2%インフレ目標という言葉が、ここ10年近く言われていました。
デフレ克服を目的とした所謂アベノミクスが始まり、建前として市中に潤沢な資金が供給される事で、お金の流通を大胆に希求した経済施策
素人でもある程度理解可能な理由付での施策である一方、最初にマネーありき故に生じた様々な歪みの是正が、喫緊の課題として政策担当者を刺激し続けています。
ところで、何故「デフレ」では駄目なのでしょうか?
モノやサービスの値段が安くなる事は、我々が普段の生活をする上ではとても助かります。にも関わらず、大袈裟に言えば「値上げ」を良しとする訳です。
ふっと思ったのが、これは賢い資本家による策略ではなかろうか、という事です。
資本家にとって、「プラスの利回り」は重要です。何故なら彼らの資本が増えるからです。
逆に多くを持たない者にとって、モノが安くなるのは極めて助かります。
何かしらの理由(生活不安で購入者が減少するのが一例)でモノが安くなるという事は、それらを交換する手段であるマネーの価値が大きくなることを意味します。少ないマネーで沢山のモノが購入できる。
とすると、本来は世の中を転々流通する事で交換価値を最大限発揮する筈のマネーが、その機会を減殺されて、滞留するが如き状況が生じます。
モノは、それが天然資源であれ加工されたモノであれ、生産の過程では広い意味での労力を要しますが、デフレの世の中ではモノの値段が下がるので生産に要するコストが見合わなくなる。
そこでモノの生産が徐々に滞る。
しかし、例えば食べモノなどは人間が生きる上で必要であり、極限までデフレが進行すると需給バランスが崩れて、値段が上がり始めます。何故ならモノを必要とする人は、そのモノを獲得する為に、他の人より多くのマネーを用意する事で優位性を示そうとするからです。
このまま生産状況が改善しなければ、その食べモノの有する潜在的価値は指数関数的に肥大する可能性があり、それに見合うマネーが要求される。そして最早、当該モノを購入する際には、下手をするとマネーの単位ではなくマネーの重さで価格が決まるかもしれない。
以上は、あまりに極端な局地戦です。
いずれにしても、その段階では商機を見出した他の方々による生産が始まるでしょうから、どこかで価格の上昇スピードは落ち着き、同業者の参入で生産過剰になる頃に価格が低下し始める、というサイクルを辿ると思います。
これを書いていて自分自身が思った事として、マネーに優位性をもたらすデフレの先にあるのは猛烈なインフレであり、猛烈なインフレが意味するのはマネーの無価値化であり、なので、緩やかな物価上昇を伴う経済環境を構築する事でゆっくると時間をかけてやってくる猛烈なインフレ状態になるまでの時間を稼ぎつつも円滑な経済活動を維持し、いつの日か、モノの購入価格の表示の単位が大きくなりすぎたら、その単位を調整して、そのタイミングで上手くマネーの価値を調整したりするのかな、、、
という、分かったような、分かった気になっているだけ、のような。