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ブログネタ、いっぱい書いたなあ。
仕事がなかったんでしょうねえ。
二周年の今はもう毎日書いたりできません。

暇な時期もありましたが、借金もなく家賃も払えています。
幸いにワーキングプアにはなっていません。

私は漫画業界全体の中では決して成功してるほうではありません。
ですがその日暮らしでもありません。単行本の印税があるからです。
だいたい有名な出版社で仕事してる中では真ん中より下かもしれませんが、それなりに長年の間漫画を生み出し作家に信頼されてきたところは、問題がないとはいえませんがそんなに作家さんを餓えさせるようなことはありません。


最近また漫画家さんのことが話題になっていますね。
ドラマ化や映画化で有名な大ヒット作家さんです。
今回もはるかに私より売れている雲の上の作家さんです。
確かに売れて発言力のある人が問題提起しないと動かない体質というのはあると思うのですが。

海猿 (1) (小学館文庫 (さI-1))/佐藤 秀峰

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ちょっと気になったことが。
どうやら、この作家さんの年収が約800万円と信じてる人がいるようで。
原稿料による収入1600万円のうちアシスタント及び経費を引けば半分しか残らないと。
確かご自身のHPのプロフィール漫画で赤裸々にこれまでの経緯を描かれていました。

ちゃんと読んでもらえれば分かると思いますが、これはあくまで「原稿料による収入」です。
ちょっとネットで探してみましたが、例えば2003年度の漫画家納税額ランキングです。
このときより単行本は多く出てるから、当然印税はこの頃より増えているはずです。
連載継続の場合新刊が出るとそれまでの単行本にも増刷がかかるからです。

ブラックジャックによろしく (13) (モーニングKC (1488))/佐藤 秀峰

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そして新しいデータでは新刊の部数です。
35万部であれば、一冊の印税10%を50円と計算すると1350万円です。
これはあくまで最新刊のそれも初版なので、累計十数巻の既刊分の印税、さらにこれから増刷もかかります。
累計発行部数が発表されてるだけでも「ブラックジャックによろしく」で1000万部超、五億円ですね。
海猿も550万部超ですから2億7千万円の印税で、これはこれからも増え続けます。

新ブラックジャックによろしく 5 移植編 (5) (ビッグコミックススペシャル)/佐藤 秀峰

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これが今の連載ペースだと年二冊くらいでしょうか。
前年までのお金も消えたわけじゃありませんし。当然納税額もすごいので稼ぎ続けないといけないんでしょうけど、それは私なんかには分からない世界でもあります。でもこれだけは言えます。

この作家さんは決して貧乏でかわいそうな人じゃないですよ。

原稿料も作品料とあわせると1ページ約4万円です。
これで足りないと言われてもほとんどの作家さんが共感できないのが現状じゃないでしょうか。
昨年話題になったものはこの三分の一程度だったので、アレはちょっと安いかなと思わなくもないですけど、少年誌は部数が大きいのでちょっとロジックが違うのも知っています。あの先生も年収何億円の大作家さんですからね。写真で見ただけでもすごい仕事場でしたね!

金色のガッシュ!! 33 (33) (少年サンデーコミックス)/雷句 誠

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印税は作家だけの収入なんでしょうか。
アシスタント代は印税から払えないものなんでしょうか。
単行本を作るためにも編集者も仕事するし、販売部の人も動き、営業部が書店をまわり、製版所や印刷屋さん、書店員までみんなが仕事をした上でのこれだけの部数だと思います。もちろん根幹に作家さんの努力と苦心と才能があるのは知ってます。私も一応作家なので。

でも、これでもう売れたから、あとは自分だけの収入にする、と宣言されても、少なくとも私の周囲で共感してる作家さんは見たことないです。

それに雑誌は売れる作家さんが読者を呼び、若い作家さんがそこで育つ場所でもあります。
自分は実が付いたからもういいやと収穫だけして種を植えない方法でいいのでしょうか。

もちろん今後、ネットや携帯コミックの発展、出版衰退や流通の変化などで雑誌が売れない中次の一手を考えなければならない時期ですけど。スポンサー離れで以降に沿った発言しかできないテレビやラジオもそうですが、本当に価値がある情報を個人から買う形態というのは今後必要になってくると思います。

ということで、私は今回も、業界がよりよい方向に進むための問題提起としての意義は感じますが、この作家さんの応援もできないというのが現状です。(いらないと思いますけど)
何より前回と同じく、自分の有利な情報だけ出して世間を誘導するやり方はいかがなものかと思います。

しかしやっぱり売れてる作家さんはそのへんがうまいですよね。私はどうも真実のほうを描きたいタイプなので、感情を煽ってぶわっと味方につける、敵を作ってこいつを倒せ!ということができません。
これが一番上手なのは、実は漫画家さんではなく小泉純一郎元首相だったと思います。

小泉の勝利 メディアの敗北/上杉 隆

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とはいえ、漫画家は千差万別であり、よその作家さんがどこでどう揉めようか実は勝手だと思ってます。ここまで書いておいてなんですが。その作家さんのケースによって全然違うので、その状況ごとに解決すればいいかと。だからこの佐藤先生なりの解決への試みそのものは別に批難するものでもなく、むしろ興味深く思っています。

でも「漫画家がみんなこんないじめられてる」というふうに(本人が意図してかどうかに関わらず)世間が思うのはどうも納得行かない部分もあるんですよね。

こんなに自由に書けるのも私が匿名だからですから、結局私も卑怯者ですけどね。
でもこんなに世論が煽られてる状態では何を言っても叩かれてしまうので、あまり声を上げられない現状では、こういう見方もあると知っておいて損はないかと。何事も多面的に見ないとね。

マンガ原稿料はなぜ安いのか?―竹熊漫談/竹熊 健太郎

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久しぶりなんで長文書いてしまいました。また仕事に戻らないと!


ブラック・ジャック The Complete seventeen Volume set 全17巻(漫画文庫・化粧箱セット)/手塚 治虫

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私なんかこのタイトル、手塚治虫先生のところの許可取ってんのかとか気になりますけどね。
名作の知名度を利用してるわけですから。