のび太と銀河超特急Ⅵの1[★★]

 [初出誌] 『のび太と銀河超特急』、「月刊コロコロコミック」19962月号、44頁、294コマ

[単行本]  『のび太と銀河超特急』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.161995925日 初版第1刷発行、47頁、297コマ

[大全集] 『のび太と銀河超特急』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 62012530日 初版第1刷発行、47頁、297コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「作詞・武田鉄矢 『私のなかの銀河』」コマ挿入[366367]

 「グラ」コマ挿入[374(5)]

「文字なし」コマ挿入[374(6)]

 

[梗概] 中央惑星のタキオン通信タワーに行ってみると、めちゃくちゃに壊され、火が回って手もつけられない状況であった。屋上までさがしても誰もいなく、地下室もウイングも全部空っぽであった。

 

  ナビゲータにジャイアンからスネ夫が消えたという連絡が入ってきた。みんなで探しに出掛けると、お子さまの遊園地の乗物が「ズル ズル バリ バリ」と暴走し、空にはお化けがウヨウヨし、「怪奇と伝説の星」や「メルヘンの星」のロボットがやってきた。

 

 ジャイアンが「こっちこっち!」とタンクの陰から呼び出したので行ってみた。ジャイアンによれば、スネ夫は一瞬のうちに消えてしまったと説明している。すると、ナビゲーターにスネ夫から「ぜったい安全なかくれ家をみつけたんだ。みんなでそろっておいでよ」といった連絡が入った。

 

 遠くにスネ夫が立っていたので行ってみると、スネ夫が「ムフフフ…。全員そろったな。よおしやっちまえ!」と号令をかけると、キューピッドが全員に「ヒュ ヒュ ヒュン」と矢を命中させた。

 

 「これでハテノハテ星群の人間はひとりのこらすかたづけました。…。ほかにも乗客など六百人あまりがねむらせてあるが、体はいくつあってもたりないので。今もこっちへ向かって急行中の司令戦艦には、天帝陛下以下八百万のヤドリ主が乗り組んでいるのだから。

 

 司令戦艦がつきしだい六百人のヤドリ軍団を編成する。銀河中心部に向かって第一歩をふみ出すのだ!!」と宣言した。

 

 「ドン ドンドン ガガン ガン」とドアを叩きながら、ジャイアンが「だれだ? おれたちをこんなとこに、とじこめやがって!! 出せえ!! 今すぐ出せえ!!」と怒鳴り散らした。

 

 「スネ夫! おまえ人間のくせに!! 化け物に味方しやがって!」となじると、「人間? 失礼な! ヤドリ0009号さまと呼べ」、「ヤドカリだって」、「ヤドカリじゃない、ヤ・ド・リ!! 宇宙最高の存在だぞ。よろこべ、おまえたちもそうなるのだ。ヤドリ主さまにのりうつっていただければな」となった。

 

 ドラえもんは「自分のからだをもたない脳だけの生物がいるかもしれない。他の動物にとりついて中枢神経を支配し栄養をとったり動いたりするんだ」と説明した。「冗談じゃない!! 使われてたまるか!! 地球の…いや! 太陽系の…、銀河系の危機だ!!」となった。

 

 しずちゃんから「警備隊にしらせなくちゃ!! どこでもドアで」と言われたので、ドラえもんが「四次元ポケット」に手を入れると、「ギニヤ~ ドン ドン ドン」とものすごいショックで吹っ飛ばされてしまった。「超空間の入口がふさがれたらしい!!」となった。

 

 ドアの外では、ボームさんの活躍でスネ夫に一時眠ってもらうことになった。車掌さんが辺境警備隊に連絡する方法を思いついた。ホウキに乗った魔女が天まで届きそうな煙の柱を、008号さまに連絡にきた。008号は「ゆうべあちこちへ火をつけた。その火がうつったんだろう。人間どもの町なんかどうなろうともかまわん、ほっとけ!」となった。

 

 ありったけの発煙筒をたき、宇宙を行くSLのためのみせかけの煙であった。そろそろ宇宙空間であり、煙から出てもいいころであった。

 

 その頃、天帝陛下は「なにーっ、逃がしただと!? 人間を六百人とらえたというから急いできてみれば! 列車ごとそっくり逃げられましただと!?……。いつになったらわしの体が手にはいるのだ!! その前に辺境警備隊に通報されたらどうするのだ!!」と詰問してきた。

 

 008号は「そのおそれだけはありません! SLのエンジンから燃料をぬいておきました。すぐに動けなくなって、いまごろはどこかの星につい落しているはずですから。やつらはぜったいにまだ小惑星群の中にいる。あらゆる方法で宇宙空間をさぐれ!! 二度と失敗はゆるさないぞ!!」と命じた。

 

 SLは大きなすり鉢の底にメチャメチャになって墜落していた。鉱石からメズラシウムを取り出した後に残る灰の山に墜落したおかげで、人間がなんとか助かることができた。灰の山がたくさんあるということは禁断の星でもあった。

 

 ジャイアンが「やめた! もーじたばたするのやめた!! 運命にはさからえないんだよ、けっきょくおれたちは宇宙の果てでカラカラのペコペコで死んじゃうことにきまってるんだ!!」と喚いた。すると、車掌が岩山のふもとにある鉱山町を指さし、今はだれも住んでいないが、倉庫にはかなりの水や食料が蓄えられていると教えてくれた。

 

 倉庫はコンビニみたいであり、なんでもそろっていた。ボームさんが事務所の金庫からパソコンを見つけ、キーを押すと地図らしい画面が次々に表示された。車掌はこの坑道図を使って、地表から深さ千メートルまでのあらゆるレベルに出ている坑道を説明してくれた。

 

 レベル三の空間には鉱石を積み出す列車の坑内駅じゃないかとボームさんが質問すると、その通りであった。出口がふさがれ、その上坑道は落盤で迷路のようになっており、SLはもちろんのこと、人間も入ったら二度と出てこられませんと、注意した。そのことを耳にした、ジャイアンはここにSLがあるのかと納得した。

 

 ジャイアンはSLの出入口がふさがれていても、遠回りして新しいルートを考えればいいと思って、「おれーはジャイアン男だぜ」と歌いながら、暗黒大迷路の探検に出発した。スネ夫のことが心配になり、みんなで差し入れにでかけた。

 

 列車内に落ちていたものにつまずいて、ドラえもんは「ツルリ ゴチン」と滑ってしまった。この間お風呂に入ってきたUFOであったので、ドラえもんは「くだらないおもちゃだ!!」といって車外へ捨ててしまった。しずちゃんはおもちゃかしら…、ヤドリと関係ありそうな気もするので、拾ってボームさんに見てもらうことにした。

 

 スネ夫に食事をもっていくと、仰向けに寝ていたスネ夫が「ニャリ…ピッ」とのび太を攻撃した。すると、のび太は「ガハハハ」と大笑いしたあと、食事の入った箱でドラえもんの頭を「ドガ」と殴りつけた。