寒中お見舞い申し上げます。
元旦の北陸地震に引き続き、羽田空港の飛行機事故と、年明け早々に大災害が続いております。
被災された方々のに、心よりお見舞い申し上げます。

羽田空港の事故について、現役キャプテンのhide様のブログをリブログさせていただきます。
▼引用開始▼

おはようございます。

 

今年は新年早々、本当に辛いことがたくさんありすぎます・・・

 

昨日1月2日、羽田空港のC滑走路でJALのA350が海上保安庁のDHC8と衝突、炎上する事故がありました。

 

写真はJALの同型機(事故機JA13XJ)

 

 

 

例によって様々な「元パイロット」と言われる方々が断定的なことをおっしゃっていますが、現状何が原因かは判明していません。しかし機体の故障とは考えづらく、ヒューマンエラーであろうという仮定はできます。


管制の録音や証言などで今後明らかにされていくと思います。

 

私もその時間はフライトをしていて、突然羽田空港が全滑走路閉鎖という情報が流れてきました。

副操縦士と「羽田の4本の滑走路全てが閉鎖というのはありえないよね?もしかして地震?でもそれなら情報が入るし・・・」と話をしながら、自分の便をとりあえず安全に目的地に到着させるために必要な情報を得ようとしていました。

 

その頃、たくさんの羽田行きの飛行機が「Divert(ダイバート)」を宣言して出発地空港や代替空港に飛行し始めました。つまり、待ってもしばらく羽田空港がオープンしないという情報が会社から各航空機に入っていたということです。

 

「これはただごとではない」と感じました。

 

私が目的地に無事到着したあと、便間でニュースを確認すると信じられない映像が飛び込んできました。

 

副操縦士や客室乗務員が一斉に黙り込みました。

これが現実か?と目を疑う映像でした。

 

その時には既にA350が火に包まれ、消火剤が撒かれているところでしたが、テロップには「乗客は全員避難済み」との文言が。

 

我々乗務員一同、胸をなでおろしました。

 

客室乗務員は常に「保安要員」として緊急脱出の際にも冷静に行動できるように訓練していらっしゃいますが、乗客の協力の元、火が出ている航空機から速やかに、全員命を落とすことなく避難を完了させたことに対して心から尊敬します。

 

我々の客室乗務員もやはり「この状況で速やかに脱出を完了させた客室乗務員はすごい」と口々に言っていました。

 

情報が少ないながらも、とりあえずJAL機の乗員乗客の無事を確認できてホッとしたところで次便の搭乗開始となりました。

 

会社と情報交換をしたところ我々の最終便は問題なくフライトできそうということで、燃料を少し多めに搭載して運航。無事乗務を終えました。

 

しかしフライトが終わってニュースを再確認すると、追加情報で海上保安庁機は機長を除いて5名の方が犠牲となられたとのこと・・・

 

しかも北陸地方の地震援助に向かうべく羽田空港を出発するところだったのです。

 

誰も犠牲者が出ないことを心から祈っていましたが、辛すぎる結果に心が追いつきませんでした。

 

現状、何も明らかなことはありません。

よって断定することは避けなければなりません。

 

しかし、過去にも「滑走路誤進入(ランウェイ インカージョン)」という重大インシデントは何度もあります。つまり離陸、着陸どちらかの航空機が許可なく滑走路に進入してしまうことです。

また管制官が誤った許可を出した、という事例もあります。

 

今回は事実として、何らかの原因で離陸機と着陸機が同じ滑走路に存在したことで発生した事故です。

 

もし私が着陸機の場合、着陸許可を得てから着陸するまで、いつも先行機(着陸機や離陸機)が滑走路(着陸帯)から出たのを自分の目でも確認しています。

 

しかし夜間は他の灯火に紛れてその存在が見えづらく、更にHUDを使っていると他機の存在は更に気づくのが難しくなることがあります。

 

そして羽田空港の34RはDisplaced Thresholdといって着陸位置が使用可能な滑走路の内側にあるため、他の滑走路とは違った灯火の見え方になります。

 

離陸機としては、もはや滑走路に入ってしまうと後方は全く見えません。仮に自分の後ろに他の飛行機が迫っているとしても気づくのは「TCAS」ぐらいですが、これも多少のズレがあります。

 

離陸前に滑走路進入許可が出てから自身が滑走路に入る際には、必ず着陸機が近くまでアプローチしてきていないか目視で確認していますが、これも低雲高や低視程では難しいですし、夜は特に遠近感が分かりづらく正確な距離はわかりません。

 

管制官とパイロットは、リードバックによって許可を再確認します。

 

今回であれば着陸機は「Continue approach」と「Cleared to Land」、離陸機は「Hold short of Runway」「Line up and wait」「Cleared for Take off」は管制官にリードバックし、更にパイロット同士も再度口に出して確認をしています。

 

それだけ管制許可は大きな意味を持つのです。

 

朝のニュースではJAL機は「Cleared to Land」、海上保安庁機は「Hold short of Runway」だったと言っていますが、リードバックはどうだったか、また管制との録音を聞いてみないと確実なことは言えません。

 

 

今回の事故は海上保安庁の航空機に犠牲者が出てしまいました。同じパイロットとして、また航空従事者として身につまされる思いです。

 

安全な航空輸送を提供するため、事故原因の早期解明と再発防止が徹底されなければなりません。

 

私たちパイロットや管制官も人間ですからミスは必ずします。人間である以上ミスは避けようがありません。だからこそCRMが大切です。

 

利用可能な全てのツールを使って、異なる視点から決断をレビューすること。複数人で確認すること。疑問に思ったら迷わず再確認することでミスを減らすことができます。

 

決して他人事ではない。そう思って私もこの事故に注目していきたいと思っています。

 

最後に、今回犠牲になられた方のご冥福をお祈りいたします。

 

Morgenrot Hide


▲引用終了▲


引き続き、②をリブログ致します。