改めて「礼射系」・「武射系」 | KenさんのBLOGS

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改めて「礼射系」・「武射系」


一般的に「礼射系」・「武射系」と区別されますが、その区別や言葉自体、ひどく強引で乱暴な表現だと言えます。流派とは本来関係なく、それぞれの流派に、武射があり礼射がありました。そして弓術の本質は全て武射です。
古流だった(現在は再興された)小笠原流は故実的側面を色濃く残しています。射術的には歩射と騎射があり,笠懸も犬追物も流鏑馬も実戦的な戦闘の射術で本来は武射と言えます。歩射では斜面打起しが基本です。
日置流も古流を受け継ぎ,時代に即応した射術を行なって新流と呼ばれました。江戸時代前期,幕府では弓術の将軍上覧が行われ、承応二年(1653年)11月23日に吉田九馬助重春(日置流印西派)が上覧の弓太郎を仰せ付けられました。それ以降幕府や諸藩の行事で弓太郎を勤め,様々な儀式や射禮を行っています。
この様な事から日置流も礼射系と呼べます。ただし、日置流では小笠原流に遠慮して礼射のことを体配(体拝)と呼びました。...
足踏みは、長袴と半袴の違い、武射系の代表といわれる日置流印西派の浦上先生も長袴をはいた時は一足で足踏みします。矢番えには引掛と捻掛けがあり速射や征矢でアヒル口の筈が着いている場合は捻掛ができます。また征矢で鏃を隠すか鏑矢で射付節を持つか、または押取節を持つか、取り矢をするのか箙から矢を刈るのかによって2回で送るか1回なのか異なります。例えば箙から矢を刈る場合、刈手を箙にまわし征矢の根太のあたりをつまみ矢配りから鏃を上に抜き、矢は箆中で束ねられている為、下に2回、又は3回送って抜きます。その結果、丁度押取節のあたりを握ることになります。そのまま弓手で矢を挟み捻掛で矢番えをおこないます。かなり矢先が出ている為1回で矢を送ることができます。騎射挟み物も同様です。しかし鏃を隠して持った場合は胸の前で腕を交差させないと弓手で矢を保持することができず、かなり矢が残っている為2回で送ることになります。
服装や、道具、目的によって合理的な動作、射法は異なるということです。
単純に「礼射系」・「武射系」の違いではないといえます。
この様なことは半袴で的矢で的前の経験しか無い現代弓道では理解しがたいのではないでしょうか。