のび太のねじ巻き都市冒険記Ⅰの1[★★★]

[初出誌] 『のび太のねじ巻き都市冒険記』、「月刊コロコロコミック」19969月号、30頁、207コマ

[単行本]  『のび太のねじ巻き都市冒険記』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.171997925日 初版第1刷発行、30頁、207コマ

[大全集] 『のび太のねじ巻き都市冒険記』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 62012530日 初版第1刷発行、30頁、207コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「ド・ド・ド  ド・ド」、「ガー  ガ・ガ…」、「ガリ ガリ」、「バリ バリ」、「ブル ブル」挿入[403(6)]

 

[梗概] スネ夫は「みわたすかぎりの広い広い広~い牧場。ぼくはただひとり愛馬スタローンとともに…。小高い丘に立ち、真っ赤な夕日が地平線にしずむまで…」と、ジャイアンがうんざりする話を今日もしていた。

 

 スネ夫がのび太に牧場を持っているかと問うと、「……まあね」とうなづいた。すると、スネ夫から「きっと世界一広い牧場だろうね」と問われると、のび太は「いやあ、それほどでも…」と答えてしまった。

 

 家に帰ると、のび太はドラえもんに「あんまりスネ夫がいばるからつい…、牧場ならぼくももってるぞと…」言ってしまったので、「そこをなんとか」とお願いしても、ドラえもんは「ぜ~ったいにだめ!!」と断って、「タイムマシン」で「22世紀のお中元ドラ焼き大売り出し」に出掛けてしまった。

 

 玄関前で、スネ夫から「のび太くうん、今夜のこと忘れないでね」、ジャイアンからも「森と湖にかこまれた夢のような大牧場ね」と叫ばれたので、のび太は「ワー、どうしよう」となってしまった。

 

ドラえもんが22世紀商店街お中元大売り出しの福引き券「小惑星引換券」をもらってきたが、外れ券ばかりでがっかりしていた。ドラえもんによると、「小惑星というのは、主に火星と木星の間に何百億、何千億とちらばってる星クズだけど、中でも使いようのない、クズの中のクズを外れ券」にしているということであった。

 

 のび太は「どこでもドア」と「テキオー灯」を浴びて、「小惑星引換券」を一応確かめることにした。SSS-ZZ-201の券は小さくてぜんぜん使い物にならない星であった。夜近くまでいろんな券をチェックしたけれども結果は大同小異であった。

 

 スネ夫、ジャイアン、しずちゃんが「今夜からみんなであつまって夏休みの宿題をやろうと…」やってきた。引換券SSZ-ZY-997894はこれが最後の一枚で、のび太はかってに見てくれと頼んだ。「ヒャー、すごい!! 森と湖! 夢のような美しさ!! 日本一のこの広さ!」とドラえもんものび太もまったく信じられない光景であった。

 

 「ヒヒヒ~ン パカポコ パカポコ ブウッ ブウッ」といったかわいいぬいぐるみがやってきた。ドラえもんによれば、ひみつ道具『生命のねじ』を使って、ねじを巻くと、どんな人形も生きて動けるようになるものである。

 

 しずちゃん、ジャイアン、スネ夫も人形、ゴジちゃん、車などを取りに帰り、「生命のねじ」を使って、本物のように動かせることができるようにした。のび太の提案でねじ巻き都市を作ろうということになった。

 

 しずちゃんは「ビッグライト」を使って、ねじ巻き都市商店街(Dress MakerBAKERYFLOWERGROCERY STORE)を作った。スネ夫は「スネ夫モーターズ」、ジャイアンは「ジャイアン開発株式会社」、そして、ドラえもんは「エッグハウス」を作った。

 

 エッグハウスのタマゴからは、「コケコッコ~ ガアガア ヒヒーン ブウブウ」とニワトリ、アヒル、ウマ、ブタが生まれていた。「生命のねじ」が一個しかないので、ドラえもんはひみつ道具『タマゴコピーミラー』を取り出した。これに写せば、「コロン コロン」と生命吹き込みずみのコピーがどんどん増やすことができた。

 

 のび太は人工衛星を打ち上げ、宇宙から森の写真を写して送らせている。数々の写真には、謎と神秘の森が映し出され、火口湖では、底に光る物が沈んでいるのが映し出された。光る物は大金塊かもしれないと思って、ねじ巻き探検隊は出発することになった。森の中で、風がソヨソヨ吹いている所で、みんなは食事をとることになった。

 

 食事をしていると、しずちゃんが「デテイケ デテイケ」と、だれかがささやいていると言い出したが、ほかの者にはなにも聞こえず、気のせいとか、葉ずれの音とかと言われた。

 

 しばらくすると、雲行きが怪しくなり、「ゴロ ゴロ ガラ ガラ ビシャ」とものすごい放電が発生し、はげしい雨が降り出し、さっきの小川に「ドウ ドウ ドウ ド・ド・ド・ド…」と鉄砲水がやってきた。

 

 次の日になるとギラギラと太陽が輝き、ドラえもんは牧場の湖まで流されたと思っていたが、塩っからいので海だと気づいた。牧場から森へ入ってそう遠くない川であるから、川にそって牧場を探すことになった。「タケコプター」で探すと、カミナリの落ちたエッグハウスを見つけることができた。

 

 一個残っていたタマゴが「ピーブ ピーブ ピーブ!!」とふ化し、「はじめまして。ぼくピープ」と自己紹介し、「しゃべれるどころかたいていのことは人間なみにできるのよ」と宣言した。ドラえもんによると、落雷のエネルギーのせいだろうとみんなに説明していた。

 

 のび太のパパとママは「前科百犯の凶暴な脱獄囚、熊虎鬼五郎が警官隊とはげしくうち合ったあと姿を消しました」というテレビニュースを見ていた。パパは「二階の子どもたちに注意してくる」というと、ママがが「家の中は安全よ。それに「じゃまするなっていわれてるから」と言うので、「じゃほっとこう」となった。

 

 鬼五郎が窓からのび太の部屋に入り、しばらく物色したあと、「どこでもドア」の存在に気づいた。

 

 ドラえもんたちは「橋をかけ、森の中にハイウェイを通し、やがては鉄道や空港も…」と考えていた。森の中に「どこでもドア」より入ってきた鬼五郎はウロウロしながら、なんだかうす気味悪い森だなあとつぶやいていた。

 

 ドラえもんはタマゴハウスで、「ジ・ジ・ジ…ビイ ビイ ビイ」と実験を続けていた。「プピー プピー」と卵がふ化すると、「あたしプピーよろしく、はじゅめまちて」と自己紹介するので、「ウ~ン…。もっと研究が必要だな」と思った。ドラえもんはプピーに「お友だちを紹介しよう。町も案内してあげる」と言いながら、出掛けた。

 

 鬼五郎がエッグハウスの中に入ると、「フエルタマゴミラー」を鏡かなと思ってのぞき込むと、「コロ コロ」とタマゴが出てきたので、変なことばかり起きると驚いていた。町が見えてきたので、ピストルを「サッ」と取り出し、「ガチャ ジャキーン」と準備し、「この町を…。いただく!!」と心に決めた。

 

 すると、「パープー パープー パープー」とパトロールカーがやってきたので、鬼五郎は「ま、まさか警察がいるとは…」とびっくりして、森の中に隠れることにした。

 

 しずちゃんから「わたしたちも少しは勉強しないと今に困るわよ」と指摘されたので、のび太は「そうか! 夏休みの宿題…」を思い出した。ジャイアンなどは「宿題かうんざりするなあ」、しかし、ドラえもんは「みんなで圧縮学習すればパッパッとかたづくさ」と言いながら、「どこでもドア」でひとまず家に帰ることになった。

 

 スネ夫、ジャイアン、しずちゃんのママたちは「いやな予感がするんざますの。ほら、以前にも宿題やるとうそついて危険な冒険を…」に対して、のび太のママも「そうおっしゃればたしかに…」と思い当たる所があった。

 

 のび太の部屋の前に来ると、「この算数むずかしい!! 問題の見方を変えてみるのよ。こっちを先に解いて…」といった声が聞こえてきた。

 

 のび太たちは「どうしてママたちがここにいるんだろ」と不思議に思った。スネ夫のママは「スネちゃまの大好きなオニオングラタンスープがまってるざますよ」、ジャイアンのかあちゃんも「熱~いみそ汁が…」と言いながら帰っていった。

 

 「タマゴハウス」では、「ポカ パリ パカ」と鬼五郎が次から次へとふ化し、「おれたちゃ熊虎鬼五郎一家。悪いことならなんでもやるぞ」とうそぶいていた。