私は藁にもすがる思いで交番に行ったんですよ。
あいつ絶対乗り逃げしようとしてるわ
みたいな第六感(笑)
(あっ!ここまで書いたら、この乗り逃げ犯…と言ってもいいですよね)
この乗り逃げ犯をタクシーに一人残して交番に行ったわけです。
もちろん、一人にしておくのは非常に心配だったので、タクシーのキーは抜いて、釣り銭と携帯をしっかり持って「ちょっと待っててくださいね」って言って交番に行きました。
この乗り逃げ犯…すごい大人しそうな小太りの男で、ずっと携帯をいじってるんです。
近眼なのかな。
目に携帯を近づけて操作してました。
ちょっと異常っぽい
逃げたら逃げたで別にいいやぁ、と思って私は交番に行きました。
交番には運良くおまわりさんがいました。
私はなるべく簡潔に話しました。
「…というわけで所持金がないのにタクシーに乗って来たんですよ。ちょっと調べていただけませんか?よろしくお願いします」
と頭を下げました。
ひと通り私の話を聞いたおまわりさんは…
(このおまわりさん、ずんぐりしていて小さなお相撲さんみたいな体型です)
「なぁに!私にその客から料金を取らせるの?あんた、タクシーの運転手でしょ!自分で料金取ることできないの?」
めんどくせぇなあ…という態度。
温厚な私…すぐにキレました。
「何言ってるんですか!所持金を持ってない客からどうやって料金を払ってもらうんですか!」
「だからぁ〜…」と何か言おうとするおまわりさんに何も言わせないで畳み掛ける私(笑)
「料金を払ってもらうことができないから、私はおまわりさんにあの客を調べてもらいたくて交番に来たんですよそれをなんですかあんた、タクシーの運転手だろ!って何ですか?市民が困ってるのに助ける気持ちもないんですか」
ここまで叫んだら、そのおまわりさん。
(チッ!めんどくせぇなあ…)っていうしかめっ面をして椅子から立ち上がりました。
「どこにいるの?その客?」
私はぶっきら棒にあっち!と私のタクシーの方向を人差し指で指しました。
テクテクと歩き始めるおまわりさん。
なんか後ろ姿が、いま相撲をとり終わって負けた力士がうな垂れて花道をトボトボ歩いているみたい。
なんか疲れてるのかなぁ…とさっきまくし立てたことが悪く思えてきました。
おまわりさん、客と話してくれましたが、お金がないと一点張りの態度にこれはラチがあかない、と判断してここから車で2分くらい走った場所にあるT警察署へ3人で行くことになりました。
この客の簡単な取り調べをすることになったのです。
さぁ、ここからが大変なことになるんですよ。
もう…
こんな客が乗ったばかりにどれだけ時間を取られるんだぁ
で、続きます。