のび太のねじ巻き都市冒険記Ⅴの1[★★★]

 [初出誌] 『のび太のねじ巻き都市冒険記』、「月刊コロコロコミック」19972月号、31頁、198コマ

[単行本]  『のび太のねじ巻き都市冒険記』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.171997925日 初版第1刷発行、31頁、198コマ

[大全集] 『のび太のねじ巻き都市冒険記』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 62012530日 初版第1刷発行、31頁、198コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

[梗概] のび太が神さまのわりにかんろくがないと指摘すると、のび太のママやドラえもんになったりして、「きみが話しやすいように、少年の姿をしているだけさ」と教えてくれた。種をまく者はおよそ36億年前、地球と火星に「生物の種」をまいたが、その実験の様子を見にきたというものであった。

 

 プラモの宇宙ステーションは「めしは食えるし、広くてくつろげるし…。がきのおもちゃも、なかなか捨てたもんじゃねえな!!」との評判であった。

 

  ホクロがおなかをすかして、地上の見張りをしていた時、しずちゃんが食事をもってきてくれたので、「ムシャ ムシャ ガツ ガツ」と食べた。「たりなかったらいってね」と帰っていったので、ホクロは「やさしい子だなあ」と大感激していた。

 

 種をまく者は実験前の火星には生命にはかかせない海があり、厚い大気があったんだ。すぐに小さな微生物が生まれたが、1500万年前に小惑星が巨大な隕石となって、火星に落下した。その大爆発のせいで、せっかく芽生えた生命がだいなしになったと説明してくれた。

 

 きみたちの地球は生命にあふれて、宇宙に輝くオアシスのように育ったけれども、公害や戦争による環境破壊などによってぼくの作りたかった星とは少しちがってきちゃったと話し出した。しかし、「地球の未来はきみたちにかかっているんだからがんばってね」とのび太は言われてしまった。

 

 火星が失敗したので、小惑星帯にある、新しい星に種をまいたんだ。それがこの星で、植物の楽園にしようと考えていた。シールドをはってかくしておいたけれども、のび太が番号を間違えて読み上げた星がこの星であると知らされた。

 

 最初は嵐や植物たちの力を借りて、追い出そうと考えていた。「デテイケ デテイケ」といった声はこの星の植物には意志があるので、そのパワーを増幅させてちょっと警告したものであった。さらに、きみたちが生命を吹き込んだおもちゃに興味がわいたので、カミナリを落として、おもちゃに知恵を授けたことも明かしてくれた。

 

 種まく者は自然を大切にしてくれるきみなら、この星をまかせていけると告げると、この星でのぼくの役目は終わり、次の星で種をまかなくちゃと出掛けようとした。

 

 のび太が「悪人たちはどうするんだよ!!」と問いかけると、「きみたちの力で解決するんだ。試練だよ。みんなで力を合わせれば、だいじょうぶ。きっとのりこえられるよ…」と遠ざかっていった。

 

 「ハッ」と目がさめたのび太が「ガバッ」と起き上がると、「シュルルル… シュウウウ… シュン ゴ ゴ ゴ」と怪物が大亀裂から消えていった。一方、監視を続けていたホクロが「黄金の怪物が、星から飛びだしたんだ」とみんなに告げて、ディスプレーを見ると怪物はまるっきり見当違いの方角へ飛んでいくことが確認できた。

 

 ドラえもんは鬼五郎にピストルで「星にもどる方法を考えろ」と脅迫されたので、「ロケットを星にむけて後部でなにかを爆発させるんだ。あとは引力にまかせれば、星にたどりつける」と教えた。

 

 すると、工事現場からいただいてきたダイナマイトを積み出した。ドラえもんたちが危険すぎると反対すると、鬼五郎は「うるせえ!! がたがたぬかすと風穴があくぜ!!」とピストルを「ガキュン ガキュン」とぶっぱなした。ホクロは震えているしずちゃんを見て、複雑な気持ちであった。

 

 のび太が大亀裂の崖を登って、「ズル」と滑り落ちると、たまった落ち葉がトランポリンのように「ポン」と弾ませてくれた。さらに、「ニョロ ニョロ」と意志を持ったツタのエレベーターがのび太を崖の外に誘導してくれた。

 

 ドラえもんたちは全員ロープで縛り上がられてしまった。「カッチ カッチ」と爆発の時刻が迫っていたが、ホクロのやさしにより、しずちゃんは縄をほどくことができた。ドラえもんは「とおりぬけフープ」と「テキオー灯」によって宇宙空間に逃げ出す計画を立てた。

 

 ジャイアンはロケットの近くにあった小さな星に飛び下りることができた。スネ夫やしずちゃんはロープを使って降りることができたが、ドラえもんはギリギリまで爆発をとめる試みをしていた。爆発寸前に星になんとか脱出することができた。

 

 ダイナマイトの爆発で飛び出したロケットは森の中に「ドッカーン」と不時着陸した。森の木がめちゃめちゃになったので、ピープ市長などは抗議のためロケットを「ガン ガン」叩くと、ドラえもんではなく、鬼五郎一家が出てきた。

 

 のび太はねじ巻き都市へ向かうつもりであったが、どこにも見あたらないので、心配になって「ドラえも~ん」と大声で叫んでみた。木の間から、「にょび太ちゃん!!」とプピーが現れ、空からふってきたロケットから悪いやつらが現れ、都市はメチャメチャになっていると知らせてくれた。

 

 のび太がおなかをすかして木の下に座っていると、大きな木の実が「ドサ ドサ」と落ちてきたので、食べるととてもおいしかった。しばらくすると、「生命のねじ」が頭の上に「ゴチン」と落ちてきたので、木の上を見るとしずちゃんのぬいぐるみのサルが「ウッキー!」と声を出し、右手で枝をつかんでぶら下がっていた。

 

 のび太はこの「生命のねじ」があるということは、ウッキーが「どこでもドア」を使ってぼくたちの町に行ったことに気づいた。

 

 のび太は地面に四次元ポケットを書いて、ウッキーに「急いでぼくんちへいって、これを取ってきて欲しいんだ」と頼むと、「ウキキーッ!!」と快諾して、さっそく出掛け、帰りはライオンのぬいぐるみに乗り、肩にたくさんのものを入れたフロシキを担いで帰ってきた。

 

 ふろしきの中には、スイカ、分度器、かまぼこ、どんぶり、つぶれたボール、作りかけのプラモが入っていた。さらによく調べると、「スペアポケット」を発見することができた。のび太は念のためテキオー灯を浴びてから、スペアポケットの中へ入った。

 

 小さな星では、爆発のショックで、こわれちゃったかもしれないドラえもんが目を覚ますよう、みんなは懸命な努力を続けていた。例えば、ジャイアンとスネ夫は「しっかりしろよ、ドラえもん!! 目を覚ましてよ! ぼくたちかえれないじゃないか!」と。

 

 そうこうしていると、ドラえもんが「ウヒャヒャヒャ、ゲラゲラ!!」と飛び跳ね出した。「ほんとにこわれちゃったぞ」と考えていると、「…ちがう! うひゃ、だれかが…おなかをくすぐる…、ひゃ!」と口を開くと、のび太が「ばあ、ぼくだよ!!」と現れたので、みんなは涙を流し、ジャイアンも「心の友よ!! ぶじだったか!!」としっかり抱きしめた。

 

 のび太が「じつはねじ巻き都市がたいへんなことに…」と告げ、丘の上に登ると、ねじ巻き都市の方から煙が上がり、「早く、みんなを助けにいかなくちゃ!!」と檄を飛ばしていた。