
居酒屋で女友達と仕事の愚痴を言い合いながら、こんな会話をしていた
「あんまり話が通じなさすぎて、ハムスターなんじゃないかと思った」
「それ、ちょっと可愛い」
「人間じゃなくてハムスターだと思ったら、アイツもアイツの理不尽も無神経もずいぶん可愛く思えて来るかもね」
「僕たちが人間だと思っている人たちの5人に1人はハムスターなのかもしれない」
「ハムスター怖い」
「ひまわりの種あげなくちゃ」
ふと、隣の席で飲んでいた見知らぬ男性がこちらに話しかけてきた
「よく気づきましたね」
バリバリバリバリバリッ!
突然、自分の顔の皮を剥ぐ男性
「私も!そして、あなたも!」
「あなたは!?」
「どうも、賢めのハムスターです」
「賢めのハムスター…まさか、僕たちも…!」
必死に、しかし恐る恐る自分の顔の皮を触る僕たち
「あなたは、喋りたてのダルメシアンです」
「喋りたてのダルメシアン!?」
「そして隣のあなたは…」
そこから先の記憶は無い
気がつけばひとり、いつもの様に少し足を曲げ布団にくるまっていた
洋服からは煙草の残り香
あの居酒屋でついたのだろう
ハムスターは幻ではなかった
自分の顔の皮は…
やめておこう
もしも、私が喋りたてのダルメシアンならば
誰かに理解してもらうためにはもっとよく考え、優しく丁寧に話さなければいけないのかもしれない
その方が可愛いし
何より、今話している相手はハムスターなのかもしれないのだから
そうしてようやく人間たちの社会の中に溶け込むことが出来るのかもしれない
時計を見る
もうすぐ月曜日だ
誰かがこんな歌を唄っていたな
愛を下さい…wowwow 愛を下さい…