実際の通信は、特定の周波数の電波を使って行われます。周波数を合わせて受信する「ラジオ」を聞くときと同じように携帯電話でも特定の周波数帯の電波を使って通信します。
日本で現在一般用の移動体通信サービスに使われている電波の帯域は、大きく800MHz帯、1.5GHz帯、1.9GHz帯、2GHz帯の4つの帯域があります。そのうち1.9GHz帯をPHS、他3つを携帯電話が使用います。この周波数の使用権に関しては行政も絡んでいるために、SOFTBANKが携帯事業に新規参入する際は、本当に大きな障害や苦労があったと言われています。

実際の仕組みはというと、無線制御局からの呼び出し信号で帯域を確立してから、あいている「チャンネル」を探して、受発信する電波をそのチャンネルにあわせた周波数に調整し、通信を開始します。実際のラジオのチューニングと全く同じと考えて頂いて問題ないと思います。

 しかしながらここで問題があります。使える周波数帯に限りがあるということは、使用できるチャンネルの数にももちろんですが限りがあるということです。1つのチャンネルを1台の携帯電話が占有して通話するというのが、一番初期の携帯電話の仕組みでしたが、その方法では一度に通話できる携帯電話の数がチャンネルの数に縛られてしまうという大きな問題を抱えていました。そこで、世の中に携帯電話の普及をすすめるために、同一のチャンネルを複数の人が同時に共有できる仕組みが必要になりました。現在実用化されている携帯電話の周波数共有の方式には、大きく分けるとTDMA方式とCDMA方式の2種類あります。

【TDMA方式】 電波の送受信を極短い時間に区切って行うことで、1つのチャンネルを複数の端末で共有する方法です。第2世代携帯電話ともよばれるPDC方式がこの方式です。

【CDMA方式】 通話ごとに端末を識別する信号(拡散コード)をそうしたデジタルデータと一緒に送信し、受信した端末側で、拡散コードを元に自分あてのデータを取り出し、通話を確立します。第3世代携帯電話のドコモのFOMAやVodafoneで採用しているW-CMDAやauのCDMA2000がこの方式になります。TDMAに比べると、CDMAの方が、広い帯域を使うので、音質もよく、通信速度も速くできると言われています。