ア行で始まるドラえもん用語(その4-2)
一般読者の関心はこのアトランティスの状況を知ることにあると思われるので、田之頭はフリートレンダーの図解を借用してアトランティスの状況を詳細に説明している。要約すると以下のようになる
(1) アトランティス島の所在地
われわれの住んでいるヨーロッパとアジアは<ほんとうの大洋>と呼ばれる海に囲まれ、この海は<ほんとうの大陸>と呼ばれる広大な陸地によって囲まれている。つまりこの広大な陸地が地球の全域に広がっているのであって、<ほんとうの大洋>と呼ばれる海もいわば内海、いや、ため池のようなものにすぎないのである。
そして、この大洋にはいくつかの大きな島や小さな島があり、われわれの住むヨーロッパとアジアも、またアトランティスも、その中のひとつの島にすぎないとみなされていた。
アトランティス島は大地震のために海に没し、泥土と化して浅瀬を形成し、地中海からジブラルタル海峡をこえて<ほんとうの大洋>へと船出する人々の航路を妨げているけれども、かっては人々がこの島からヨーロッパとアジアへ、また<ほんとうの大陸>へと往来し、交易がおこなわれていた。
しかも強大な権力をもった王さまたちがこの島を支配し、ヨーロッパやアジアの一部にまで、その支配権をおよぼしていたのである。
(2)アトランティスの平野
東西の一辺が約530km、南北の一辺が約360kmの長方形をなしていて、まわりを大運河に囲まれていた。したがって、この大運河の全長は約1780kmにもおよび、山間から落ちる谷川の流れは、この大運河に達して平野をめぐり、東西から町(ポリス)に流れついて、そこで向きを変えて海へ注いだ。
平野の北側を東西に走る大運河から、およそ30mの幅をもつ29本の縦断用水路が、それぞれ約18kmの長さで平野の南北を縦断して掘られ、おそらく、同じ幅をもつ19本の横断用水路が平野の東西を横断して掘られていたものと推定されている。
平野全体が縦と横の用水路によって600の正方形に分けられていたことになる。「クリティアス」によれば、平野全体が6万の地区に分けられていたので、それぞれの正方形の区域には、さらに100の地域が分割されていたことになる。
アトランティスの人々は、これらの大運河や用水路を利用して木材を山から町へおろしたり、季節のものを船で運んだりしたのである。
(3)アトランティスの町(ポリス)
後に中央島となった小高い丘は海から島の中央に寄っておよそ50スタディオ距離を隔てた平野の中にあった。
いちばん外側の海水環状帯と外海を結ぶ水路の長さは50スタディオン、最大の海水環状帯とそれに接する陸地環状帯の幅はそれぞれ2スタディオン、中央島をじかに囲んでいる海水環状帯の幅は1スタディオン(約177.6m)だったから、外海から中央島にいたる距離は正確には61スタディオンだったことになる。
また、中央島は直径が5スタディオンであるから、全体が直径127スタディオン(約23km)の円形をしていたことになる。
そして、外海を起点とする環状壁が、いちばん大きな海水環状帯から50スタディオンの間隔を保つようにして町を囲み、町を縦断する水路が外界に達するところで、両端が一緒になるようになっていた。
つまり環状帯は外海に接していたことになるのであって、その接点のところに通路が開けられ、用水路の水はそこを通って外海に注ぐようになっていたと思われる。
この環状帯の内側には家々がぎっしり立ち並び、外海へ向かう水路は世界の各地からやってきた船舶や商人で満ち溢れ、大変な賑わいを見せていた。