グレさん「自然状態が云々の件、先人に笑われるという話だったが、
例えば孫子などもそうであろうか」
ハーさん「孫子の兵法の、孫子か?
2千5百年ぐらい前の……軍師か何か」
グレさん「孫子の著者は紀元前5百年程度、孫武という人物らしい。
安易な開戦を戒め、情報の重要性を説いている」
ハーさん「現代の経営戦略にも共通する所があって、
ビジネスマンにも読まれてる……で、笑われるってのは?」
グレさん「孫子、実に2500年前の人間が、情報の重要性を説いている。
しかし現代人は未だに、情報共有の不徹底でミスを繰り返す」
ハーさん「そういう話か。上司への報告・連絡・相談は提唱されてるが、
それが全体に行き渡るまで、遅い事があるかもな」
グレさん「左様。例えば一作業員が機器の故障を報告しても、
上司→他の部下に届くまでに、別の作業員が知らずに使う」
ハーさん「事故の元だな。大怪我にならなきゃいいが」
グレさん「あるいは顧客の要望。一従業員が約束した所で、
全体に定着するまでタイムラグの間に、その顧客が再度来店」
ハーさん「何で出来てないんだとか怒られるワケだ。
他人の行動なんて、安易に約束出来たモンじゃないぞ?」
グレさん「あるいは、姫様(=ふぃろ子)のスケジュール変更。
うっかり伝達し忘れ、秘書フランツペーターが右往左往」
ハーさん「お前個人の話かよ! 後でちゃんと謝っとけよ?」
グレさん「私の失敗はさておき。賢明な者は上下問わず、情報共有に奔走。
しかし一部の怠慢で、ウッカリで、不調で。情報が回り損ねる」
ハーさん「で、ちょいちょい大惨事が起きている、と。
まぁ、笑われるな。2500年前の人間から」
グレさん「……人間とは、2千年やそこいらでは、
進歩出来ぬ生き物なのであろうか」
ハーさん「遺伝子に組み込まれてない以上、どうにもならんかな。
幾ら教育したって、感情が不安定になると失敗するし」
グレさん「仮に情報共有を意志だけでこなす、
超能力者でも誕生したら、どうであろうか」
ハーさん「能力が解析される前に、そいつが排斥されるんじゃないか?
多くの人類は異物を受け入れる程、寛大でも賢明でもない」
グレさん「やはり一足飛びでは無理な話か。
人類の遺伝子にせよ、社会の成熟にせよ」
ハーさん「真に人間が進歩するには、遺伝子が変異するレベルの時間、
それこそ数十万年は必要かも知れんな……」
グレさん「それまでは、個々人の不確かな努力に期待する他ないか」