今日も人間もどきを探して歩く。
人間もどきは人間のつもりなのだ。
人間のように食べて、人間のように働いて
人間のように笑ったり泣いたりする。
ぼくは人間もどきを道端で、公園で、トンネルで、
校舎で、ビルディングの中で、そして時々人の家の中で
見つけてはそいつの耳元でこうささやくのだ。
「あなたは人間じゃないよ」
そうすると人間もどきはトロトロと溶けるように消えていく。
あとには何も残らない。
ぼくの町は随分閑散としてきた。
あと何匹の人間もどきがいるのだろう。
はやくぼくは一人になりたい。
そうすれば誰もぼくの耳元に秘密の言葉をささやくことはないから。
某所から。
かなり好きな話です。って劇中劇的なモノですが。