のび太のねじ巻き都市冒険記Ⅵの1[★★★]
[初出誌] 『のび太のねじ巻き都市冒険記』、「月刊コロコロコミック」1997年3月号、40頁、220コマ
[単行本] 『のび太のねじ巻き都市冒険記』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.17」1997年9月25日 初版第1刷発行、42頁、221コマ
[大全集] 『のび太のねじ巻き都市冒険記』、「藤子・Ｆ・不二雄大全集 大長編ドラえもん 6」2012年5月30日 初版第1刷発行、42頁、221コマ
【初出誌vs.大全集】
「作詞・高橋 研 作曲・矢沢永吉『Love is you』」コマ挿入[530・531]
[梗概] のび太たちがねじ巻き都市へ急ぐと、アイモンタンやダ・ヒンチに出会った。「わたしたちも町を守ろうとけんめいに戦ったのですが、戦い方を知らないわたしたちはここへにげるしかなかったのです」と話した。
ピープさんはわたしたちを逃がすために最後まで戦ってつかまってしまった。そのため、ドラえもんはひみつ道具『とう明ペンキ』を取り出し､体に塗り透明になってからみんなを助けに出掛けた。
鬼五郎は「考えてみればこの星は、絶好の隠れ家にもなるぜ。地球にいって悪いことしたってこのドアをくぐれば警察にもみつからない」と好き勝手なことを言っていた。
ジャイアンはぶんなぐってやりたいと腹を立てていたが、ピープをさがすのが最優先であった。ピープはその頃「リサちゃん カラオケボックス」で、ホクロに平家物語の冒頭の部分を説明していた。
「どんなに栄華をほこっても永遠につづくことはないのです。あなたがたもいつかむくいをうけるときが…」とかみ砕いて話していた。ホクロも「そのとおりだよな…。こんな悪人づらしてりゃ、まともな仕事なんてできねえし、おめえみてえに頭もよくねえし…」とぼやいていた。
カラオケボックスにいたので、ホクロは「歌には自信があるぜ!! ウンゲ～!!」と歌い出すと、ピープはソファから転げ落ちてしまった。
へんなうなり声がするので行ってみると、ジャイアンがホクロのマイクを奪って、「ボゲェ～!!」と歌い出し、「どうだ、オレのほうがうまいだろう!!」と告げると、ホクロもピープも完全にのびてしまい、スネ夫から「さすがジャイアンの歌だね」と言われている。
「なんだ、なんだ、あの爆発音は!!」と鬼五郎の手下がピストルを持ってやってきた。「ブタがにげたぞ!! さがせ！ まだ遠くにいってないはずだ!!」と騒いでいる間に、ドラえもんはひみつ道具『カメレオン気球』を出し、それに乗りこんだ。
しかし、ドラえもんの尻尾の赤丸だけは「透明ペンキ」を塗ってなかったので、「グッ」とその尻尾を引っ張られると、「ピタ」とドラえもんが動かなくなってしまった。
みんなが「しっぽがみえていたんだ!! スイッチなんだよ、もう一度ひっぱって!!」と騒いでいると、「あやしいぞ!! あの赤い玉をうて。ガキュン ガキュン」と撃たれたので、気球に穴が空いて、「バジャーン」と川に墜落し、みんなのペンキも落ちてしまった。
「ガキュン ガキュン」と撃たれながら、森の中に隠れることにした。追いつめられた時、「アンギャア～!! ワ!! 怪獣だ!! にげろ、食われちまうぞ!!」との叫び声を聞いたので、ジャイアンがそちらをながめると、「ゴジちゃん!! 助けにきてくれたのか!!」と大喜びすることになった。
鬼五郎が「こいつ、ちっともこわくないぞ。子分どもかかれ」と命令すると、ゴジちゃんはぶっ倒されて、「ウギャヒ～」と悲鳴を上げていた。ドラえもんは銀河超特急でドリーマーズランドへ行ったとき、西部の星で記念に一丁もらってきた『フワフワ銃』を取り出し、のび太に手渡した。
のび太が「ガキュン ガキュン ガキュン ガキュン」と銃をぶっぱなすと､鬼五郎の子分たちが空にフワフワ浮き出した。それを見て、鬼五郎は「でなおしだ!! やろうども、町へひき上げるぞ」と逃げ出すと、反対側からやってきたアインモンタンやダ・ヒンチなどの姿を見て､「おぼえてろよ!!」の捨て台詞を残して、森の中へ隠れてしまった。
鬼五郎たちを森の中へ追い払ったあと、「グルメテーブルかけ」で食事をすることになった。「おれはカツ丼。ゴジちゃんに大福もち10コ」と注文したので､「怪獣が大福もち食べるの？」の質問に、ジャイアンは「甘党なんだ」と答えている。
食事の時に、あの黄金の怪物が出たらどうしようかということが話題になった。黄金の怪物のことを知らなかったのび太が､ドラえもんから「なんにでもグニャグニャ変身する黄金の魔神がでてきたんだ」と説明を受けることになった。
のび太が「種をまく者」であると話し出すと、しずちゃんは「その人がこの星を作ってピーちゃんたちを進化させたの？」と質問し、スネ夫は「何十億年も前に地球と火星に種をまいたなんて…」、ジャイアンにいたっては「夢でも見たんじゃないのかよ」と断言する始末であった。
スネ夫が「火星から飛来した隕石に、生命の痕跡のようなものが発見されたって、NASAが発表してたよ」と発言すると、ジャイアンは「のび太のことだからきっと夢の中でタコみたいな火星人と話をしてたんだよ」と付け加えていた。
偵察から帰ってきたウッキーが、明日敵方が総攻撃をかけるという知らせをもってきた。アイモンタンやダ・ヒンチたちはこんなもので勝てるか心配していたが、ドラえもんが「フエルミラー」や「ビッグライト」を用意し、戦いにそなえて万全の体制を取っていた。
のび太は流れ星を見ながら、「夢だったかもしれないけれども約束したんだ。ピープたちと力をあわせてこの星をりっぱに育てていくって。この星も地球も、未来はぼくたちしだいなんだよね」とドラえもんに問いかけていた。
鬼五郎は「いいか！ 相手はぬいぐるみとたかが子どもだ!! 力だったら負けないぞ!! 野郎ども、いくぞ!! オーッ!!」と気勢を上げた。ドラえもんはディスプレーを見ながら､「正面から八人！ 一番隊用意して、残りがみあたらないから気をつけて」といった指令を出している。
ウッキーが「ガリ ガリ」と爪を立てて攻撃し、ザンダーおじさんは「バシ バシ」と空手を食らわし､ガイコツは「オ、オバケェ～」と脅している。ジャイアンはパチンコで､人間の体ほどあるボールを「ゴッチーン」と敵にぶつけている。
二回目は自分の体をボールのようにまちがえて撃ち出し、三人の敵に「ボカン」と体当たりを食らわしている。あとはのび太がフワフワ銃で敵方を仕留めている。
二番隊は空気清浄装置の逆噴射を「ブォーッ」と吹かせて、アミで敵を一網打尽にしている。都市の裏側から煙が上がり、みんなで駆けつけると、森が火の海になっていて、植物が「ウオ～ン ウオ～ン」と泣いていた。
鬼五郎が「ガハハ!! 思い知ったかぬいぐるみども！ この星はおれさまのものだ!!」と勝ち誇ると、「ドザアア ド・ド・ド・ド・ド ドバーツ」と大雨が降ってきた。
鬼五郎の子分たちが「たすけて～!! な、なんだ？ 雨にしてはおかしいぞ!!」と大騒ぎしていると、ドラえもんがビッグライトで巨大化した小便小僧が「ズシ ズシ ジョバー」と放水を続けていた。みんなから「バンザーイ!! みごとチン火したね!! でも、なんだか下品だわ」という声が聞こえてきた。
親玉が森へ逃げたので、のび太は「相手が本物の銃を持っているんだ。ねんのためスペアポケットを」ドラえもんから手渡され、右手に拳銃を持ち､「パカポコ」に乗って、森へ入っていった。
森の植物たちが人影に変身して、鬼五郎に「ガキュン ガキュン ガキュン」とむだ撃ちさせていた。鬼五郎の撃った弾がのび太の置き忘れた「生命のねじ」に「ガキン」と当たった。
のび太は四次元ポケットを「生命のねじ」で巻くという考えが閃いた。ネジを巻かれたポケットは「ピョン ピョン」と鬼五郎の方へ跳んでいった。
鬼五郎は「さんざんおどかされてきたんだ、パンツぐらいじゃおどろくもんか!!」と粋がっていると、ポケットから「ニュ～ッ」と巨大なツメをもった手が、続いて「クワーッ!!」と巨大な怪物の顔が現れた。
鬼五郎が「こ、こしがぬけた……ズルズル」と四つん這いになって歩いていると、ポケットが鬼五郎の顔に「スポ」と被さり、前がみえなくなってしまった。その時、「フワフワ銃」で「がキュン」と撃って､鬼五郎を完全に降参させることができた。
鬼五郎一家を「このままぼくたちの世界へ帰すわけにはいかないんじゃないの」とのび太が主張するので、ドラえもんは「もちろん、もとどおりになってもらう」と答えている。
鬼五郎一家全員十五人が逮捕され､エッグハウスの中へ連れて行かれることになった。その時、ホクロがしずちゃんに「ごめんね、いろいろこわいおもいをさせて」と謝っている。
エッグハウスの中で、「ジ・ジ・ジ バババババ」と光線を浴びると、ひとりの人間になって現れた。その男は「ホクロがついてる!! なんだか生まれかわった気分だな。おれ、警察に自首するよ。いろいろお世話になったな、じゃあな！」とあくまでも明るく、「どこでもドア」から「バタン…」と出ていった。
ドラえもんが「次はねじ巻き都市を修復しなきゃ」と提案すると、ピープ市長が「その前に燃やされた植物を助けたいのですが…」と頼まれたので、ひみつ道具『植物の素』を出した。「これをまけば、かれた木でももとどおり！ 緑いっぱいの森になるよ」と告げると、都市の人たちは「あとはぼくたちにまかせてください」となった。
テレビのニュースでは、「前科百犯の鬼五郎が自首してきました。おかしなことにとてもすなおで明るく…」といったニュースが流れていた。のび太が「やった！ ぼくたちの力で解決できたんだね!!」とドラえもんと大喜びしていた。
ママから「テレビばかり見てないで、お庭の草むしりでもやってちょうだい」と言われると、「草むしり？ とんでもない!! 草だって植物だよ、生きているんだ!!」と訴えた。
すると、「それなら、お買物、ろうかのぞうきんがけ、おふろそうじ、それから…」と次々に言い付けられたので、のび太は買物かごをさげながら、「植物を守るのもたいへんだなあ」と舌を出しながら頭をかいていた。
[C17135・L06511・109703：01]