ドラえもん作品の古典の原典とデビュー未収録掲載誌作品

―デビュー未収録掲載誌作品は「藤子・F ・不二雄大全集」においてどのように加筆修正されたか―

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ドラえもんがこの世に登場して半世紀の歳月が流れた。小学館は2020年12月1日に、てんとう虫コミックス『ドラえもん』豪華愛蔵版全45巻セット「100年ドラえもん」を、2022年12月1日に、てんとう虫コミックス『大長編ドラえもん』豪華愛蔵版全17巻セット「100年大長編ドラえもん」を刊行した。

 

 両タイトルには100年の文字が挿入されており、まさに、ドラえもんマンガにおける古典化の目論みを高らかに宣言したものである。したがって、両作品はドラえもんマンガにおける古典のマイルストーン的業績である。筆者は現時点における、両作品をドラえもんマンガにおける古典の原典と位置付けた。

 

小学館は2009年7月29日に「藤子・F ・不二雄大全集」において、「ドラえもん全20巻」と「ドラえもん大長編全6巻」を刊行している。

 

この章では、主としてドラえもん短編とドラえもん大長編に未収録の作品の吹き出しなどが「藤子・F ・不二雄大全集」の「ドラえもん全20巻」を古典の原典と仮定した場合、どのように加筆修正されているかを詳細に分析している(A:藤子・F・不二雄大全集、E:デビュー未収録作品)。

 

吹き出しが両作品で完全に一致した場合、分析の対象から除去された。不一致の場合、特に小さな差異には●印が付与されている。それ以外には挿入、削除、変更のカテゴリーを採択している。コマの画像に加筆修正が施されている場合、P欄(画像)に■印が付与され、加筆修正の程度が明記されている。

 

 藤子・F・不二夫大全集の『ドラえもん』や『大長編ドラえもん』の巻末には、初出掲載リストが登場している。このリストの備考欄には、◎(●)印が付与されている作品が多く認められる。下欄で、この◎(●)印は「単行本刊行時に加筆修正あり」を意味する記号であると解説している。本章でも、この◎印を該当する作品のタイトルの末尾に付与した。