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写真右及び下は文化十年に書林より発行されたもの

「礼記-射義-」考
現在,全日本弓道連盟が示している「礼記-射義-」について考察してみたいと思う。
長くなるので何回かに分けて紹介する。

 前回弓道教本の紹介をし,全日本弓道連盟が示す「礼記-射義-」が、現代弓道を実践する者の心的最高目標とされ,ポスター版に印刷され、道場に掲示されたり、暗記を求められたり、正座での高唱が行われたり、浄写と称し、筆写がおこなわれたりしている事を述べた。さらに,それの解説として,平成6年(1994)から平成9年(1998)まで、愛知県の松井巌氏によりまとめられた45ページの解説文があることと,出典である、中国の古典「禮記」射義第四十六の解説本としては前田巌夫氏による「禮記 集説巻之三十 射義(篇)講義」(写真左)などがある事を紹介した。
http://blogs.yahoo.co.jp/kuroken3147/41164573.html

 弓道連盟の「礼記-射義-」は弓道教本や松井氏、またその他大勢が述べているとおり、中国の古典「禮記」が出典であり、射義第四十六の一部抜粋である事が確認できる。
 考るにあたって,中国の体育関係文献《体育文史》1986年2期32~33Pに掲載された「体育の歴史に関する知的講座 第二講 奴隷社会の弓術運動」中国古代体育史講座編集グループ(以下「資料」)と、出典である「禮記」の解釈、そして「列子」「荀子」「孫子」「老子」等の記述を参考にした。

●「禮記」とは,
 「禮記」は孔子の儒教思想を基にして、前漢の末期西紀前一世紀ころ戴徳(たいとく)と戴聖との二人の礼学者がそれぞれ礼に関するノートを集めて作ったものといわれている。内容は、49編で構成され、様々な規律、制度・法律、儀式・作法までの一切を包括した一身の修養、天下の経綸(けいりん)日常衣食の作法、郊社・禘嘗(ていしょう)の大礼に及ぶ儒教の全般を尽くしている。その46番目に弓を射る時の礼について書かれた「射義第四十六」がある。

参考 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BC%E8%A8%98 ウィキペディア
   http://chinese.dsturgeon.net/text.pl?node=9479&if=gb

 中国人にとって,「礼」が完備していることが未開な野蛮人とみずからを区別する指標であり,礼は時に「文化」や「文明」に置き換え可能な概念ともなる。
 孔子は,礼を周公が残したすぐれた制度と考え,弟子に対する教育課目のひとつとして重視した。その後,礼は孔子の学の継承者たちによって文献の形にまとめられ,聖典となった。今日にも伝わる代表的なものは『周禮』(しゅらい),『儀禮』(ぎらい),そして『禮記』で,これを「三禮」(さんらい)と総称する。
「三禮」のうち,『周禮』は官僚制度を述べたもの,『儀禮』は各種式典の際の進退作法を具体的に記述したものである。
これに対し『禮記』は他の二書とはやや性格を異にする。『禮記』の「記」とは「覚え書き」あるいは「注釈」を意味する。たしかに『禮記』の「郊特牲」「冠義」などの篇は,『儀禮』の注釈とも言える。
『禮記』には,このような注釈的性格をもつ諸篇のほか,古代の制度を体系的に記したとされる「月令」「明堂位」や,さらにはもっぱら礼の理念を述べる「大學」「中庸」などの篇もある。このように『禮記』は『周禮』『儀禮』に比べて構成が雑駁であり,一貫した主題にもとづいた書ではない。いわば「礼関連論文集」である。
『漢書』「藝文志」(漢代の学術状況を記録した資料)や『隋書』「経籍志」(六朝期の学術史資料)によると,『禮記』の成立と伝承の経緯は以下のようである。
漢初,魯の高堂生らが孔子学団の「礼」を継承しており,さらに伝わって宣帝の時(73-49BC)の后倉が礼理論の第一人者であった。后倉の弟子の戴徳は,師の伝える礼経典を整理して八十五篇の書にまとめた。さらに戴聖がこれを四十九篇の書とした。おじ・おいの関係にある戴徳と戴聖は,大戴・小戴とも呼ばれ,したがってそれぞれの書を「大戴禮」(だたいれい)「小戴禮」ともいう。このうち,戴聖の「小戴禮」が現在の『禮記』に相当する。
『禮記』には後漢の鄭玄が注釈を施し,その後,六朝期には「義疏」と総称されるおびただしい注釈が作られ,多様な解釈が出現した。これらの注釈を調停する役割をはたしたのが孔穎達らの『五經正義』(「五經」とは,易・書・詩・禮・春秋)である。『禮記』に対しても『禮記正義』が作られ,尊重された。
一方,当初八十五篇あったという『大戴禮』は散逸し,現在はその半分ほどしか残っていない。
http://hyena.human.niigata-u.ac.jp/files/jugyo/yueji/yueji01.htmlより引用させていただきました。