昨日韓国文化院で
２００２年ワールドカップ１０周年を記念しての
レセプションが行われました。
実は私はJAWOC、正式名称は
「２００２年FIFAワールドカップ日本組織委員会」の
「理事」という大役をおおせつかっていたのです。
９９年に任命されてから、私はソウルに住むことを決心しました。
それまで１５年ほど韓国報道にかかわっていましたが
「韓国に住んだことがない」という点で
私は「欠けている」と思ったのです。
そして自らソウルに住むことを決心。
２００１年１月からワールドカップ終了の
２００２年夏まで、ほとんどをソウルで暮らしました。
住んでみないと見えない事柄があると思ったのです。
今から思えば過激な話ですね。
東京の住まいは置いておいて、
ソウルにもマンションを借りて二重生活を始めたのです。
そしてさまざまなことをソウルから発信させていただきました。
また西江大学の外国人向けに韓国語を教えるクラス
「韓国語学センター」の７級（最高クラス）に入学。
三ヶ月間、死ぬほど勉強しました。
『ソウルの達人～最新版』もこのとき取材・執筆しました。
ときどき日本に戻ってきては仕事もしました。
今から考えると「よくやったなあ」と思います。
そして１０年前の５月３１日、
ソウルの競技場で開幕式があり、理事として出席。
その後初戦、フランス対セネガルの試合が行われたのです。
あの開幕式の様子、熱狂するスタンドの光景は忘れられません。
その後、も日韓両国で１１試合ほど観戦させていただいたでしょうか。
特に忘れられないのは大邱で行われた韓国対アメリカ戦です。
スタジアムの熱狂はすさまじく、
ビールの入った紙コップが観衆の声援にビリビリと震えました。
またそのとき、普通の民家が一泊を提供するシステムを利用し
初めて会った家族に温かく迎えられたことは
私の心に深く残りました。
レセプションが始まり、大使のご挨拶の後、
８分ほどにまとめられた当時のＶＴＲが流されたのですが、
集まった人たちは当時の関係者ばかり。
あの時のことがまざまざと思い起こされ、
当時にタイムスリップしてしまったかのような熱気が
会場内を包みました。
当初はいろいろな意見のあった日韓共催でしたが、
いまになってみると共催であったことは
その後の日韓にとって大きな理解の端緒になったと思います。
そしてＷ杯の後に訪れた韓流によって
日韓の理解はさらに深まりました。
私が文化を通して日韓理解に貢献しようと思い
初めて訪韓したのは８４年のこと。
今から２８年も前です。
当時はこのような時代の到来を
生きて見ることはできないだろうと
本気でそう思っていました。
私たちの次の世代が
新しく、友好的な日韓関係を築いてくれればそれでいい。
私たちは茨の道を黙々と開拓してゆくのみ、
そう思っていたのです。
いま、このような時代の到来を見て、
本当に嬉しく思いますし、
これからもまだまだしなければならないことがあると思っています。
振り返るとこの１０年は日韓にとって
本当に激動の１０年であったなあとしみじみと思いました。