意に、こいつを仲間だと思ったのだ。
と、考えた、そのときだった。
「「痛っ…!」」
二人同時に、肩をおさえた。
それは、二人の痣のある位置だった。
じわりじわりと、響くように痛んだ。
きのうとおなじいたみだった。
だが、きのうと違うのは、その痛みの具合。
きのうの倍以上だった。
もはや痛みを通り越しているような感覚だった。
もしかしたらコレは、痛みではないのかもしれない。
「ご、ごめん…また、いつか話そう」
「あ、ああ…うん」
『またいつか話そう』ってことは、あいつまた私に声をかけてくるのか…?
と、少し疑問に思いつつ、肩を抑える。
やっぱり、何かおかしい。
やっぱり、あいつ、私と同じなのかもしれない。
引き止めて、肩の痣のことを聴いてみようと思ったとき、チャイムが鳴った。
片方の肩を引きずるようにして、自分の席に着く。
少し汗をかきながら、一息ついて座った時、ふっと思い返してみた。
まて・・・まてよ・・・。
もしあいつが私と同じ痣を持っているとしたら…
あいつは私と同じ力を持っているということになる。
そしたら、あいつの耳についているのは、私と同じ色をしたピアスだ。
…そこまで共通した点があるなら、奴が目を付けないわけが無い。
奴のことを、何かしっているかもしれない。
思い切って、聴いてみるしか無いだろう。
この際、あの男に何をいわれてもかまわない。
いまなら、仲間が居る。
それにあいつが奴かも知れないと考えても、それはほとんどあり得ない。
身長も眼光も、何もかも物足りない。
早く、早く終わってくれ。
私は、必ず奴を、つぶすんだ。
私は、解放されるんだ。