のび太と銀河超特急Ⅰの1[★★]

[初出誌] 『のび太と銀河超特急』、「月刊コロコロコミック」19959月号、30頁、274コマ

[単行本]  『のび太と銀河超特急』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.161995925日 初版第1刷発行、30頁、274コマ

[大全集] 『のび太と銀河超特急』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 62012530日 初版第1刷発行、30頁、274コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

[梗概] スネ夫はドカンのある広場で、ミステリートレインについてジャイアンとしずちゃんに詳しく説明していた。このトレインは「行く先が秘密なんだ、どこへ行くやらお楽しみ。とにかくそこになにかすばらしいイベントがまってることは絶対にまちがいがない。

 

 乗りたがる人が多すぎて切符を買うのが大変なんだよ。三枚あるからあとふたりだれにしようかな…」と問いかけた。ジャイアンもしずちゃんもとても行きたがった。

 

 そこへのび太がやってきたが、ミステリートレインにはまったく関心がなく、三日前からいなくなったドラえもんのことが心配で心配で…、とうとう「ウツ ウツ」とみんなの前で泣き出してしまった。

 

 しずちゃんから「だいじょうぶよ! あのドラちゃんにめったなことがあるもんですか」と慰められ、スネ夫から「そうだよ、うちの血統書つきのエカテリーナも一週間後にちゃんと帰ったよ。あちこちに懸賞付きのポスターをはったら?」

 

 ジャイアンからは「今、かわったペットがはやってるから、どこかで飼われてるかもな。念のため、保健所なんか問い合わせてみるといいぜ」といったアドバイスを受けていた。

 

 家に帰ると、のび太の心配をよそに、ドラえもんはおやつの時間であったため、ドラ焼きをうまそうにぱくついていた。ドラえもんがちょっとした用事で二十二世紀に出掛けたら、長い行列ができていたので、発売三日前から並んで、二十二世紀のミステリー列車のキップを手に入れたという話であった。

 

 のび太は次の日みんなを前に、「列車といってもSL型の宇宙船なんだって、銀河中心部のセンター駅発、ただし終点はヒ・ミ・ツ! 終着駅になにがまってるか…、それはついてからのお楽しみだって。きみたちもさそってあげたかったけど、スケジュールがかさなっているみたいで、残念だったねえ、アハハハハ」と勝ち誇って語っていた。

 

 しずちゃんが「宇宙旅行おもしろそう」、ジャイアンも「あ~あ、つまんない約束してそんしちゃった」と言うので、スネ夫は「なんだなんだい、そんなのちっともよくないぞ!! 宇宙はあぶないんだぞ。まっ暗で空気もなくて凶悪な宇宙人やブラックホールや。みてな。きっと流れ星にでもぶつかって帰れなくなるから」と脅されたので、のび太は心配になった。

 

 ドラえもんによれば、ミステリートレインという宇宙船は探検とか調査ではなく、観光用の遊覧船みたいなものである。昔は銀河系の中を網の目のように結ぶ大事な交通手段だった。

 

 でも、もっと便利な「どこでもドア」が発明されてから廃止されちゃった。のび太は安心したが、どれくらいの日数がかかるか心配であった。しかし、「どこでもドア」ができたためいつでも帰れるので、昼は学校、夜は宇宙旅行ってことも可能と聞いて、とても楽しみになった。

 

 トレインがうら山へ午前000分到着するので、ドキドキしながらまっていると、「ボウ~ ボッボッ ボッ ボッ ギ・ギ・ギ…・ ゴットン シュー…」とやってきて止まったので、七号車に乗ることになった。車掌も機関士もいなくて、キップを切る必要のないまさしくミステリートレインであった。

 

 のび太が個室でフカフカのベッドで遊んでいたら、「スウ…パカ」と破裂して、「ご乗車ありがとうございます、お客さまには宇宙カプセルをお飲みいただくことになっています。真空や低温・高温どんな環境の中でも快適におすごしいただけます」というメッセージが流れてきた。のび太は宇宙服なしでとびまわれるようになった。

 

 ドラえもんが展望車へ行かないかと誘いきたので、いっしょに行くととても展望台は遠い所にあった。途中窓から忍者がのぞいたので、「キャ~」と悲鳴を上げたが、ドラえもんからあんまり疲れたので幻覚を見たんだと言われてしまった。

 

 展望台についてゆっくり腰を下ろして、星空をながめると、太陽系惑星の中で最大である木星を目の前に見ることができた。

 

 本社に用事で出掛けていた車掌さんが戻って、キップの拝見にやってきた。「お客さんはざっと六百人で、センター駅を出てここまでざっと三万八千光年、ワープにワープを重ねて五日間、お客さんは個室で休み、どこでもドアで用足しにおでかけ」という話であった。

 

 土星を過ぎるとワープに入ったので、のび太は部屋で休むことにした。「ガラ ガラ ガラ ガラ…」と歯磨きの後うがいをしていると、鏡に「ハロー…」といって吸血鬼ドラキュラみたいなお化けが写った。ドラえもんがやってきても、どこにもなんにもいないので、のび太は怖いからドラえもんといっしょに寝ることにした。

 

 宇宙カプセルを飲んでいるので一分につき一時間寝たことになった。スッキリ目ざめ、ちょうど夜があけた時、わが家に戻ることができた。

 

 のび太は「展望台からながめた木星や土星のすばらしさは…、あれをみられなかった人はかわいそうだねえ。ところできみたちツアーは? 今夜出発? まっ、なんとか楽しんでいらっしゃい、アハハ…」と去っていった。

 

  スネ夫は「どうしてみんなだまってるの? いいたいことあるならはっきりいえよ!! いーや、わかってるんだ、あっちへいけばよかったって。さっさといけば!? 今夜からでも遅くないってよ!! そのかわりもー、友だちと思わないからな!! マンガもゲームもラジコンもかさないぞ。別荘にもつれてってやんないぞー!!

 

 「スネ夫さん! わたしたちなにも…」、「うるさいうるさい! いっちまえ!!」となった。

 

 ジャイアンが「いいから、あっちへいこうよ。のび太にたのんでさ。心の友よ、今夜はおりいってたのみが…」、のび太は「わかってる。待ってたんだ」、そして、のび太は「みんなで宿題合宿するから、じゃましないで」とママにお願いした。

 

 しずちゃんが「スネ夫さんに悪いわ…」、ジャイアン「あんなのほっとけ!!」と話すと、スネ夫が「エヘヘ、お先に…」と顔を出した。「うら切り者め!!」、「なんだよ、自分だって!!」とけんかになったが、ドラえもんの「おーい、けんかしてるとおいとくぞー!」の一言でけんかは終わってしまった。